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こんなの蟻えな〜いってか!

クアントマニアってタイトル最後にドーンって出す意味is何?

アントマン&ワスプ:クアントマニアを観てきたんですけどね、もう試写会の時からTwitterの反応が微妙だったし公開されてからも「ああ、ね」みたいな感じの感想ばっかりで、あ〜微妙なんだなって思いしかなく、のんびりしてたら鬼滅に占拠されて辺鄙な時間帯に1回しかやってないみたいな感じの上映状況で売り上げもやばいんだなって感じヒシヒシで観たんですわ。まぁつまんなくはないけど、おんもしれ〜とも言えない。

いや、もっと頑張れたやん!もったいな!って思いました。

もう、あるあるだけど「リテイクを重ねるうちに何が正解かわかんなくなった」に近いんだけど「何を伝えてないか」がわかってないんだろなって。

この映画を誰かにざっくり言ったら「何だかわかんない世界で何だかわかんない人がなんだかわかんないことしててヤバイ!」っていうしかないだろなっていう。何だかわかんないを順次消化していくのがストーリーテリングってもんなんだろうけど、それができてない。アントマン1作目から監督変わってないけど、この監督は今作でも「普通の人間」を描くのはうまいんだと思う。親子関係とか。だけど「帝国と叛乱」みたいな大掛かりな世界を描くノウハウは持ってないんだと思った。そこをサポートするプロデューサーとか共同監督がいればいいんだろうけどマーベルスタジオにはそういう人いないのかな。ケヴィンファイギって何してんのか知らないけど、良くも悪くもMCUって個々の監督に投げっぱなしなんじゃないかなって感じる。アントマンくらいの小さな抗争ならいいんだろうけどスケールがでかくなるなら、そこはリソース割きましょうよって。予備知識ゼロの人が見て理解できるように噛み砕いて物語を見せるっていうのがストーリーテリングってもんでしょうよ。得意分野だけ仕事して後はなんとなくって感じしかしないのよ。

っていうかMCUは長らくこれができてない。CGというガワだけ頑張って(低賃金で長時間労働させて問題になってる)キャラクター並べてるだけで「なんのために(Why)」「何をしている(What)」の2つがてんで描けてない。まぁヒーロー物ってWhyはだいたい悪役の野望が多くの人に迷惑かけるから阻止するってなるんで、「悪役のやろうとしていることは何か」を描くことになるんだけど、フェーズ4以降のMCUの映画はそこが周りくどい(黒幕の前になんか別のヴィランを用意する)ことが多い。

クアントマニアに関してはもう公開前からカーンが黒幕って言っててモードックの方がサプライズだったのに映画本編で無駄にもったいぶるのがすごいストレス。とっととカーンが帝国を築いてて、そいつらが世界を破壊するから阻止しなきゃって話もってけばいいのに。ていうか、カーンと他の全部のカーン(これがカーンダイナスティ?)のどっちが善悪かもふわっとしてるっていうか、どっちかというとダイナスティ(WWEのニューデイとかユニバースみたいな盛り上がり方してたな)の方が悪役みたいにして終わらせるから観賞後のモヤモヤがすごい。まあ、カーンを追い出したダイナスティがアベンジャーズを逆恨みしたって感じなのかな?そうなのか?どうなんだ?深く考えるとストレスだからやめろってスコットのあれも制作サイドの言い訳に聞こえてくるな。

時空間から切り離された量子空間の奥底にある量子世界に帝国を築いたカーンが復讐のために軍隊用意して元の時空間に攻め込んで全ての世界を破壊しようとしてるっていうのが俺の解釈なんだけど、そもそものカーンが追い出された理由の「多元宇宙同士がぶつかり合って起こる最終的な破滅を防ぐためにほつれた世界を破壊する」っていう「剪定」が悪なのかどうか微妙っていう。コミックとかドラマならともかく映画っていう時間のない媒体なら「全ての時間軸を支配する」とかざっくりした設定でいいじゃんって思うけど。

そもそもカーンの登場の仕方がしょぼい。牢屋にいるスコットの前にふらっと現れるんだけど、その後のサイコキネシスみたいなの使うとことかでなんか既視感あるなと思ったらダースベイダーみたいなんよね。ほんでアントマンが初めて巨大化した時とかといいMCUはちょいちょいスターウォーズをリファレンスしてきたんだからカーンの登場シーンはベイダーもろぱくりして仰々しい曲にのせて兵隊引き連れて登場させて「うわ、ダースベイダーみたいじゃん」って言わせりゃよかったのよ。カーンが次のアベンジャーズのラスボスならそれに見合ったテーマ曲も用意すべきだし。ほんで後半の反乱軍への攻撃も「んがぁ!」ってやるよりももっと余裕でやって欲しいのよ。ローグワンのダースベイダーみたいな怖さを演出しなきゃでしょ。ほんでカーンのサイコキネシスとかもスーツが壊れたら使えなくなったってことは、あの乗って動ける魔法陣みたいなのも当たったら消滅するビームもスーツに組み込んだ「超技術」なんだろうけど、その辺のわかりづらさよ。コミックだと脳波で連動する武器ってことらしいけど、コミック読んでない人にも飲み込めるように描写せーよと。あの丸がくるくる絡んでるのが時空に関わる装置とか技術っていうのはすごい良いと思ったけど、そのほかの部分が魔法なのか超能力なのか科学技術なのか、それに関する説明はジャネットがあの球の説明してたとこでしたつもりになってんだろうけど、そうじゃなくってさぁっていう。「スーツさえ破壊すればカーンの力は封じられる」みたいな流れでもあればいいんだけど。あと、アントマンたちはスーツだからいいけどカーンのはスーツってよりアーマーですよね。だったら動く時に靴音しかしないの?っていう。超技術の軽いアーマーって設定してんのかもだけど、脳波で武器を起動するのに「音」が伴ってれば観る側の心象は大きく変わるんだけどその辺への意識足りないですよね?って。終盤でスコットのスーツがボロボロになった時に首後ろのパイプのカバーが剥がれて中のパイプにピム粒子が流れてるっていうそういう細かいことはやってんのになぁ。匂いとか温度とか視覚で伝わらないものを伝えるのも大事なんだけど、音をおざなりにしてるのはよくないですよ。

ほんでカーンもアントマンたちもなんですぐヘルメットオフすんの?もうアイアンマンのナノマシン化以来、なんかCGで描くの手間だからってナノマシンですからってすぐに脱がすけどさぁ、ヘルメット込みでキャラクターなんだよっていっつも言われてんだろっていう。キャスリン・ニュートンが可愛いのはわかるよ。わかるけどそこはそれよ。ってか、あの子のヘルメットの形状1ミリも記憶にないわ。

そして冒頭に書いたけど、タイトルをラストに出す演出って、THE BATMANみたいにバットマンとはなんぞやを描いてきて最後に「どうです、これがバットマンってことなんすよ!」っていうはっきりした意図を持って最後にドーンとタイトル出すのはかっこいいのよ。

でもこの映画においてQuantmania(量子狂)っていうよくわからん造語を最後にぼーんと出されても少なくとも俺はそこに意図を汲みとれませんでしたよ。出すとしたらスコットたちが落っこちて「なんだここ」ってなった時じゃないの?

タイトルの出し方ですら演出意図が汲めないんだから、これはもうこの映画は演出ができてないって言ってるようなもんですよ知らんけど。

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