児童虐待防止法がもたらしたもの


児童虐待防止法が施行されて今年で24年経ちます。その間に多くの子どもたちが救出されました。
また、残念ながら、発見の遅れ等の理由で亡くなられてしまう被害児もたくさんおります。そのような現状に対しては、一当事者として残念であり、また哀しく思います。もし生き返ってくれるなら何でもしたいとの強い想いもあります。

ただ、確実に救出されている子どもは増えていますので、これからもますますの救出態勢の強化を願うばかりです。

児童虐待防止法がもたらしたのは、上述したような救助体制の整備だけではありません。防止法施行によって、確実に子どもの人権は向上しましたが、等しく課題も残しました。
防止法施行後では、救助された子どもの救出に至るまでの経緯や処遇についての記録が児童相談所に残ります。児相によって、虐待があったことが証明されるのです。
一方で、防止法施行前の被害者たちは、法律が無かったために、児童相談所にも記録が残りません。つまり、このような被害者は、「自称子ども虐待被害者」ということになります。

これから、被害児へのさまざまな支援策や取り組みが行政レベルでも民間レベルでも行われるようになるでしょう。
しかしながら、これらの支援を受けられるのは、児相によって「被害者」と認定された一部の被害者に過ぎません。

その他、多くの防止法施行前に存在していた被害者たちはどうなってしまうのでしょうか。被害は無かったものとして、闇に葬り去られるのでしょうか。
法律が施行されたから「被害者」で、施行されないと「自称被害者」というのも変な話です。
見えなくても現実に被害は存在していたのですから。

私は「虐待被害とは、証拠が無いのが証拠だ」と、常に自分に言い聞かせています。

全ての子ども虐待被害者、そして大人になった全ての虐待被害者へ支援が行われるようになることを、私は切に願います。

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