長くはもたぬからおいで(俳句)

所属してる俳句結社で合同句集を出すということで、過去5年の結社誌で発表した俳句から20句選ぶことになりました。
とりあえず、40句まず選んで、そこから半分に。
ここには、最初の40句を全部載せておきます。

かの子忌や二月は髪を切るに良き

一度目は誤報二度目は冴返る(三十年二月二十日)

静電気たつぷりためて猫の恋

プラレール止めます春が通ります

紙飛行機一直線に雛あられ

肘打つてじいんと春を深めたる

湯けむりといふにははつか蜆汁

体内を酒がくぐりて桜かな

ねむたさもちうぐらゐなる春炬燵

しづくして薔薇の芽は薔薇を思ひ出す

ガーゼ切るこころもとなさゼラニウム

先生と書きてくすぐつたき杏

ラップしてしまふ六月あとわづか

走り梅雨のら猫だつたこともある

なんじやもんじや空が明るくなりすぎる

どしやぶりの如くに栗の花咲かす

部外者として昼の蚊と同席す

ひまはりや重ねて落すパンの耳

夏蝶のあけすけな身の晒しぶり

ドラセナをずつと抱へて冷房車

手羽先をぱりつと裂きて晩夏光

師系図の端より月のあがりけり

曼珠沙華長くはもたぬからおいで

だからもう葡萄に吐き出す種がない

つまさきを茸の国に差し入れる

二回目はどんぐり割れるほどに踏む

白紙委任桜紅葉に忙しく

梨剥いてまた体内をめぐる水

古書置けば秋蝶やはらかくとまる

紅葉へエレベーターの下りて来ぬ

舟より手を出さないでください鳥の渡りです

紅葉且つ散る優しい声で鳴く猫よ

くしやみして水より淡き空の色

デフォルメの行き着く先の蜜柑かな

吊るされてコートは影を切り離す

指でつくるにほんおほかみ冬銀河

人日のちりめんじやこの中に蛸

水餅のうすぼんやりと夜の底

埋火のごときポストを掘り出しぬ

膝と猫押し合つてゐる炬燵かな

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