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猿が好きです

動物園に行くと、ついついサル山の猿に見入ってしまう。一匹一匹の猿の行動は面白いのだか、人類学者がフィールドワークで得られるようなサル社会は、皆目、分からないものだなあと思い、そこを立ち去るのが常であった。そんな自分だが、猿には親しみを感じている。

たしか北陸の中宮温泉近くの野猿公園だったか、森林散策していて何気なく入りこんだら、猿がいた。目が慣れたら、沢山の猿がいるのが分かった。「猿の目を見ないで下さい」との看板がある。はたして猿の目を見ると歯を向いて威嚇してきた。案内に従い、目をそらして、そっぽを向いた。しばらく切り株に座っていたら、「ジャンジャン」とドラのようなけたたましい音がして、金ダライを叩いて、人が現れた。餌付けの時間らしい。それで猿が集まっていたのか。猿と目が合わせてはいけないから猿の顔も見るのができない。ただ座っているだけなので退散した。

伊豆の波勝崎野猿公園は、東京から割合と近いために観光客が多い。サツマイモ・チップのような餌も売っている。早速、餌を買い野猿がいる海岸に出た。餌を一つひとつ、ゆっくり与えるのがコツらしい。近くに猿が来て、投げ与えられた餌を食べている。カメラを出して、写真撮影をした。しばらく遠くの猿たちを見ていたら、カメラが引っ張られている気がした。見ると猿がカメラのストラップを取ろうとしていて、思わず笑ってしまった。ストラップにはドーナツ型の飾りがついていたのだ。食べ物と間違えたらしい。「だめだよ。これは食べられないよ」と猿に向かって言うと、私の言うことが分かったのか、あちらに行ってしまった。

猿に親しみを感じるのだが、ゴリラには親しみというか人間に近いものを感じている。上野動物園のゴリラに毛布がお気に入りで肩から毛布をまとうのがいた。まるで座って布団に包まる人間の姿そのものである。しばらくすると飽きるのか、毛布を広げて再び肩にかけ直している。 
最近、上野動物園に行ったとき、また毛布を肩にかけるゴリラが見られるのかと思ったが、そういう姿は見られずにがっかりした。

だいぶ前のことになるか、手話で人間と話をするローランドゴリラのココのことが話題になった。動物と話ができるドリトル先生の物語が現実になったようで、わくわくした気持ちだった。 ココは、造語能力もあり、手話によりクッキーを石とケーキで表現したという。職場で後輩に「ゴリラと話が出来たら楽しいよな」と言ったら、「子どものような心を持ってますね」と笑われた。でも少年の心が人生を楽しくしてくれることは間違いないことだろうなと思っている。

【写真は波勝崎の野猿】

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