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【フードエッセイ】久慈のしめ鯖を陸前高田のお醤油でいただく

 一昨日の晩酌は、岩手県久慈市のしめ鯖を同じく岩手県の陸前高田市の八木澤商店さんのお醤油でいただいた。

昨夜の晩酌風景

岩手県久慈産のしめ鯖
福島県いわき市の板かまぼこ
宮城県産の白菜と人参の中華風炒め
手羽元の塩焼き

 買い置きしておいた魚を先日に食べ終えてしまったので仕事帰りに近所のイオンに立ち寄ったところ、久慈のしめ鯖があったので購入。
 久慈といえば、2013年に放送され昨年の再放送でも大きな話題を呼んだNHKの朝の連続テレビ小説ドラマ「あまちゃん」の舞台となったことでも知られる街である。


 ドラマでは久慈のウニの美味しさが物語のポイントのひとつにもなっていたが、ウニだけでなく魚も美味しいのは言うまでもなく、今回のしめ鯖も見た目の美しさそのままに美味しかった。大ぶりのサバも美味しいけれど、サイズによらずこうして丁寧に加工されたサバもまた美味しい。

 合わせたお醤油も、また美味しかった。八木澤商店の醤油やぽん酢、麺つゆは、北海道にいた頃からのお気に入りである。

 東日本大震災の後、私は糸井重里さんの「ほぼ日刊イトイ新聞」を通して(株)ミュージックセキュリティーズの被災地応援ファンドを知った。
 「募金」ではなく、被災した企業を直接支援するというその取り組みを知った私は、当時の勤務先にご親族を陸前高田で亡くされた方がいた事もあり、陸前高田の2社への支援を申し込んだ。
 そのうちのひとつが、八木澤商店だった。

 けれど、支援を初めてしばらく経ち商品の販売が再開されてから、応援するような気持ちで八木澤商店の購入した私は、お取り寄せで届いた品々を口にしてから、意識がガラリと変わった。

 食べて応援・買って応援なんて言葉が失礼に思えてくるほどに、八木澤商店の醤油やぽん酢がめちゃくちゃ美味しかったのである。
 いやマジで別物なレベルで。
 特にぽん酢は絶品。

(最近度々noteでも触れている福島県浪江町の「浜の輝たまねぎポン酢ドレッシング」も超美味いが、東北地域のぽん酢商品のクオリティの高さはもっと話題になって良いのではないだろうか。ちなみに我が宮城県では気仙沼のゆずポン酢も美味しくておススメである。)


 以来、北海道にいた頃は度々お取り寄せしていただいていたのだが、宮城に来てからはあちこちのお店で日常的に購入して美味しくいただいている。
 今回も、美味しかった。

 宮城の魚も美味しいが、岩手の魚も美味しい。
 魚だけでなく、他にも美味しいものがたくさんある。
 身近な食材を毎日美味しくいただけるのは本当にありがたくて幸せなことだと思う。




 震災なんて、絶対に無い方が良かった。
 でも、13年前のあの震災があったから出会えた人や初めて知った場所、好きになったお店等がたくさんあるのもまた事実。

 「転んでもタダでは起きぬ」

 この言い回しは、本来は強欲な者を揶揄する表現だった。
 けれど、多くの人々の命を奪い去り暮らしを破壊した災害に対しては、強欲なくらいに立ち向かっても良いのでは無いか。
 転ばされっぱなしじゃ、あまりに悔し過ぎる。

 石川県にも富山県にも、北陸の他の町にも、美味しいものや素敵な品々がたくさんある筈。
 人や物の流通が戻り始めたとのニュースを見ながら、我が家はお取り寄せの準備を始めている。



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