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K-POPのデザイン1: ミンヒジン

K-POPアイドルのクリエイティブを語るにおいて、まずはじめに名前が上がるであろうミンヒジン氏。彼女の仕事と、その中で個人的に好きな作品、その他それに関連して私が思う事について書こうと思う。 To international fans, pls click the link below to read the same content. SMエンターテイメントは、韓国大手芸能事務所のひとつ。所属歌手は、BoA, 東方神起, SUPER JUNIOR, 少女時代, SHINe

    • K-POPのデザイン16: ウェブにナラティブを取り戻す

      パッケージ、MV、スタイリング、ビジュアルデザインなど全方位に高品質なK-POPクリエイティブにおいても軽視されがちなのがウェブ分野だが、その中でも数少ない事例を紹介。 (コミュニティアプリ・ライブ配信・ビハインドなども広義の意味ではウェブコンテンツだが、ここではいわゆる特設サイトについてのみ触れる) * * * NewJeans.krNewJeans 「New Jeans」 2022 プロフィールを入力して作るファンIDカード、メンバーの3Dアバターを着せ替えできるキ

      • K-POPのデザイン15: aespaのアシッドグラフィックス

        2020年にSMエンターテイメントからデビューした aespa は常に前衛的なビジュアルを作ってきた。デザイン面におけるアイデンティティのひとつに、アーティストロゴに象徴される「アシッドグラフィックス」がある。この文脈に触れながら、aespaまわりのビジュアルを振り返りたい。 前回の LE SSERAFIM ブランディングにあったような整合性やロジックは一切ない、ただその瞬間でカッコいい表現だけでやってきた感(ストーリー設定はあるが誰も理解できない)。これこそがK-POP、S

        • K-POPのデザイン14: LE SSERAFIMのアイドルブランディング

          K-POPグループのブランディングについて考える時、最も入念に準備され矛盾なく機能していると言える事例は、LE SSERAFIMではないだろうか。実際に世界3大デザイン賞のうちの2つ「Red Dot Design Award 2022」と「iF DESIGN AWARD 2023」においてそれぞれブランドコミュニケーション部門で賞を獲得していることもそれを証明している。 ブランディングを行った韓国のブランドデザインコンサルHuskyFoxの資料を紐解きながら、デザインの視点か

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        K-POPのデザイン1: ミンヒジン

          K-POPのデザイン13: 概論B

          前回の概論で収まらなかった雑記などをまとめて放出する。全て断言できるような考察ではないので、よもやま話としてどうぞ。 * * * オランダ起源大学でデザインを教えている知り合いと、これまで書いたnoteの内容について話したところ、以下のような見解を得た。 * * * ハングル文字 前述の通りハングル文字もデザインの自由度に貢献している。韓国語自体は文法など言語的には日本語に近い言語であるが、ハングル文字をグラフィック要素として評価した場合、それぞれがジオメトリックな形

          K-POPのデザイン13: 概論B

          K-POPのデザイン12: 虹をかけたJYP

          JYP総合プロデューサーであるパクジニョン氏は、第2世代期にWonder Girlsとともにアメリカ進出を試みた。興行的には成功とは言えない結果であったが、その後の窮地をTWICEが救い今度はその彼女らとアメリカ進出を目指し大手 Republic Records とパートナーシップを結んだところだ。 一方JYPの新しいビジョンのひとつに「Globalization by Localization」というものあり、このフラッグシップとなっているJYP初の日本人グループNizi

          K-POPのデザイン12: 虹をかけたJYP

          K-POPのデザイン11: テクノロジーを信じたSM

          80年代歌謡曲しかなかった韓国音楽界で、日本のジャニーズ文化を研究し韓国流にアレンジして最初にアイドル産業で成功したのがSMであり創設者イスマン氏である。そんな彼とSMのひとつの集大成が、創立20年の2016年に構想をプレゼンテーションした「New Culture Technology, 2016」であり、同年正式デビューした NCT(Neo Culture Technology)であった。 新しい文化技術(NCT: New Culture Technology)へと進化し

          K-POPのデザイン11: テクノロジーを信じたSM

          K-POPのデザイン10: アートに寄り添ったBigHit

          第2世代を牽引したビッグ3のひとつであり前回紹介したYGに取って代わるように近年台頭しているのはBTS率いるBigHitであり、そこへ移籍したミンヒジン氏の記事からこの連載も始まった。彼らの近年の活動は音楽的功績を超えた今までにないアート領域への本格的な挑戦にも見える。そして他のビック3であるSM/JYPについても音楽以外の観点でどのような事が言えるのか順に考察したい。眉唾物も含めいつもより雑な見解なのであしからず。 * * * BTSはアートプロジェクト『CONNECT

          K-POPのデザイン10: アートに寄り添ったBigHit

          K-POPのデザイン9: ミンヒジンのライバル

          今でこそ多くの事務所がパッケージを始めとした細部にもクリエイティブ投資をしているが、K-POP第2世代の時代からSM同様に社内でクリエイティブディレクション文化を育ててきたのはYGであった。「SM's Art Director vs YG's Art Director」という記事がよくあるのはそのためだろう。そのYGの礎を築いたチャンソンウン氏とシンシティ氏を勝手にミンヒジン氏のライバルとして紹介したい。 * * * Jang Seong Eun @MA+CHCreati

          K-POPのデザイン9: ミンヒジンのライバル

          K-POPのデザイン8: 続ポスト・ミンヒジン

          以前の連載記事でも触れたが、あれから新しい情報を含めてSMの新体制を仮定義してみた。まず最上位にイスマン氏やキムヨンミン氏のマーケティング・エグゼクティブレイヤーがある。続いてクリエイティブ最上位の抽象的コンセプト段階からスタイリング選定を経て具体的なパッケージデザインに降りていく流れがある。この部分の3レイヤーを Content Producer, Visual Director, Art Director という肩書きで理解するのが分かりやすいだろう。 [コンセプト -

          K-POPのデザイン8: 続ポスト・ミンヒジン

          K-POPのデザイン7: アートディレクター

          K-POPクリエイティブの "らしさ" を象徴するものは、楽曲・ダンス・スタイリング・パッケージデザイン、そして何よりMVのセットデザインが顕著だ。一般的にアートディレクターといえばグラフィックデザイン面の統括者というイメージだが、K-POPの場合は以前紹介した映像作家と協業してセットデザインやプロップデザインを手がける「MVのアートディレクター」も大きな役割を担っている。 最近で言えば、ほぼ同時期に公開された Agust D '대취타' と LAY '莲 (Lit)' が

          K-POPのデザイン7: アートディレクター

          K-POPのデザイン6: フォトグラファー

          ジャケットデザインの写真を担当していて複数作品参加している人を主に掲載。ファッション誌については数が膨大なのでグループごとにした。リンク先にクレジットがあるのでそこからどうぞ。全体的に相変わらずSM贔屓なのはご容赦。 Hye-Soo Kim TAEYEON, SHINee, EXO, SUHO "Self-Portrait", Red Velvet, NCT127, NCT DREAM, SuperM, Beyond LIVE instagram: @kimhyesxx

          K-POPのデザイン6: フォトグラファー

          K-POPのデザイン5: 映像作家

          デザイナー編から映像編へ。プロダクション・映像Dir・撮影Dirで役割が異なるので、同じMVでも複数の所に掲載あり。アーティストの歴代MVをほぼ担当している場合は特定の曲の記載なし。掲載しきれない作品も膨大にあるので、あとはそれぞれのInstagramとVimeoをフォローして各自でどうぞ。 * * * GDW [Creative agency, production, directors] SuperM, BTS, IU "eight", Red Velvet "RBB

          K-POPのデザイン5: 映像作家

          K-POPのデザイン4: デザイナー

          前回の概論がまだ完結していないが、書いてても読んでても湿っぽい内容になったので気分転換。今回はK-POPのクリエイティブに貢献している優秀な人材をただただ掲載。Instagram全員もれなくフォロー。 Sparks Edition Design studio based in Seoul https://sparksedition.com 「Map of the Soul: 7」のデザインに関するインタビュー 「7人が7年をともに過ごしたというコンセプトを表すため、各メン

          K-POPのデザイン4: デザイナー

          K-POPのデザイン3: 概論A

          前回まではSMエンターテイメントだけに限った話だったが、K-POP全体のクリエイティブの特徴というもう少し大きな括りで見ていきたい。 またその独自性を語るため補足的に、K-POPと酷似していながら時に対照的でもあるJ-POPアイドルのクリエイティブの例も入れていく(といってもJ-POPアイドルは多様性がありすぎるし詳しくないため、比較は一例でしかない)。ちなみに「J-POPは育てる文化で、K-POPは完成度を求める」など、音楽性やアイドル本人たちの成長物語性などでの言及は他で

          K-POPのデザイン3: 概論A

          K-POPのデザイン2: ポスト・ミンヒジン

          前回からの続き。前回言及したNCTの作品の詳細をミンヒジン氏とそれ以外のアウトプットで比較した後、退任後のSMクリエイティブは具体的にどのように変わっていくのか考察したい。 To international fans, pls click the link below to read the same content. ミンヒジンが担当しなかったNCT 現状SMでいちばん若手グループのNCTは、無限拡張をテーマにメンバー数に決まりがなく流動的な編成を行う。ザックリいうと多

          K-POPのデザイン2: ポスト・ミンヒジン