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【メルボルン】The Royal Children's Hospital婦人科見学

メルボルンのロイヤル小児病院を見学。婦人科の思春期外来担当のシャーロット先生の外来に同席。

この婦人科外来ではジェンダー外来とは名付けず、シスジェンダーの子供、トランスジェンダーの子供もまぜこぜで診察していました。

今回の患者さんは、小学生から高校生と、さまざま。
18歳未満は、母親や父親同伴でした。

すべてのカルテのはじめには
Assigned at birth
Gender identity
Pronounce
が記載されてあり。感動。

COVID後、病院受診とテレビ電話が選択できるようになり、
遠方の方はテレビ電話で診療。

オーストラリアは【内診】などの婦人科診察はほとんどしないらしい。
そのため診察内容はほとんどがお話のみ。
テレビ電話の人も多かったです。

日本の婦人科外来は診察が多いの?
外陰部はパーソナルな場所だから、オーストラリアは本当に何かないとき以外、内診などの婦人科診察はしないんだよ。

とのことでした。

オーストラリアの医療制度は日本と大きく異なります。

普段は家庭医が診察するのだけれど、専門性が高くなったとき、患者さんが望んだとき、家庭医からRCHに患者紹介になるらしく。
RCHの患者さんコストは全員無料。だそうです。

診察時間は基本的に45-1時間。
ゆっくりお話を聞きます。

一人一人個室で患者さんとお話。

他の医師へのコンサルトはチャット。
「今空いてる?この患者さんお願いしたいのだけれど」みたいな感じ。
協力しあってみんなで外来をしていました。
「この患者さんは私みるねー」と、チャットでやりとり。

医師みんなラフな私服でした。
たくさんのタトゥーが腕に入っている医師もいたり。
オシャレタトゥーのような、いくつかポイントで入っている医師もいました。

患者さんを呼ぶときは、医師が待合室まで行って患者さんを呼びます。
その後一緒におしゃべりしながら、医師の部屋に入ります。
仲良しの友人宅に来たような気持ちで、患者さんはリラックスしてお話できる人も多いのかな?と思いました。

血圧も医師がお部屋で測ります。
ゆっくりお話をして、からだに触れ聴診器をあてる。
いい診察だなあ、と思いました。
看護師さんには一回も会わなかったが、どこにいるのだろうか…

さて。
トランス患者さん(小中高校生)の診察中の対話の内容ですが。

学校どう?
クラブは何してるの?スポーツはやっている?
ペットは買ってる?
誰と一緒に住んでるの?家族はサポートしてくれてる?
今パートナーはいるの?
毎日たのしい?好きな趣味はある?お友達はいる?
何して遊んでるの?
つらいことはない?
今の気持ちはどんな感じ?

患者さんの毎日がどんな感じが、優しく語りかけていました。
問診の中で、孤立していないか、希死念慮はないかなど、キーポイントが散りばめられてました。

シャーロット先生は、婦人科の視点からトランスジェンダー診療を行う医師でした。
そのため、性感染症や妊娠、中絶のお話もしていました。

・最後に性感染症の検査をしたのはいつ?
・コンドームは使っている?
・ピルは飲みたい?
・ホルモン療法をしていても、(自分or相手が)妊娠することはあるからね。
・妊娠には十分きをつけること。
・たしかに中絶はできる州だけど、中絶の前に妊娠しないように気をつけなければいけないよ。
・乱暴はされていない?性被害は大丈夫?

オーストラリアのメルボルンの州は妊娠24週まで中絶可能だそうですが。
妊娠については、時間をかけて説明していました。

先生、大丈夫だよ。

と、患者さんは言ってましたが。

ちゃんと説明すること。何度でも。
このように、トランスジェンダーの予期せぬ妊娠の指導は、とても重要だと思いました。

トランス男性の妊娠だけでなく、トランス女性のパートナーが妊娠、ということもありますよね。

10歳でも、性感染症や避妊のお話はする、と言っていました。



さらに。
二次性徴抑制(Puberty Blocker)開始時には。
トランスガールにこんなお話も。

思春期の発達次第では、早くて10歳くらいから二次性徴抑制薬を使用するそうですが….
10歳にもきちんとお話してました。

二次性徴抑制薬からそのまま女性ホルモンを続けた場合、陰嚢の皮膚が成長しないのね。
だから造腟術の時に複雑な手術になる可能性があるの。
(陰嚢反転法ではなく、S字になる話をしていました。)

ホルモン療法はAusPATHのガイドラインを用いて、きちんと説明。


テストステロン開始前には。

・ホルモン療法中にも、妊娠することはあるよ。
避妊はきちんと行うこと。ピルが必要な場合は言ってね。

・もしホルモン中に不正出血があれば、黄体ホルモン製剤で止められるから教えてね。

・将来、子どもはほしい?どんな家族になりたい?
・もし将来、子供が欲しかった場合。子宮卵巣が残っている場合には、ホルモンをやめて自分が妊娠することもできるよ。


エストロゲン開始前には。

・将来こどもはほしい?
・ホルモンによって精子量は低下するから、もし子供を希望する場合があれば、精子凍結を提案するよ。


きちんと。
妊娠のこと。避妊のこと。家族計画のこと。
精子凍結の提案まで、していました。

メルボルンはセクシュアルヘルスケアが素晴らしいらしく、
性感染症検査は無料で、トランスジェンダ―のことも医師みんな知っているらしい。

シャーロット先生と。


とても忙しい中で、
私に質問を投げかけてくれて、
私もたくさん質問することができました。

シャーロット先生、ありがとうございました。

私は何歳に見える?
あなたもなかなかのベビーフェイスだけど、私もなかなかのベビーフェイスでしょ!

の発言が、とてもキュートな先生でした。

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