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【イベントレポート】10/20シナリオづくり勉強会③~多文化共生・市民協働~

 今回は大阪市総合生涯学習センターを会場に「SIMULATION2035おおさか」シナリオづくり勉強会を開催しました。金曜日の開催、1週間の業務でヘトヘトなところの業務終わりに、みなさん熱心に集まってくださってありがとうございます!

大阪市職員・元職員に今回は1名のマスコミ関係者もご参加。

 今回のテーマは「多文化共生・市民協働」。当初は「危機管理」を入れていたのですが、内容を絞ることにしました。

 今までの2回の勉強会で常に「人手不足」が深刻な課題という話になっており、業種によっては外国から来て日本で働く人がいなければ、回らない状況になっています。将来的には、当然ながら地域を共に支えるパートナーともなっていきます。

 しかも、日本は言語のハードルも高く、同質性の高い国でありますし、制度がまだ整っていない面もあり海外の若者や専門職から「選ばれる国」になるための課題がまだあります。

 そこで、まずは大阪市の多文化共生と市民協働の施策や方向性をおさらい。市民局から、川上課長代理にゲストでお越しいただきました。

急遽のピンチヒッターでお越しいただき、ありがとうございました!

 基礎基本の「市民協働」とは何か、また大阪市の「地域活動協議会」という地縁団体(町会の集まり)やPTA・民生児童委員から地元企業・NPOまで含む複数の団体からなる協議体の仕組みや機能についても、おさらいをしました。

 このプラットフォームが機能している地域と、そうでない地域の差が大きいという課題もありますし、高齢化による担い手不足も目立ちます。その中で、増えてくる外国人住民との協働も話題になりました。

 多文化共生については、大阪市24区の外国人人口のデータを共有し、区によって差があることや大阪市多文化共生指針に基づいた支援策を押さえました。国籍別でみると、ベトナムやネパールの方が増えているのがわかります。

大阪市HPより。コロナ前を超えて急増しています。

 

「多文化共生社会」とは、多様な価値観や文化を認め、国籍や民族、性別や出身などの違いを 理由として社会的不利益を被ることがなく、一人ひとりが個人として尊重され、相互に対等な 関係を築き、その持てる能力を十分発揮しつつ自己実現を目指して、社会参加できる創造的で 豊かな社会。

「大阪市多文化共生指針」より

 前向きに受け入れる姿勢で大阪市としては取り組んでいますが、現実はそう簡単でない面もあります。市営住宅の担当である「かまりん」が、外国人と住居についての課題を、先行研究の資料を参照しながら話してくれました。

「NPO法人 かながわ外国人すまいサポートセンター」の資料を紹介してくれました

 上記のサイトに研究資料が掲載されています。他にも海外の事例など、豊富な知見が集まっており参考になります。大阪・関西万博やIRの開業でますます必要性が高まる「多文化共生×住宅施策」の視点でどんな予算でどんな仕組みをつくるべきか、考えさせられます。

 今すぐできることとしては、言葉の問題でルールが伝わらないことがトラブルにならないよう、「多言語化」「やさしい日本語」での伝達と、お互いの文化を理解し合う機会をつくることです。

 そこで、この3月末まで生野区役所で多文化共生を担当しており「やさしい日本語からつながろう」という取り組みを続け、

 ハマり過ぎて(!?)退職し、在留外国人を支援する事業を起ち上げた上林正俊さんに登場してもらいました。

多文化共生の最先端エリア、生野区をメインのフィールドに今も活躍中。

 「日本に住む外国人は、この3つをイヤというほど日本人に聞かれます」と、教えてくれたのが

「どこの国から来ましたか?」
「日本語、上手ですね」
「いつ日本に来たんですか?いつ帰るんですか?」

 日本人は何とかコミュニケーションを取ろうとがんばって質問をしているのだけれど、あくまで「ヨソの人たち」に対しての質問ですよね。こう聞かれると、嬉しい!と外国の人が言っていた質問を教えてくれました。

「家は、近くなんですか?」

 同じまちに住む「仲間」と自然と思われているようで、嬉しいとのことでした。多文化共生を難しく考えず、まずはご近所に住む人と人がシンプルにつながることは、これからの市民協働の仲間が増えることになります。冒頭のテーマと、話がつながってきました。

 聴講者も交えて、フリートーク。地域活動協議会の支援をしてきた方による現状や、生活支援の現場での言語の問題など「多文化共生・市民協働」の課題は多くのジャンルにわたります

災害時にどう情報を伝えるかも、話題にのぼりました

 特に上林さんから「日本語を安価で学べる場所のニーズは高い」という話があり、地域の会館を使って教室をやったら、交流も生まれていいかも!と前向きなアイデアが出てきました。

 最後は、予算編成の時期ですので「大阪市の次年度予算のポイント」を、ちょうどいいところに政策企画室のサクがいたのでレクチャーしてもらうことに。

さすが財政局に長くいた経験者、わかりやすく予算の話をしてくれました

 「入を量りて出ずるを制す(収入にあわせて支出を考えよ)」という原則を押さえ、そこに別のお財布である「重点予算」で必要な施策を打ち出していきます。

 私たちが今つくろうとしている「2025-2035年の大阪市の自治体財政」のベースになるものなので、参考になりました。この勉強会は、すべての職員が関わっているのに学ぶ機会があまりない「自治体財政」を知る機会でもあるので、若い職員には刺激になったようです。

 話し足りない議論は、いつもどおり飲みながら。

飲み会や勉強会に参加できなかった方、またの機会にぜひ!

 上林さんの資料の中に、今回は使わなかったスライドがあり、その中のこの言葉に惹かれました。

「多様性」はイノベーションを生む

 多世代と多文化のごちゃまぜから、新しいまちが生まれる。そんなテーマを語る私たちも、多様なキャリアと専門性を掛け算しながらプロジェクトを進めています。

 そろそろシナリオや事業カードづくりに入ります。
 関わりたい人は、noteをチェックしておいてください!

《ライター:てるみん》

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