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雨上がりの日の傘の忘れ物

雨が止むと傘の忘れ物が多い。
西船橋から東西線に乗った。三鷹行の各駅電車に乗車する時、ドアの下に折りたたみ傘が落ちている。どうやら今降りた乗客の誰かが落としたようである。

西船橋駅は東西線の終着駅(東葉高速鉄道と乗り入れするようになってからは東葉勝田台駅行もある)なので、乗客は皆降りる。その日は、雨だったが、午後から止んで曇り空になった。そんな日は、傘を持参していることを忘れてしまう。折りたたみ傘を畳んで、リュックのポケットに指したが、リュックを背負う時に落ちたことも考えられる。拾ってエスカレータを上り、改札口にいる駅員さんに届けた。

再び、ホームに戻ると、始発なので、まだ先ほどの電車が停車していた。それに乗って、椅子に座ろうとしたら、婦人用の傘が椅子の横棒にぶら下がっていた。前席に座っている婦人に「この傘は忘れ物か」と尋ねたら、スマホを触っていた手を休めて「ずっとそこに置いてある」と言う。置き忘れた傘が隣にあったままにするわけにはいかない。婦人用傘を持って、婦人に「駅員に届けてくる」と言ったら、スマホを触りながら、うなづいていた。

また、エスカレータで上に上り、改札口の駅員さんに傘を渡したら、先ほどと同じ駅員さんが笑っていた。

ホームに戻るとすでに三鷹行の電車は出発していた。次の中野行まで10数分ある。ホームのベンチに座りながら、雨上がりの日は傘の忘れ物が多いと聞いていたが、本当に多いなとつぶやいた。しかも、今日の傘は、安物ではなかった。持ち主に戻る割合はどのくらいなのだろう。持ち主に戻らなかったとしても、生まれてきた傘が使われて皆の役に立てられるなら、それでいいのかな。


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