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1500字で年輪のような生き方を志向する

 ふだん、通常の勤務時間とは関係なく、朝早く職場に来て仕事を済ませたり、平日のスポット休みでもこまごまと入ってくるビジネスチャットに対応したりと、逆な意味で柔軟な働き方をしているので、
たまにはビジネス上の出張ミーティングにかこつけて、自分の気心知った相手との時間を共有してもよいだろうと、早朝にやるべき仕事を仕上げて、あとは部下に任せ、自分は午後から出かけていました。
 
 あちこちで歩いたので、スマートウォッチで2万歩を超えました。風は強いですけど、思ったほど寒くはなかったですね。

 3人の人と別々に会い、現状の課題解決につながるようなダイレクトな話をできたわけではありませんが、20年来の知己であったり、かつて上司と部下の関係であったり、同じプロジェクトで苦労を共にした他社の現場指揮官であったりと、これまでの関係性は異なれど、今は立場を超えて一人の人間として付き合っている感じです。

 仕事の話は共通の話題としての潤滑油であり、そこはまあ、何かあればよくて、メインは気心の通う相手とのコミュニケーションです。

 最後にあった20年来の知己とは、人生、最後まで坂を上りつづけたいよねというような話になりました。

 若くして名声を得るというのは、うらやましくはあり、若い時にお金と力を手に入れれば、それによって若さゆえ、多くの欲を満たすことに使うことができるでしょうから、一時の楽しみは大きいのでしょうが、それをずっと続けるのは大変です。

 やり過ぎてしまえば、体は壊してしまうし、取り巻きが忖度するようになれば、裸の王様になりいずれ人望を失い転落します。

 大きな失敗をしなくても、高みを極めるほど落ちることが恐ろしくなり、不安を抱えながらも目線を下げられずに、虚勢を張るようになります。

 頂上の位置を譲り渡し、多くのものを手放すというのは、自分の中に別な強みの物語をあらかじめ複線として持ち、そこに乗り換えても自己実現はできる、そんな有力なオプションを持つことが必要で、いきなり頂きから降りて一個の人間に還るというのは、それこそ出家でもしない限り、難しいように思います。

 坂を上り続けるということは、その中途では満たされない思いもあり、モチベーションを維持する意思の強さも求められます。あまりに低空飛行では、満たされない思いが強まり、若いときにいろいろ我慢をして、人生の楽しみを得られないということになり、それはそれでつまらないですし、急な坂道を上がり続けることは、どこかで息切れを起こしてしまいます。

 現状を打破する上昇志向は生きるうえで大事ですが、どうしても限界があることから、どこかで木が年輪を重ねるがごとき、人生の幅を広げ、層を厚くしていくような、生き方に切り替えていくことが大事かもしれません。

 年輪を広げていく中で、周囲の人との理解を深めることも大事でしょう。家族と言っても、意外と理解できていなかったり、お互いの思いを知る時間を作れていなかったりします。

 また、失敗し、誤解され、人に誹られたり痛罵されたりといった思いをすることもあるでしょう。これは、頂きを目指すと転落につながりかねませんが、年輪に刻み込むことで、人間の幅を広げる営みに取り込んでしまいます。
 日々、訪れる数々の喜怒哀楽の出来事や、人生におけるライフイベント、アクシデントも、年輪を重ねる幹の一部になっていきます。

 不平不満や不足は言えばキリがありませんが、それも含めて自分の人生であり、自分の生き方を否定したところで、人生は返ってきません。せめて、自分ぐらいは自己の人生を肯定しつづけられる、そんなふうにありたいものです。


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