スローライフは、今節も、てんわやんわ

田舎暮らしをしながら翻訳、雑文書き、不登校の家庭教師をしている。聞き書き、小説、随筆、…

スローライフは、今節も、てんわやんわ

田舎暮らしをしながら翻訳、雑文書き、不登校の家庭教師をしている。聞き書き、小説、随筆、短歌、詩を書く。NPO法人で農福連携や木工などの精神しょうがい者への支援、入管面会をしていた経験がある。環境問題でZ世代と協働。地域の戦争体験の聞き書きボランティアに参加中。

最近の記事

環境保護と暴力、時に身近な人へと

 私がコンポストをNPOで始めようとした時、また家でも始めようとしたその時、反対や無関心にあった。NPOでは結局、実行することができ、研修まで受けることもでき、資金援助や協力もあったわけだが、初めの頃は「どちらでも良い」「獣に荒らされる」といわれ、あまり色良い返事をもらえなかった。私は「獣に荒らされる」といわれて実施できないとかなわないので、すがさずに論証をあげて反論した。家では、置く場所がないということで実施できなかった。電気のつけっぱなしを消すようにいうと家族からは「地球

    • H・D・ソローの「市民的不服従」とインボイス

       ネイチャーライティングを読んでいる。  ネイチャーライターのなかにも、移民受け入れ反対派のいう「不法滞在」をどうするか、についてふたつに分かれる。  私の尊敬するソローには、その有名な奴隷制度と米墨戦争に反対し、人頭税を払わず、1日だけ牢屋に入った市民的不服従の思想がある。南北戦争が始まる前に結核で亡くなるものの、奴隷制度に反対し、奴隷のために、アメリカ史初の武装蜂起をしたジョン・ブラウン大佐を擁護する論文もある。 一方で、エドワード・アビーにみられる(エドワード・

      • 地球共有論 土筆は誰のものか

         地域のいつもの思索の道を散歩していると、ツーリングをしている人が土筆をとっていた。私は、近くの曲がり角を曲がったところの斜面にたくさん生えていることを教えた。  私は地域の共有財産を、地域の誰かが食べるかもしれないのに、あげてしまったことを後悔した。もしかしたら、子連れのお母さんが取りに来ていたかもしれない。その人は、負い目を感じながら土筆をとっていただろう、それを許すのはまだしも、すすめることなどなかったのだ、と。  私は次の日、またトレイルをしながら、そのことを考え

        • おじいさんの退屈と里の青年

          退屈なおじいさんが住んでいる。私は、ときどき彼に会う。物書き家業の手を休めて、里を歩いていると、彼によく出会う。彼が苦しいのは退屈である。彼の仕事は農業だが、冬はあまり仕事がないのか、退屈している。彼はよい話し相手を見つけたようで、里の若者に話しかけてくる。 「今日はあそこまで歩いてきた」「歩くのは気分が良くなる」 彼はそんなことをよく話してくれる。 元旦の日、初めて彼と歩いた。そうしたら、どうやらケータイの紐がとれてしまって、それに困っているらしいことが分かった。どこ

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          地域の山に登り、野生動物の自給自足とアベノミクスについて考えた

           また山に登った。ポストコロナだからだ。職場で辛いことがあって、それを整理するため、そして入管法が通過してしまいそうで苦しい心を支えるため。明後日は翻訳の資格試験である。私は田舎でNPOで働きながら、ものかきをしている。とにかく、心を整理し、コンディションを整えようと思った。家にいると、休憩といっても本を読んでしまうから。  展望台から街が見渡せた。虫たちが花などの周りを飛んでいる。もし、と僕は思った。この山で生活する野人だったとしたら、それはどれほど大変なことだろう。だか

          地域の山に登り、野生動物の自給自足とアベノミクスについて考えた

          ロング・トレイル・インポート

           ロングトレイルを知っていますか? トレイルとは高度なハイキングだと考えればいいと思う。アメリカにはアパラチアン・トレイル(AT)、パシフィック・クレスト・トレイル(PCT)、コンチネンタル・ディバイド・トレイル(CDT)の3大トレイルのほか、ジョン・ミューア・トレイル(JMT)など、数千キロに及ぶトレイルコースがある。時速5キロで歩いた場合、1日6時間プラス休憩で、30キロ歩けるとして、120日はかかる。1日30キロを歩くのを少なくとも4から5ヶ月である。ゼロデー(歩かない

          ロング・トレイル・インポート

          里山詩情『土筆狩り』

           ずいぶん前の話になる。フキノトウを探しに山里を歩いた。実家の下の用水を歩いたが、見つからなかった。時期が早かったらしい。土筆がたくさん出ていた。日常的な口論で仲が悪くなっていた母のために摘んでいき、母は佃煮を作ってくれた。  山里を歩いている時、なにもかも忘れて、リラックスしていた。理性的な判断を放棄してただ練り歩いた。そして土手にたくさん生えた土筆をただ無心に取った。  それからまた、数日後、自分で卵とじを作った。最近、時々、台所に立つ。土筆というやつは、はかまを取る

          珍山道 ―コロナのち、地域の山岳を歩くー

            山を歩こうと思った。限界だったのである。コロナのあいだ、ずっと検定試験の勉強で根詰めていた。契約書の翻訳である。池澤夏樹の小説に旅をするのは「自分の殻をとりにいくため」という言葉があり、私の山に登る意味に似る。なぜ、これからたくさんの山に登るのか、トレイルをしたいのかは、これから少しづつ書いていこうと思う。  10時、山の登山口に立つ。ちなみに駐車場がいっぱいで、無理に停めようとしていたら、優しい人がこちらがあいているよ、と手で合図をしてくれた。山ではみな挨拶する。山の

          珍山道 ―コロナのち、地域の山岳を歩くー

          共生型地域的フリーランスとミニマリズム ー人生の搾取から軽やかに逃れる方法ー

           コロナ第七波のなかで、いろいろなイベントが復活もしている。私は、人のいないところにドライブしている。ダムや山や誰もいない資料館などだ。車は親父に借りている。もともと、車には興味が薄い。カプチーノの赤とか、S660とか、コペンとか、乗りたい車は、オープンカーのスポーツカーだが、物書き稼業をしている若者にとって、車ローンは背負えない。親父にガソリン代だけ渡して、ドライブの旅に出る。実家は里山にあって、生活費は入れるが、家賃は払わなくていい。母の手料理は、もしかしたら、世界でも

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          最後の妙好人 ー草刈りで伺った家のよぼよぼの面白いお爺さんは、その土地の伝説『塩之澤七三郎』の研究者だったー

           一つの面白い咄をしたいと思う。 上司が歴史好きである。もともと、歴史は無関心だったのだが、地域の伝承についてまとめた本を読んだ。馴染みの書店の姉妹店主たちがまとめた本だ。その書店についてだけで一回分、書けそうだが、とにかく、面白い人たちの尽力で、その本を読むことができた。全てはそこから始まる。  上司は30代後半の男の人である。地域委員や地域紙の発行もされている。彼は、その本にある塩之澤七三郎という人のいわれのある場に、障がい者たちと一緒に草刈りを行く途中、連れて行って

          最後の妙好人 ー草刈りで伺った家のよぼよぼの面白いお爺さんは、その土地の伝説『塩之澤七三郎』の研究者だったー

          コロナののちのオン・ザ・ロード

           米作家ケルアックの「オン・ザ・ロード」をAmazonで買って原文で読んでいる。若者が群遊してアメリカを車泊で旅する。「路上」と訳されている日本語のものは学生の頃に読んだ。今やりたいこと、それは旅。    ドライブに行ってきた。近くの湖まで行って、ダムを観て、ジャラードを喰って帰ってきた。私は車には興味がなく、ペーパードライバーだったのだが、親父に運転を教わった。一人で遠出したのはこれが初めてだ。  思えば、私は旅を我慢してきた。学生の頃、カヌーで四万十川を降った。広島で広

          コロナののちのオン・ザ・ロード

          『共生型地域的フリーランス』の研究

           私の住む街はTOYOTAの城下町である。市内の進学校の級友だった子供たちはやがて、TOYOTAグループなどに入っていった。公務員になった人も、教師になった人も、防衛大学に進んで自衛隊の幹部になった人もいる。  私は、田舎で翻訳をしている。副業で福祉ライターをしたり、離島とのオンライン家庭教師をしている。NPO法人で精神疾病者の支援員もしている。ボランティアで戦争体験の聞き書きをしている。小説やエッセイや短歌や詩を応募してときどき入選したりして喜ぶ。  私の仕事机の左手に

          『共生型地域的フリーランス』の研究

          大移動 ー新しい労働という地平線ー

          日本が鳴っている。世界が鳴っている。動いている。コロナ後の世界において、新資本主義の時代へ。政府はデジタル田園都市構想を発表した。田舎には面白い動きがたくさんあるので、全て包括できているとは思えないが、方向性としては時代の要請だろう。 サラリーマンから、都会暮らしから、失業から。田舎に来て新しい働き方をする。そんな人が私の周りにはたくさんいる。一度、会社員になって30を過ぎてからやりたいことをする人も多い。  ある男性は、住宅の営業の仕事で疲れ果て、農業と福祉の連携、農

          大移動 ー新しい労働という地平線ー

          コロナのための笑い話 田舎の福祉施設の引っ越しの掃除中に現れた外国人廃品回収者について

           私の勤める地域活動支援センターが引っ越しをした。翻訳をしながら週2日勤ているその職場は、田舎にある非営利の福祉施設である。地域活動支援センターというのは精神疾病者の働く練習をする場なのだが、住所を移転し就労継続支援B型になる。少し、働くことに重点がシフトするかっこうだ。  職場自慢を少しすると、福祉の施設はたいてい都会にある。利用者が集まりやすいのだ。しかし、そうすると田舎に住んでいる利用者さんはかなり遠くまで通わなくてはならない。精神疾病を抱えるなか、住み慣れた近場に通

          コロナのための笑い話 田舎の福祉施設の引っ越しの掃除中に現れた外国人廃品回収者について

          コロナ時代の就職の『第三の道』

           就活に落ち続け、ボロボロになって、赤字のブラック企業で、自殺寸前までストレスを溜め込んで働くくらいなら、第三の道もある。例えば、釣りが趣味で、趣味を超えて、もはや学問の域であるという学生があるとしよう。彼の生活は釣りに始まり、釣りに終わる。家には釣用具がずらりと並び、書棚には釣関係の書籍ばかり置いてある。生活は全て釣りが中心に回っていて、時間さえあれば釣りをしている。それならば、例えば、実家に帰って、週四日、一日六時間は近隣の釣具屋さんか釣り場、釣り堀でパートをする。「釣り

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          トンカチくらいの道具への信頼と安心

           私は道具音痴である。技術音痴である。人並みにパソコンもスマフォもコピー機も使うが、道具というものに「信頼感覚」があまりない。道具、技術が好きな人は、それらを手の延長、自分の身体の延長としてとらえ、道具を信頼する力があるのだろう。道具とは、技術理論にしたがって、そのとおり設計し、組み立て、起動させれば、AすればBという経路を必ず辿るということへの信頼があるのだろう。土地勘があるのだ。私のような人は、技術を何度か使って、それが経験則的に、あのボタンをおせばああなる、というように

          トンカチくらいの道具への信頼と安心