しま・しましま

しま・しましま

最近の記事

眺めてすごす

眺めてすごす      しま・しましま わたしでなければいけない訳ではないだろうが求められればうれしい 差し出す 受け取ってしまったレシートで爪をみがく見えるきれいは大切だから いますぐにつよくなりたいカフェオレ味のビスコやわらかくやさしいあまさ そうか君はそういうやつだったんだなと言えばくすぐったそうに君はわらった 先に泣いた方が勝ちだよ天才子役の演技バトルのような愛だよ 冬の日はすぐにかたむき荒涼とベッドの上の影を濃くした 鏡の気持ちはわからないけど鏡を見れ

    • はまぐりのひらくまで

      春の俳句を五十句つくったので、その半分の二十五句を自選してみました。 だいたいいつも同じ季語しか使わないので、そのあたりなんとかしたいなと思いつつ、結局使い慣れない言葉を一句の中で浮かないように使うのは難しくて。 はまぐりのひらくまで              しま みづうみに影をぽつりと雛飾る ひる過ぎのあくびはふたつさくら貝 蛤のひらくまで夢を同期せよ 湯に塩をうちてふつふつ猫の恋 いぬふぐりかはりに泣いてくれないか 歌舞伎揚ざくざく噛んであたたかし 末黒野にまくらを

      • 句会のやり方(ウチはこんな感じ)4

        選句、披講が終わったら、次は感想戦。 参加者全員が、順番に自分の選んだ俳句ひとつひとつについて感想を発表します。 ここがよかった、 こういう感じかなと思った とか、なんでもいい。ひとことずつでも、あつく語ってもいい。ただし、自分が選んだ俳句についてのみ。 時間がない場合は選んだ全部ではなくて、特選に選んだ俳句についてのみ、ということもあります。 誰にも選ばれなかった句は、誰にも何も言われない訳なんですが、 「この句についてなんですけど……」 って句会後に個人的に聞いてみたり

        • 句会のやり方(ウチはこんな感じ)3

          清記用紙に並んだ俳句から、自分がいいと思った句(自作以外)を選句用紙などに書き抜いておきます。一句まるまる、略さずに、あとで人が読むのでそれを念頭に置いて。 一枚分が終わったら、今度は反時計回りに清記用紙を回していきます。 (ここで持参したノートなどに、全部の俳句を書き写す人がたまーにいるんですが、清記用紙が回るのが遅くなるのでオススメしません) 自分の振った番号から始まって、番号順に選句していって自分が清書した用紙が戻ってきたら終わり。 ざっと選んだ俳句から、規定の数に厳選

        眺めてすごす

          句会のやり方(ウチはこんな感じ)2

          参加者が持ってくるもの ○ペン  シャープペンはやめておいた方がいい ○俳句  その場で詠む場合もなくはないけど、だいたいは事前に言われた数を準備しておきます まず、参加者は準備してきた俳句を会場で配られる短冊に書き写します。 一枚につき一句。縦書き、無記名で。 書いた短冊は裏返して決められた収集場所に置くか、主催者に提出します。 同じく配られた投句控え用紙に投句した句全部と自分の名前を書いておきます(これはしばらく保管) 主催者は、全員の短冊が集まったら、シャッフルして

          句会のやり方(ウチはこんな感じ)2

          句会のやり方(ウチはこんな感じ)

          まず、主催側の準備 ○句会の会場 ○投句についての規定  題の有無とか、何句出すとか、ウチではだいたい『当季雑詠』(その時の季節で何を詠んでもいい)5句のことが多いです。季節の変わり目とかだと、どっちで詠んでもいいんじゃないかな。 ○句会で使う用紙 短冊(参加者数×投句数分)  A4のコピー用紙で8枚取るぐらいのサイズ 清記用紙  1枚につき3〜5句ぐらい書くことになります 投句控え用紙  参加者が出した俳句(全部)書いて、選ばれたらチェックするための用紙 選句用紙  参加者

          句会のやり方(ウチはこんな感じ)

          幻想句集・四『雷』

          ネットプリント幻想句集・四『雷』から一人一句、好きな句をあつめました。 掌に残った髪の生臭さ 西沢葉火「iwa」(川柳) たわしに乗って火星軌道へ 本間かもせり「時空調理法」(川柳) 仏壇を背負いて歩く夏祭り 涅槃girl「夏の魔物」(俳句) 皇帝に口答えするエスカルゴ 宮坂変哲「不思議の国」(川柳) 手から散る蛍が描く星の花 文月栞「ホタル散る夜は」(俳句) 都城 傾きて 影絵の ジラフのみ 笛地静恵「夏の影」(俳句) 仏壇を背負いて歩く夏祭り 涅槃girl「夏の魔物」

          幻想句集・四『雷』

          幻想句集・参『海霧』

          ネットプリント幻想句集・参『海霧』から一人一句、好きな句をあつめました。 眼球Aになるまでの手記夜盗虫 縞田径「まなうら療法」(俳句) 水中花鏡の奥に消えし日よ しまりす「夏の精」(俳句) 一斉に線香花火斬首され 多舵洋「夏の贄」(川柳) 行旅死亡人公告へ夏の蝶 愁愁「水面から」(俳句) 貝殻が叫んでいるよスガシカオ 千春「貝の甘さ」(川柳) マネキンの首をはずしてすげ替える 涼閑「篝火」(川柳) 行旅死亡人公告へ夏の蝶 愁愁「水面から」  「行旅死亡人」とはつまり身元不

          幻想句集・参『海霧』

          幻想句集・弐『虹』

          ネットプリント幻想句集・弐『虹』から一人一句、好きな句をあつめました。(わたし、しま・しましまも『虹』に参加しているので、それを除いた五句になります) 母逝きて待宵草に還り着く おふうちゃん「結界」(俳句) はんざきのおつかい珈琲豆買いに 珈琲と俳句「異形珈琲店」(俳句) 一閃の雷湖を貫ぬきぬ 砂狐「白狐譚」(俳句) 遠くから呼ぶ声のあり唾を飲む 西鎮「隧道へ」(川柳) レコードは泳ぐ 少女は目を閉じる たご団子「ジムノペディが聞こえる」(川柳) はんざきのおつかい珈琲豆

          幻想句集・弐『虹』

          幻想句集・壱『青嵐』

          ネットプリントの幻想句集・壱『青嵐』から、一人一句好きな句をあつめました。 浜茶屋の畳の上の栄螺鬼 赤片亜美「狂夏」(川柳) アバターの溺死うらやむ極夜の子 有無谷六次元「水あるところ」(俳句) かりそめの髪に絡まる母の指 榎本ユミ「醒めない」(川柳) 尾なびかせ麒麟駆けぬく夏の空 小澤ほのか「神獣の夏」(俳句) 肺魚飼う四畳半を二分して 川合大祐「燃える世界」(川柳) 弟だ入れてくれよという守宮 小川けいと「すぐそこに」(俳句) 肺魚飼う四畳半を二分して 川合大祐「燃え

          幻想句集・壱『青嵐』

          #僕の私の心の100冊

          『ホテル・ニューハンプシャー』ジョン・アーヴィング 『都市と都市』チャイナ・ミエヴィル 『死のロングウォーク』スティーヴン・キング 『不思議な電話』ミュリエル・スパーク 『時計じかけのオレンジ』アントニイ・パージェス 『望楼館追想』エドワード・ケアリー 『にぎやかな眠り』シャーロット・マクラウド 『廃墟の歌声』ジェラルド・カーシュ 『四十日』ジム・クレイス 『ふたりジャネット』テリー・ビッスン 『フリッカー、あるいは映画の魔』セオドア・ローザック 『シェル・コレクター』アンソ

          #僕の私の心の100冊

          クリスマスのちいさなバクとその家族

          飲み忘れたくすりを星ととりかえる仕事をバクがはじめたらしい 掃除機のコードをしまうスイッチで(おとうとは)ぶるんと跳ねて消えてしまった クリスマスツリーの上でうごけない星 箱の中で眠りにつくこいぬ ねえさんはポインセチアにラメを振る仕事で昼も忙しそうだ やさしい子だとわかっているよあたためてもらったミルクをすこし残して 明晰夢日記の中に母はいて出てこれないのだと泣いている 誰も夢をみない国などありはしないと出かけた父の長すぎる不在 クリスマスのちいさなバクとその

          クリスマスのちいさなバクとその家族

          長くはもたぬからおいで(俳句)

          所属してる俳句結社で合同句集を出すということで、過去5年の結社誌で発表した俳句から20句選ぶことになりました。 とりあえず、40句まず選んで、そこから半分に。 ここには、最初の40句を全部載せておきます。 かの子忌や二月は髪を切るに良き 一度目は誤報二度目は冴返る(三十年二月二十日) 静電気たつぷりためて猫の恋 プラレール止めます春が通ります 紙飛行機一直線に雛あられ 肘打つてじいんと春を深めたる 湯けむりといふにははつか蜆汁 体内を酒がくぐりて桜かな ねむ

          長くはもたぬからおいで(俳句)

          私家版 しあわせな迷子

          2月21日にミニ歌集を作ってみました。 正直、歌集を編むとか全然考えてなかったんですが、2月11日ある方とDMしてて急にギュンと自分の歌集を編むということに傾いてしまいました。 それからが結構早くて、ネットで激安な印刷屋さんを見つけ、もともとExcelで管理してた短歌をピックアップして誌面を考えてpdfファイルを作って、そうして同月の21日には出来上がった本が手元に届いたのでした。 今回収録したのは、ネット歌会「うたの日」とそこから派生したイベントに出したものを中心にして、所

          私家版 しあわせな迷子

          まえがみの影

          雨のように栗の木に花あふれはじめ思春期みたいに夏がはじまる 汗ばんだあかんぼは桃に似た匂い 家族の留守に買う桃ひとつ 傘立てにねじこむ傘に音のない悲鳴のような手応えがある スーパーのガラスすべてが結露してしばらく夏に囚われていた 飛びやすい言葉を追って熱のこもる玄関におろす買物袋 書かなかった手紙だけれど今日は君からの返事がとても読みたい スプーンがカレーのふちに触れるときかすかにずれてしまう水際 枕からはみ出た羽毛いまさらの自由の前ですこし震える 今日は朝か

          まえがみの影

          自選30首「お釣りとっといてください えっ足りてない?嘘でしょこんなに星は綺麗よ」

          じゃあ死にたてに触ったことはあるの と聞かれうんと答える すべすべの薬は甘い 舌のうえにぽつりと重さが残されている もうずっと夏だったような顔をして校庭に国旗掲揚台がある ある日オウムがきみそっくりに「ねえ」と言う いつかビールをこぼした窓に チラシと共に押し付けられた花種がかばんの中でひやりと触れる シンデレラやシンデレラ ねえさんたちが眠るから夜中は鼻をかまずにお泣き 「しっぱい」と言われてふいに収縮するエクボがあればその下あたり かなしさはどんなにやさしく

          自選30首「お釣りとっといてください えっ足りてない?嘘でしょこんなに星は綺麗よ」