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生き方が表現になる時

いろいろ書きたいことが混みあっていてどうしようかと思っているのだけど、今回はテレビの話。

トラジャの新曲の振付も最高だったs**tkingz 。
どこがどう最高だったかは、また後日書くとして。
彼らがチャップリンの「独裁者」のスピーチシーンに合わせて踊るというコーナーがあるのを知り、日本テレビで放送していた「世界を変えた20人のアーティスト」という番組を見た。

パフォーマンス前に、なぜこのパフォーマンスを作ったのか、どのような思いがあったのかという話をしていた。
ダンス活動を通じ、世界中の仲間たちが差別や偏見に苦しんでいることを聞いてきた4人。
きっと彼らが見たり聞いたりしたのは一つのことだけじゃないだろうし、映画のスピーチの内容もそれだけにとどまらない。

白い衣装で、スピーチの文字に合わせて踊る4人。
シンプルであるがゆえに、体から発せられるエネルギーが、思いが、迸る。

エンターテイメントは、心を豊かにしてくれる。
辛いことを忘れ、明日の活力をくれたり、時には安らぎをくれたりもする。
パフォーマンスを楽しむことで、心が癒えていく。
私は、人には見たくないものを見ない時間も必要だと思っている。
けれど、そのことでそれ自体が存在しないかのように生きることは、私には無理だ。
たとえばXを1日眺めて居れば、世界で、日本で、あらゆることが起きていて、それらは自分の生活とつながってもいて、誰もが楽しいことだけを見せるエンターテイメントしか存在しなかったとしたら、どこか虚しくないだろうか。
(ふと、「虚飾」という言葉はよくできているなと思う。)

s**t kingzのパフォーマンスを見て、何か感じること。
それだけでも、意味のあることだ。

ちなみに、この番組のゲストには森崎ウィンが出ていた。
特に発言はしていなかったが、彼はミャンマー人の両親を持つミャンマー人だ。
ミャンマーの人権団体によると、この3年間に軍による攻撃や弾圧などで死亡した市民は4400人以上に上り、いまも2万人近くが拘束されているとみられている。

そして今度は、ミャンマー国軍の徴兵制度が始まるという。
自分たちを苦しめている者のために、戦わなければならないのだ。
森崎ウィンは、s**t kingzのパフォーマンスをどう見ただろうか。
彼はSNSでも、戦争はもう嫌だと声をあげているし、折に触れそう伝えて来た。
ラジオで聴いた「Heal The World」(Michael Jackson)の弾き語りは、願いのこもったものに感じた。
彼らがカメラの前で直接言葉を交わすところはなかったように思うが、きっと何か感じ合ったんじゃないだろうか。


世界が楽しいことだけで満たされたらいいのに。
だけど、一人の人間が楽しいことだけで生きていくことができないように、それもまた不可能な事なんだろう。
それでも、私は抗っていきたい。
可能な限り、声をあげたい。
s**t kingzのパフォーマンスには、「僕らも同じ気持ちだよ。」と言ってもらえた気がして、少し勇気をもらった。

痛みを分け合うこと。
そこから始まるのだと思う。

4年前にアップされた彼らの動画には、このパフォーマンスを制作するにあたっての思いが綴られている。

…Black Lives Matter 運動以外でも、新型コロナウィルスがもたらした混沌や差別の問題なども含め、 世界で起こる「自由と平等」の問題を目の当たりにしたときに 「s**t kingz という表現者としての考え」を、 しっかり世の中に表明すべきだと考えました。
【この作品(楽曲)を 選んだ理由】
そんな中でs**t kingzのチーム全員が尊敬している 世界的エンターテイナー、s**t kingz・チャップリンの映画『The Greate Dictator』の最後のスピーチに出会いました。 長きに渡り、ノンバーバル ( 非言語 ) で 人々をハッピーにし続けてきたチャップリンが、 はじめて映画の台詞 ( 言葉 ) を通してメッセージを発信した、 その行動に感銘を受けました。 そんなチャップリンが、本作で訴えている 『自由・平等』の問題は、未だに解決される事なくあらゆる場所で様々な形で続いている。 だからこそ、時を超えて、 彼のその映画の1シーンの台詞に乗せて、 自分たちの表現 = ダンスで『自由・平等』を世界に訴えたいと思いました。

s**t kingz公式YouTubeチャンネル概要欄より抜粋

そして私が大好きなTravis Japan。
s**t kingzという一流の人たちと仕事ができる幸運。
もちろんこれは、これまでの頑張りがあったからこそ。
そしてトラジャと仕事をした誰もが彼らを大好きになってしまう、その魅力。
シッキンさんもラジオでベタ褒め。
きっと嘘はないと思える話なのが、ファンとして嬉しい。
これから積み上げる経験の中には、こうした一流の表現者との交流があると思う。
彼ら自身、長い下積み時代を笑顔と作品に昇華してきたのを見ているから、今の経験がこれからのトラジャを作っていくことを、これからも楽しみながら見守っていきたい。

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