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「Little Letter」曲目解説(2)ギルバートに

使用ギター:中野潤(2019)
使用マイク:Schoeps CMC65

アルバムをプログラムするにあたり、2曲目を重要視しています。
「2曲目最強説」(自論)
野球みたいですが、1曲目と2曲目のどちらかで「刺さる」アルバムは、かなりの確率で好きになります。アルバムの顔としての役割を、2曲目も担っているという捉え方ですね。

そう考えると、1曲目2曲目共に中野潤(2019)で弾いたというのは自分にとって新しい出来事でした。


さてこの曲。
雰囲気的には「最強」感はありませんが、個人的にはアルバム中で最も好きな曲です。

元々短いギター曲が好きで、自分のアイデアのサイズも2:30〜3:00くらいに収まる展開が多いです。ギターソロは歌詞も無いし、音色と各声部の旋律で冗長にならない展開を求めるとそのくらいに個人的にはなってしまいます。

もちろん尊敬するギタリスト達には長くても見事な曲を書く人がいます。
小川倫生さんは長大な展開を描ききる色彩感覚と表現力をお持ちだし、浜田隆史さんは楽節丸ごと転調する、一曲があたかも組曲のように構築されるクラシックラグの形式を駆使します。

しかし自分の持ち味というのはそう簡単には無くならないものです。それは何かと問われると答えるのは難しいのですが、「漂わせる感覚」のような言葉になるかもしれません。


例えば
曲を作る時、録音する時、「ああいうニュアンスを再現したい」というものがあり、それを音楽の中に漂わせる事をまず目指しているところがあります。

前にも書きましたが、それは相撲や野球だったりします。

本割で引いて負けた貴景勝が、決定戦では人が変わったような立ち合いをみせて快勝した!
…ようなコーダにしよう。とか


この曲「ギルバートに」の場合は、悲しみを湛えながら生きる人たち、という漠然としたテーマでした。
ギルバート・オサリヴァンが好きなのも、そういう世界観を感じるからからです。
彼には名曲がたくさんあるけど、どれもサウンドがさり気ないものばかりです。悲しい時も、それを爽やかな外観で隠しているような印象の曲が多い気がします。そういうところにいたく共感してしまうんですね。
悲しい時には思い切り悲しいと言おう。という考え方もわかりますが、私自身には合ってない気がするのです。

そんな事を曲に表してるうちにこうなりました。
タイトルはもちろん、ギルバート・オサリヴァンに捧げるという意味です。

ちなみに、タイトルは
「ギルバートへ」「ギルバートに」のどちらかで相当悩みましたが、「に」の方がより気さくなニュアンスを含むと思い、決めました。

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