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私のお友達(2)竹内いちろ

竹内いちろ(ギタリスト)

いちろさんとは、お互い直接顔を見る前にライブを組むという珍しいパターンで出会いました。

2005年のモリダイラのギターコンテストで最優秀賞を獲られたいちろさん、もちろんお名前だけは存知上げておりましたが、共通の友人である大屋建さんから「名古屋近辺でライブするならいちろちゃんに声かけてみたら」と勧めていただいた事が直接のきっかけとなりました。

出会う前は、ソリストというよりもジャズフュージョン系のプレイヤーなのだと勝手にイメージしていましたが…

実際にステージを見ると印象はガラリと変わりました。

想像を超えてめちゃくちゃうまい。
そして音楽があたたかい。
それは無闇なハートウォーミングなどではなく「余裕」と「間」の世界が生むあたたかさでした。

弾くのが上手い人はたくさんいますが、瞬間瞬間に流れと空気をまとわせる「技術」を持つギタリストはその中でもほんの一部だと思います。

色々と荒んだ、破天荒な生活を歩んできたいちろさんですが…
その音楽の空気は、あたたかな世界に感じた。その瞬間が出会いだったのだと思います。

頻繁に共演を重ねるようになりました。

それからというもの、何度も共演しながら楽しい時間を共にしています。


いちろさんの弾く姿を見る度に、何かしらヒントを持ち帰ったものでした。
私たち2人は、音色の面ではアコースティックギタリストの中でも似通った部類だと思いますが、テクニックの中身が全く違います。

右手でいうと
いちろさんは手首全体を非常に柔らかく使い、かつ指の質量を活かして振り抜くように弾きます。
私はどちらかというと手首が固く、指で弦をとらえてからどう押し込むかに神経を使うタイプ。
両極端という話ではなく、バランスの割合の差なのですが、明確に違いがあるなあという印象を持っています。
私はいつも生徒に「指よりも大きな質量の部位、手全体、腕、肩、背中を意識して弾けるといい」と指導しますが、いちろさんを見るとまさにそんなアプローチです。いちろさんのライブを見て私自身の修正点に気づくことも多々ありました。

その行き届いた演奏は食にも活かされる。
いちろメシ最高。

人柄はその演奏同様、とても穏やかで優しい。
物事への目線は常に鋭いいちろさんですが、人に対しては常に繊細な気遣いをされる、本当に優しい人だと思います。

こうして書いていると、そろそろいちろさんと車で2人旅したくなってきました。いちろさんと話しながら移動するのがまた楽しいんですよ。


※ミュージシャンの友達を紹介した時は、私のお気に入りの一曲を紹介します。
名曲名演揃いのアルバム『Takeuchi Ichiro』より。『ヒミツ基地』を挙げたいと思います。
実にいちろさんらしい、間のあるフレージングと心躍る展開。いつ何度聴いても飽きない素敵な曲です。

いちろさんのご自宅。ライブ会場「久茂」にて。
ヴィオラの三好紅さんと。


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