本当の笑顔

皆さんは笑っていますか?
腹の底からの笑顔ってありますか?
私はあります。よく笑います。

元々、被害環境にいた頃は、私は無表情で全く笑わない子でした。
笑うこともとても好きではなく、お笑い番組もとても好きではなかったです。
元々、虐待のある環境下においては、「笑う」必要も無かったわけなので、当然ながら笑ったことがありませんでした。
しかし継父は違いました。生き方が明るくて笑顔が絶えない人でした。私とは正反対です。

その笑顔が当初は好きではなかったです。幸せそうな笑顔を向けられると嫌な気分がしました。けれども、ずっとそういう人と同居していると、嫌でも徐々に感化されてしまうのですね。私はいつしかそれが、そう嫌でもなくなってきていました。

継父との会話が楽しいと感じられる頃には、自分も親のようになりたいとさえ望むようになっていました。そうして「笑顔を習得する訓練」を一人始めたのです。
鏡を前にして笑顔を作ります。何度もそれを繰り返します。楽しくなくても笑顔を真似しました。それ以外の表情、たとえば困った顔や哀しそうな顔、いろいろな表情も試して真似ました。

始めて1週間後、顔面が筋肉痛になりました^^ それでも笑顔の練習は続けました。

好きではなかったお笑い番組や落語などを見始めたのも、その辺りからです。
もちろん楽しくなんてなかった。けれど、皆が笑うのを見て、私も一緒に笑顔を作りました。
継父は、私の笑顔を「素敵だね」と褒めてくれました。それでますます頑張りました。

作り笑顔が板についた頃、どこでも笑えるようになった私は一つの疑問を抱くようになっていました。
「私の感情は、いつも作って真似したものだけれど、一生そうなのかなぁ?」と。
もう他の人のようには自然には笑えないのかもしれないと思うと、不安で憂鬱な気分でした。
「そんなことない。いつかその笑顔は本物になるさ」。そう継父は私を励ましました。
もちろん、本当にどうなるかはやってみなければ分からないのですが。

***

PLUTO」(浦澤直樹・手塚治虫、他)というマンガには、その正解が描かれているなと思います。
PLUTOには、ヒューマノイド型の高性能ロボットが出てきます。人間そっくりで感情もインプットされています。そのロボットがさらに複雑な感情を一つ一つ習得していくのです。

「泣く」という感情もその一つ。怒りや憎しみを抱くことを覚えてしまったロボットの一人は、その感情をどうすればいいのか分からずにいます。そして人間のしているように、泣いてみたのです。
科学者が「最初は真似事でもいい。真似でもそのうち本物になる」と言うのです。

私はその通りだと思いました。経験から言えるのは、やはり「本物になる」ということです。
いつからやり始めて遅いということは無いと思うのです。
時間はかかっても、いつかその笑顔は「本物」になれます。たとえ初めが人真似であったとしても。

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当事者の集い中止のおしらせ

- 2010/11/13(Sat) -

役員の体調不良により、本日実施予定の「第3回 当事者の集い」を中止させていただきます。
急なおしらせとなり、大変申し訳ございません。

関係者の皆さまおよびご支援者の皆さまに多大なご迷惑とご心配をおかけします。重ねてお詫び申し上げます。

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