印刷を終えて、僕の最初の本作りが終わった。
もっと嬉しいかと思っていたけれど、
不安の方が大きいように思う。

イメージに近い仕上がりになっているか。
僕の人生を変えてくれたあの人へ見せたいと
胸を張って言える出来上がりになっているか。
子どもたちの何人かは、その世界に夢中になってくれるのか。

できることはやった。
自信がない、というわけでもない。
それでもきっと、出来上がった本を手にとってみるまでは、
実感を伴った答えはわからないままだろう。
いや、そうなってもまだまだわからないのかもしれない。
本を作るって、こういうことなんだなぁと思った。
わーい終わった！出来上がった！という心の盛り上がりは
不思議なほど僕の中にはなかった。
この気持ちに沁みるような淡い空虚さが、
次の仕事への原動力になるのかなと、考えたりもする。

そんな不思議な、落ち着かない気分のままで
久しぶりに漫画の『岳』を読み返してみた。
僕自身はすっかり遠のいてしまったけれど
森林限界より上の、稜線から見る広い景色が
今はたまらなく懐かしい。

山に登りたいなぁと思った。
汗をかいて景色を見て、一度心を切り替えて
次に進まないといけないなと思う。
山の景色には、そんな心への作用があるのではないかと思った。
そこから長い間、離れている者にとっては。

それにしても、この漫画、何回読み返しても面白い。
経験を積み重ねてきた物語というものの、まっすぐな力を感じる。
JAZZの方も最高ですけど。

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