Ueda Takayasu

1984年生まれ。マスタリング、ミックス専科スタジオSinging Frog Stud…

Ueda Takayasu

1984年生まれ。マスタリング、ミックス専科スタジオSinging Frog Studio兼エクスペリメンタルレーベルUnfinished House(UH)主宰。 数々のアーティストへのエンジニアリングの他、ソロワークスに「Boma(母間)」など。

最近の記事

Ichigatsu No Hotori(Lovers,let's cross the sea)

窓辺につたはのびていますか ガラスに垂れた しずくでは かわきは止みませんか ね? 澄みきった川でパン屑がまぎれて それを マガモが 飲み込んでも 飛びたてると    おもうの? 僕はそこで巣立てないし 君もここで 羽 さえも 伸 ば し え な い だから 雲を 呼ぼうよ とぅ とぅ とぅ とぅ 一月のほとりで   さ * SUZURIにて2点の写真をグッズ化しました。 https://suzuri.jp/singingfrog1229

    • あたりは寒波/陶器としての便座/ピントの合わない聴力

      どこでも寒すぎるので、 いつでも体調をくずしやすい。 強い考え方は反作用が多いので、 いつまでも浮かない気分だけが指針となるのだろう。 * やる気などずっとないので、 便座を磨くようにいつの間にか熱中するしかない。 とにかくタスクを。 * Bill Fayのリリースが気になって、けれどまともに聴けないだろう。 買うことと聴くことはずっとべつ。 聴力が時流とは完全に別の流れにそっているからだ。 ものすごく聴いているようでなにも聴いていないこの数年。 もうきっと作ることに

      • 酔い/子虎/出汁

        酔いを醒ますには 鏡を見ながらゆっくりと水を飲むしかない。 起きてもひどい場合にはくわえてチーズとゆで卵。 * 子虎はあからさまな仮病を使うし、 小傷でも得ようものならその部位がひどい熱をもつかのように訴えていておかしい。すべて気のせいだ。 けれどいまほとんどの病はずいぶん発明されてしまった。 * 真冬にとうとう出汁が自販機で売っていることを喜んだほうがいい。

        • 筋肉/さみしい/繊細

          筋肉は裏切らないと言うが、 おそらくそれは筋肉のことについてだけだ。 しかも筋肉は階段での昇降を嫌っていて、 今日はやたらと動き回されて、かかとが裂けた。 * さみしいことはきっと素晴らしいし、 なによりそこに他人がいないことがいい。 ずっと病院にいかなければ、 ずっと健康なこととも似ているのかも。どこが。 * 最近、繊細かもしれないと 触れ回るとかならず驚愕の笑いをとる。 [お知らせ] Apple Music公式のプレイリストに入曲していました。 新作と旧作2曲

        Ichigatsu No Hotori(Lovers,let's cross the sea)

          みつ豆工場/デジタルウォークマン/飼育鳩(20211209)

          はじめて会う人すら懐かしく思えて、 みつ豆工場では目元しか見えない人から指示を受け続ける。 その方が祖母の目に似ているといつも見つめ返しては慈愛のない仕事をする。 * デジタルウォークマンの参照するフォルダを間違えると「音楽が見つかりません」と表示されるのは皮肉が効いていて良い。 * 夕刻に40羽ほどのハトが旋回する中空をみやって、 そのもとを足早に通り過ぎる日々。 いくつかの濃い木影も無視しながら。

          みつ豆工場/デジタルウォークマン/飼育鳩(20211209)

          音楽たくさん/原理/ショート(20211208_2)

          つい先述に音楽という単語を使ってしまっていたけれど(既にたくさん)、 果たしてそれがほんとうにそうなのか、 みたいなことにはずっと意義深い疑問があって、 ほとんど文学のようなものもあるし、なにかに言い換えられる限りはそうでなくていいと感じる。 それというにはあまりに諸々を置き去りにしながら、 一人歩きしていて、その単語だけで語るのはいつも猥雑な危険を感じながら、つい済ましてきてしまった。 森の中の樹木のひとつに弦を張って、 それが風の作用で鳴る装置のようなもので(似たようなオ

          音楽たくさん/原理/ショート(20211208_2)

          サマーナイトコーリング

          小さな虎はのそのそと玄関から出向いて、 ややしめった夜風にあたりながら手すりによりかかった。 このあたりでは星々があまり見えないことや、 ずいぶん物知り気にこの世を憂いていたりしたが、 虎はこれまでもあまり遠くにいたことはなかっただろうし、その瞳はまだ小さすぎた。 こちらに悪気はないがそんな虎にあまりかまってもいられなくなり、 買出しにでかけにいくふりをして、アパートの階段をかけおりていた。 虎には去り際にはやく室内に戻るように言いつたえておいた。 小走りに下降しながら視界

          サマーナイトコーリング

          ルーリード/偏平足/ぼやき(20211208)

          ずっとむかしに武田百合子さん著の「富士日記」の調子がとてもフィットして、 それについては短いメモに留まる日もあれば、 生活の向こうの思索にふけることもあって程よい読み応えがあったと記憶する。 ただし自分がそのようなことをするには きっととめどなく書きすぎてしまう、 思案してはすこしのきっかけで行き詰まってしまうなどがあるので、 それでも自分のためだけに何かを書きとどめてみたいということは、 長年の構想だった。 これから「Die Drei Stimmen(三つの声)」と題して

          ルーリード/偏平足/ぼやき(20211208)

          天下茶屋からの帰路

          神戸でのセッションライブを終えて、 阪急電車を乗り換え、 そこから御堂筋線、南海電車とどうにせよ深夜帯であれ、 関西の交通網は何かしら連結されており、 これについて迷ったり、終電を逃したりすることはもうないという実感は、 既に8年にわたる京都市郊外での生活を経ていたからか? いや、それにしては四条河原町などで遊び終えたあとは、 何かと地元駅への乗り換えを失っていた。 南海電車の駅ホームには区間急行しか取り急ぎの車体が無く、 これに乗ってしまうとローカル駅である帝塚山にはたどり

          有料
          300

          天下茶屋からの帰路

          しずくだうみ / 美しい人(そわそわRECORDS)

          だうみゃちゃんことしずくだうみさん(以降だうみゃちゃん)の活動を知ったのは、 ある日SoundCloudアプリに関連表示された楽曲のひとつであり、 それは「春は少し」というオフィシャルリリースの作品群に比べて、 SoundCloud上のみでストリーミングできるエレキギターとピアノだけのラフな構成に まるで四畳半アパートでの生活感を伴なったような至って質素な佳曲だった。 SoundCloudにはまだデータが残されているので知らない方は以下を最初に参考程度に聴いてもらいたい

          しずくだうみ / 美しい人(そわそわRECORDS)

          Ren Keon / day(bandcamp self release)

          Ren Keonは独Engram Recordingsからリリースされた「key」を機に、 個人bandcamp上には5つのリリースがあり、その作風はひたすらにコンセプチュアルで、 作品自体はパソコンと音楽制作ソフト、少しの生楽器とプラグインによるオーケストレーションで成り立っているはずだ。 こういった事はこの2020年以降からは、 音楽制作をする人々にとってはもう何ら驚きのないことではあるが、 僕は「key」を一聴したときから、何かそれらの既成事実を飛び越えてくるような

          Ren Keon / day(bandcamp self release)

          Sparkling Wide Pressure / Fake Spells(bandcamp self release)

          bandcampに於いて、 僕のようにコレクトを継続していると、 いったいどのようなきっかけで知ったのか全く覚えていないようなアーティストも居ると思うが、 Sparkling Wide Pressure(以後SWP)もそのうちの一人であり、 リリースは現在トータル54作品で、 2008年の初回リリースから12年継続して年間最低は四枚はアルバムをリリースしていることになるが、 これだけの滂沱なリリースと作風と質を維持していることは驚異的なことだと感じる。 スパークリング・

          Sparkling Wide Pressure / Fake Spells(bandcamp self release)

          そこにいる - soko ni iru 1 and 2(Compilation of Give me little more 1 and 2)

          イントロダクション長野県にある松本駅を降りて、表通りを真っ直ぐいくと、 現地にゆかりのある草間彌生の画風によって彩られたバスが走り、 飲み屋に挟まれた大通りをたまに荒い運転で走行するスポーツカーは松本走りと形容され、 メインストリート正面から右手のやたら渋めの絶妙なラインナップのエフェクターをそろえたオグチ楽器の店員から、 「君のような人はライブスペースGive Me Little More(通称ギブミー)に行くと良い」と告げられ、 僕の足先は左手の縄手通りに傾いて、その明ら

          そこにいる - soko ni iru 1 and 2(Compilation of Give me little more 1 and 2)

          For Nina / Recursion(Nazlo Records)

          ロシアはモスクワのNazlo Recordsから、 リリース群では初の日本在住作家For Nina「Recursion」という作品をご紹介します。 全体的にLo-Fi Ambientとも言えるような趣きの作品で、 ローファイヒップホップなどを聴いていても、音質のクオリティ自体は高いと感じてしまうので、 本当の意味でチープでリラックスできるものが聴きたい、という時に とてもちょうど良い作品であると感じた。 タイトルの「Recursion」とは再帰という意味になるらしいが

          For Nina / Recursion(Nazlo Records)

          Wilco / Ode to Joy(ディスクレビュー)

          「歓喜の歌」というタイトルに対して、空虚を感じさせるようなぽっかりと白い穴が開いたようなジャケットであり(飛行機の窓から撮影されたと推測される)、 グレンコッチェの諸事情による一時的なドラマーの不在を予期して作られたジェフ・トゥイーディーのソロアルバム2作を経て経て届けられた。 国内リスナーからはヒット作「Yankee Hotel Foxtrot」の再来と揶揄されていたが、僕の印象は大分違ったもので、 メジャーレーベルからリリースしたかつてのヒット作を彷彿させるような、

          Wilco / Ode to Joy(ディスクレビュー)