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私のお友達(4)小川倫生

小川倫生(ギタリスト)

初めて小川さんの演奏を見た時の事は忘れられません。
私が演奏活動し始めて間もない、まだ20代の頃。
2002年か2003年。とある企画ライブでご一緒したのが出会いでした。

出会う前は繊細な音楽を紡ぐタイプのような先入観がありましたが、実物はかなりガツンとした弾き姿でかなり驚きました。そして何よりその音楽がすごかった!

堂々とした曲構成、自在で多種多様なテクニック、香り立つような転調も印象的で、全てが「小川倫生」の器に収まって不足なし。こんな人いるんだ!という驚きでした。

実際に話してみると人柄は気さくそのもので、1学年違いの同年代同士すぐに打ち解けることができました。

それからというもの、友達というよりはすっかりファンになりました。アルバムは完全にヘビロテになり、2ndアルバムを一日中ループしてた事もあったくらい。小川さんのアルバム、そしてライブは、イマジネーションの泉のような世界なのです。なるべく触れていたい。そう思わせる力があります。


小川さんに出会った企画ライブから、再び一緒にライブをするまではかなり時間が空きました。それは、私自身が小川さんと一緒にライブをするに見合うミュージシャンでありたいという気持ちが強く、自分自身が少なくとも許せる状態に至るまで、なかなか声をかけられなかったからです。
この「見合う者でありたい」という思いは、このお友達シリーズで紹介する全員に対して共通しているものです。大屋さんの楽器に、いちろさんや紅さんの音楽に、色々と不足は多いながらも見合うようなミュージシャンでありたいと思って今も生きています。

そうした時期を経て、小川さんとは2008〜9年頃から頻繁に一緒にライブを重ねるようになりました。
それぞれの地元で企画し続け、2012年からはツアーを組んで動くようになりました。ハイライトは、途中で駐禁をとられながらも最後にミニアルバムの録音まで敢行した2014年の西日本ロングツアーですね。またああいった滅茶苦茶なツアーもしてみたいですね。

ツアー中の1コマ。開演前に喋りまくる。

私は今でもずっと小川さんのファンです。
ここまで音楽の中に自らをそそぎ込める男を私は知りません。
しかもそこには努力する人特有の悲壮感はなく、かといって悟ったような諦観もなく、言うなればどんな世界の中でどんな状況にあっても、夢想し続ける強さを持っている人なのだと思います。

好きな写真。竹内いちろさん交えて開演前のリラックス。


*お気に入りの1曲は、アルバム「Night Jasmine」から
「チェルシーグリーンの日々」です。
本編が開始される前の、3段階のイントロとも言うべき導入からすでにファンタジーの森。テーマが流れ出すとラストまで一気になだれ込む感覚が中毒になります。
途中の細かい転調が”風景”の起伏となり、心の中の映像を聴くたびにアップデートできる稀有な楽曲です。


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