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なぜUSJはターゲットを広げたのか

【ターゲティングの成功事例】

自分たちの商品やサービスを「誰に」届けるか。ターゲットを決めることはビジネスに欠かせない。

万人を狙ったマーケティングは成功しないというのが定説だが、一方で過度にターゲットを狭めすぎて総量の少ない市場を選ぶと、その市場を発展させることができなければ売上は伸びない。

ブランドの目標を叶えられる市場規模か、成長性や将来的な収益性が見込める市場か、ブランドの強みや優位性を生かせるか、競合はどんな商品・サービスで勝負しているのか、

などなど、あらゆる角度から分析を行い、ブランドにとって最適なターゲットを見極める必要があるのだ。

USJ:ターゲットを大幅に広げて成功

2015年にはTDLを抜いて日本一の集客数を記録したユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)。

今やTDLと並んで日本を代表するテーマパークとなったが、実は開業3年目にして経営破綻に陥っていた。

対策としてUSJは、P&Gのマーケター森岡毅氏をヘッドハンティングし、彼に事業の存続を委ねることにした。

森岡氏は事業立て直しのために100を超える施策を打ち出したというが、その中でも大きな鍵を握った施策が、ターゲティングの見直しだ。

それまでのUSJのコア・ターゲットは「映画ファン」。しかし、それはあまりにも幅の狭いターゲティングであり、テーマパークの規模が求めるべき顧客数を得られなかったのだ。

そこで彼が狙ったのは低年齢の子ども連れファミリーと、関東圏や海外の顧客。ファミリー層を惹きつける施策として、ユニバーサルワンダーランドをはじめとするファミリー向け施設を充実させる。

そして、関東や海外から客を呼び込むために、圧倒的な集客力を誇る「ハリー・ポッター」に巨額の予算を投じる。

USJは映画のテーマパークから、エンターテインメントの総合テーマパークへと変貌を遂げた。

ブランドの持つ特性に合わせてターゲット層を広げたことで成功したケースだと言える。

最後に、森岡氏のターゲティングに関する考え方を紹介したい。

「消費者を区切ってターゲティングすることは、M(プレファンス:消費者の選好性)を増やすためであって、決して自社ブランドのMを狭めるためではないのです」
「ターゲティングや競合との差別化、などの手段が先に立ってしまって、大切な自社ブランドのMを不必要に狭めてしまっていることが多いのです」


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