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映画「市子」〜好きだけが本物

2023年

重い。

杉咲花さんのひとつひとつの
表情が、頭から離れなくなる。

時系列が錯綜するので
あれあれ?ってなるんですが

それが狙いであり、
登場人物たちの心でもあるのかなと思いました。

・・・・・
この国に無戸籍の人々が存在しているのは
知っていました。

でも
その大半が「離婚後300日問題」が原因だったり、

支援団体が存在することを
はじめて知りました。

物語として見なければ知り得ないことは
あるものですね。

・・・・・
市子の人生はかなり特殊だけど、

普遍的なテーマを扱っているとも思います。

本当の自分てなんだろう?
いろんな人に出会って見つけていく
人生の旅物語。

出会う人によって、環境によって
違う自分が存在してもいいじゃないか。

だって、今は今にしかないんだから。
・・・・・・

市子が言う「好き」が好きです。

『花は水をやらんとあかんから好き』

『花火が好き。』

『ケーキが好き。』

『お味噌汁が好き。夕方あちこちの家から味噌汁のにおいがしてくる』

『長谷川君とひとつの布団にくるまって、、、
長谷川君のにおいがする』

・・・・・
自分にとっての『好き』だけが

その人にとって確かなもの。

どこの誰で、過去に何があって、

そんなものは、消えていくもの。
あるようでない。ないようである。

いまこの瞬間ケーキを食べて
あー幸せと思えたら最高や。


・・・・・
北くんは、市子のヒーローになろうとしたけど

心を無理やりこじ開けてしまった。

あの団地に無断で入っちゃいけなかった。

だから、本当のヒーローにはなれなかった。

長谷川君は、ただそばにいてくれて、
媚びなくていい関係。

でも本当のことは言えない。

キキは、市子に夢の大切さを教えた。

でも、
夢は自分で見るもの。

だから、市子はまた旅に出る。

市子に出会うために。

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