法科大学院から司法試験受験まで


仰々しい題名ではありますが、私がロースクールに入る時何も分からなかったので、備忘録というか、私の体験を書いていきたい。
いつか悩める法学徒の役に立つと良いな。



ロースクール受験

私は中央大学法学部法律学科に入学して、法曹一貫コースを利用した。なので、大学を3年間で卒業したことになる。
ちょうど私の代から始まって、大学の事務科の対応の遅さにイライラしたものである(小声)。

まず、1年から2年に上るときに法曹一貫コースを目指すかのアンケートがあった(気がする)。
このコースは3年からが本番のような感じで、2年から3年に上るときにGPA要件及び試験をパスしなければコースに入れなかった。
曖昧な記憶によれば、百何十人受けて、百人強残った気がする。でも3つ下の後輩に聞いたら、3年に上がる時点でもっと絞られているらしいので、多分私の代は比較的緩かっただけかも知れない。

今は知らないが、ということを前提に話すならば、この時中大と提携していたロースクールは中大ローしかなく、他のロースクールを受験するなら大学4年生に混ざって受けなければならなかった。
私は正直他のロースクールをきちんと受験して受かる気もしなかったので、中大ローのみの受験だった。
入試内容は、口頭諮問(この時はコロナでオンラインだった)。上三法のどれかから質問をされ、他にもES(志望動機とか書いてるやつ)に関する質問もされる、面接のようなものだった。
加えて、入試そのものではないが、前期の期末と後期の期末に行われるテストに合格することでロー入学ができるというシステムだった。
なので、8月にロー合格の知らせをもらっても、後期の単位が足りないor後期の試験に不合格ならもう1年勉強するドン!であまり嬉しくなかったのを覚えている。


ロー入学〜1年目

無事期末試験を突破した私は、晴れて3年間で卒業して中大ローに入学することになった。
既修コースで入学したので、入学時には2年生だった。
30〜35人程度のクラスが全部で4クラスある。成績順でのクラスというわけではなさそうだった(私調べ。ただし、成績の良い人悪い人を各クラスにばらけさせた可能性までは否定しない)。

2年生は必修科目が多く、自分で選んで取る科目というものは少ない。さらに、3年での在学中受験をしたいと思うなら選択科目も2年のうちに4単位取り切らなければならないので、自分で選ぶ科目はさらに少なくなる。

法曹一貫コースのおかげで一部の単位を学部時代に取得しており、私は同級生と比べてほんの少しだけ自由があったが、それでも必修があまりにも重くて他の科目はほとんど選択しなかった。
唯一選択したのはリーガルクリニックという実務家の先生のもとで話を聞ける授業で、これはぜひみんなに取ってほしい。3年後期とかでも取れるよ。

中大ローは進級要件が厳しく、必修科目についてGPAがなんとか以下だと進級ができなくなる。私の代は半分弱原級留置となった。そのうち、何人が残ることを決めて、何人が退学になったのかはわからない。
そして、この必修科目が重い。私がそれまでコロナでイージーな思いをしてきたのも原因なのだが、ほぼ全授業ソクラテス(授業内で当てられて答えること)があり、その返答も成績に入ってくる(らしい)。テストもきちんと難しい。ロー入学まで民事訴訟法を趣旨規だけで乗り切っていた私は、毎週3時間の民訴の授業の前に7時間の予習をする羽目になっていた。これでも、先輩からもらったデータがあって何とか乗り切った方なのである。ちゃんと勉強しろよ!
それから、期末の過去問は学校が出してくれるからちゃんと解いた方が良いよ。

辛くも進級はできたのだが、進級要件ギリギリだったことを覚えている。
そしてお優しいことに、中大ローは毎期末ごとにGPAの順位一覧表をくれる。さらに2年終わりの一覧表では順位に応じてその年の司法試験合格率を書いてくれる。
2023年2月時点での合格率は17%だった。ウケる。


ロー2年目および司法試験

さて無事にロー3年生(2年目)に進級したところで、私の目の前には司法試験が待っていた。

先ほどは書かなかったが、毎期末ごとに一定以下のGPAの人は任意の先生と面談をさせていただけるところ、私はきちんと前期も後期も面談をすることになった。
後期の時、つまり進級を前にした春休み、私は先生に「司法試験受けた方が良いですかね。」と聞いた。受かる自信は全くなかったし(だってこの頃共犯の趣旨規範すら書けなかった)、17%だって言われたし、受からないと思ってても不合格は悲しいし。
先生は、あっけらかんとした調子で「受けてみればいいじゃん!」と言い放った。失礼、言ってくださった。
そうして、じゃあ受けてみるか!ということで司法試験を受けることになったのである。

この春休み、人生で初めて司法試験の模試を受ける。この時までどのような時間割でやるのかを知らず、民事系第2問が商法ではなく民事訴訟法だと思って直前の休み時間に見る趣旨規範を間違えていた。
この模試はひどいもので、期末試験で間違えまくった抵当権だけ正解して民法はAだったものの、得意の憲法すらD、それ以外はもちろんEとかそんなもので、さらには短答は何も勉強していなかったため合計70点だった。 70点て。

そこで、私はこの年の司法試験の目標を「短答合格」にした。そして前期にお世話になったゼミの先生の影響で、「刑事系科目の成績がA」を目標にした。
目標を狭くすると、気が軽くなる。やることも明確になる。

4月からは必修の授業は週に2回ほど、卒業のために他の科目もいくつか選択をして週4日通うようになった。他の科目については、人によって取得状況は全く違っていた。必修は前期の前半で終わるため何も取らずに学校に来なくなる人、必修と同じ前半だけの科目を取る人、家では勉強ができないので学校に来るために週5日授業を取る人。これは個人のスタイルに合わせれば良いと思う。

4月以降は短答過去問をひたすら回し、間違えた問題をエクセルに書き出して一覧にし、その間に刑事系の問題を解き趣旨規範ブックに一元化し、を繰り返していた。
もちろん必修や選択の関係で他の科目も勉強してはいたが、やっぱり基本的にはその2つをやっていた。

ところで、私はよっ友は多いが実際に行動を共にする友人はあまり多くなく、そもそも家が遠くて行き帰りも自分一人で授業終わりにさっさと帰る生活をしていたので、自主ゼミなるものをしたことがなかった。
これは正直わからない。結果として司法試験に合格することはできたが、決して良い順位ではなかったし、と言って知識の穴抜けの多かったことを考えると自主ゼミをしていれば成績が良かったのかは疑問である。
けれどやっぱり、自分の答案を客観的に見る機会はあまりなかったし、何より自主ゼミを誘えるだけの人間関係を築けなかったというなんというか自責の念のようなものはある。(もちろん自主ゼミをしていない人がそうであるというつもりはなくて、あくまで自分自身の話として)

そんなこんなで司法試験を受けた。私としては4日目の短答が最大の難関かつ目標であったため、論文はずいぶんリラックスして受けることができたと思う。
斜め前の席の人がパジャマにサンダルで来た上に貧乏ゆすりがひどいということに気を向けるくらいの余裕があった。

さてさて、8月頃に短答試験の合格通知が来て、肩の荷が降りた私は、受かるはずもないのに就活しても意味ないだろうと思って思い切りバイトに打ち込んだ。

ロースクール後期の授業は、司法試験に合わせて前半後半に分かれる前期と違い、一般科目も多く開講していた。卒業はしたかったので、卒業用件の単位に合わせて科目を組む。
それから2年の後期に人生最初で最後の落単となった、公法の授業も隔週で受ける。これは最終的に成績がSになった。

かくしてやってきた11月、課題をやりながら時計を見ないようにしていたのに町内放送でお知らせされた16時、気づけば法務省のHPにアクセスしていた。だって気になるもの。
どうせ受からないと思ってリロードを押し続けていたら、私の受験番号が出てきて、急に手が震え出したのを今でも覚えている。
こうして、私は司法試験に合格した。

こうやって書くといとも簡単に合格したかのように見えるかもしれないし、私自身ものすごく頑張ったという疲労はなかった。それでも、司法試験前は上から下まで満身創痍になり、ロースクールでも胃痛が止まらなくなり、まあこれらがストレスによるものなのかはわからないけれど、とりあえず私の身体はダメージを受けていたようだった。


司法試験について

巷には、司法試験についていろんな意見がある。予備試験がどうだ、年齢がどうだ、難易度がどうだ、合格者がどうだ。
一貫コース及び在学中受験第1弾の人間としての所感は、思ったよりスムーズだったな、である。
何か下駄履いた気分ゲフンゲフン。
ただし、これはあくまで私から見た私の受験の話である。

そして、何より合格したところで、私には後悔する点がたくさんある。
もっと友人や先輩とのつながりを増やして、情報収集できたはずだな。先生にもっと早く頼るべきだったな。
司法試験を受験する人は多分合格すれば最下位でも良いと思う人もいるのだろう。私も実際そうだった。
でも、就活をして修習が始まった今、痛感する。上位合格をして損はない。勉強をして損することはない。むしろ、きちんと合格するだろうという感覚で試験を終えるべきだった。

今の私には確固たる自信がない。外の世界では司法試験合格者というだけで他人との差別化を図ることができるかもしれないが、法曹の世界ではみんなが司法試験に合格している。
今の私に誇れるものは少ない。
大学を3年で卒業して、ロースクール在学中に受験をして、その間コロナで学校に行かない期間もあって、私の得た経験は大してない。それは私の問題でもあるが(同じ経歴でもいろんな経験をしている友人はたくさんいる)。


なんか最初はローの話を書くつもりだったのに、気づけば私のお気持ち表明になってしまった。

言いたいのは、たくさん友達作って遊びとか飲みとかたくさん参加して、同時にたくさん勉強するフィジカルを鍛えておけ、ということである。
あと、お金貯めておいた方が良い。バイトもできればしておいてください。
でも、一人で勉強してもちゃんと受かる人は受かるよ。
それから、この界隈では30代から来る人もザラにいる。本当に今進んでいる進路で良いのか、ちゃんと考えてね。

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