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着物の格の話。

常々思ってたんですが、
着物の本って、小紋・紬→付下げ・訪問着→留袖・振袖、というランク付けってどうなんですかね?
(お召とか銘仙とかが入ったりもする)
小紋と紬並べるのって違和感ないですか?
柄と素材感を一緒に並べるってどうなのよと。
あと、わりと絹物前提の話ですよね?
普段着で紬着るのって色々ハードル高いですよ。
というわけで、個人的着物の格の話。
格が高い・低いというより、敷居が高い・低いの問題。

・浴衣

まあ言わずと知れた夏の定番ですよ。
安いのだと2980円とかの綿コーマ、
ちょっといいやつで10000円~くらいの綿麻、
最近増えてきたのが30000円~くらいのセオα。
(値段はなんとなくです)
反物で買ってお仕立て、となるとそれなりのお値段になります。

正直安いのは安いなりなので、ワンシーズン外に着てあとは部屋着、くらいに割り切ったほうがいいかも。
まあ大体そういうのは着心地がいまひとつだったりするんですが。
10000円超えてくると、柄によっては単衣の着物としても着られるかな、というのも出てきます。
もちろん、いかにも浴衣っぽい柄はそのまま着たほうがきれいですよやはり。
着物として着られるのを選ぼうとすると、幾何学模様だったり柄が細かったり、という方向になってしまい、
浴衣っぽさが減るのが悩ましいところですねー。

あと個人的に注意していただきたいのが、セオα!
柄もかわいいし色も鮮やかだし、お店の人にもおすすめされることも多いですが、
とにかくすべる!そりゃあもうつるっつるにすべる!
普段から絹の柔らかい着物(小紋とか)を着てる人ならいいんでしょうが、
慣れないと、腰紐結んでる間に上半身は全部脱げてるし、
どんどんはだけてきて、身八つ口から手を突っ込んで衿を直しながら歩く羽目になります。
セオαの場合は、着て出かける前に何度か練習をしてみる、補正をする、すべらない浴衣下を着る、
いっそもう単衣着物として着る、あたりは押さえておいた方がよいかと。

・ポリエステル小紋

イオンとかに入ってる着物屋さんの店頭にいっぱいかかってるいろんな柄の着物。
帯とセットで10000円、とかのお値段ですかね。
着物の形でハンガーにかかっているプレタが一般的ですが、
反物から仕立てるものもあります。

個人的に一番とっつきやすいのがこれかな、と思います。
ショッピングモールの中にはひとつくらいは着物屋さんがあるし、
そのなかでも一番通路側にあることが多いので、ちょっと見るのにちょうどいい。
見ているとだいたい店員さんに声をかけられますが、
「普段着で着たい、汚すことが多いので洗濯機で洗えるのがいい、着物初心者なのであまり高いのは買えない」
と正直に言えばいいと思います。
今日はまだ買わないですけど、ちょっと見させてもらえますか、
くらいまで言えば、お店の人もほっといてくれます。

ポリは洗濯機で洗えるのがけっこう大きな利点ですね。
洋服たとトップスの汚れとボトムの汚れ、と分けて考えますが、
着物は上下つながってますからね!
洗わなきゃ、という状況は上下二枚分起こります。
最近は着物用洗濯ネットを置いている着物屋さんも増えてきました。
洗剤も普通のでいいし、着物用ネットを使えば普通の洗濯モードでもけっこう平気です。

あとはやっぱり色んな意味で買いやすい!
試着もできるし、最近は柄もかわいいのが増えてきました。
お店によっては、着物と帯、長襦袢代わりの下着から草履まで、
買ったらその場で全部着られるようなセットで30000円、
みたいなところもあります。
30000円って安くはないですが、
洋服で、肌着・カットソー・ジャケット・パンツ・靴下・靴、と丸ごと買うことを考えると、
大体そのくらいになるんですかね。
(洋服を買わないので相場がわからないですが)

難点としてはすべりやすいくらいですかね。
あとは絹物原理主義みたいな人に文句を言われるかも、というリスクですが、
そういう人はほっといていいと思います。

・ウール

親戚から着物をもらった中に入っている、たとう紙に入ってない、ざらざらした着物。
着物の古着屋さんで、はじっこの1枚500円とか1000円とかのコーナーに雑に入ってる着物。
裏地がない単衣仕立てが大半です。
お年寄りはけっこう普段着として着てる方も多いです。
最近は着物屋さんでも、スリーシーズン着られる薄いウールの反物を置いてるところもありますが、
その場合はお仕立てですね。

柄はレトロなのもあれば、普段使いしやすい無地っぽいのもあり、
たまになんでこんな柄にしたんだ、というのもあります(笑)
もらい物・古着であれば、仕立て上がりなのですぐ着られます。

ウールも洗えますが(個人的見解)、こちらはおしゃれ着洗い洗剤で手洗い。
セーターとかと同じ感覚です。
すべりにくいので、着付けは楽です。
着崩れもしにくいですし。
その分、歩くときの足さばきが悪いこともあるので、下に着るものを考えたほうがいいかも。

あとは、普段着感が半端ないです。
艶もなく、ちょっともっさりしてて、柄も華やかなわけではない(例外あり)。
合わせる帯も、半幅帯を貝の口にするくらいがしっくりくる。
スーパーでもやし買っててもそれほど違和感はない。
まちなかで時々見かける着物の高齢女性はウール率高いです。
一歩間違えるとおばあちゃんっぽくなりますが、うまく使えばかなり便利です。

難点としては、虫に食われる。
気を抜くと本当にあちこちに穴が空きます。

薄手のウールならけっこう暖かくなっても着られますが、
ゴールデンウイークすぎるとちょっと厳しいかな…
サマーウールとかもありますが、基本的には寒い季節のものですね。

あと、もらうにしても古着にしても、サイズが昔サイズ!
自分は身長160cmですが、なかなかちょうどいいのがないです。
あと10cm小さければ選び放題なのに…!
古着屋の投げ売りコーナーだと、寸法は測ってないので、自分で判断することになります。
あと、投げ売りコーナーは「着物としては着られないので、解いて何かに使ってね」というものも混在してるので、
ちゃんと着られるか確かめましょう。
本当に普段着なので、上前とか衿元とかにくっきりシミがあったり、
お尻のところが裂けてたりします。
宝探し気分でごそごそやってみるのも良いかと。

・木綿

ここにきてやっと木綿です。
浴衣はまた別のものとして。

木綿のプレタは安くても10000円超えますねー。
あと、店頭にあることが少ない!
めったに見ないし、あっても普通のギンガムチェックだったりして、
洋服感覚なのでしょうが、いまいちときめかないです。
木綿のかわいいのは、やっぱりお仕立てですかね。
清水買いしたくるりのデニム着物もこのカテゴリー。

やはりこれも洗えるのが特徴ですね。
うんといいのは別にして、普段着はジーンズ感覚で洗います。
あとはすべらないのもあいかわらず。

そして、木綿という素材のわかりやすさ。
ポリの着物で「洗濯機で洗えますよ」と言ってもぴんとこない顔をされますが、
「これ木綿なので」と言うと一発で普段着であることを理解してもらえます。

個人的に、くるりのデニム着物は、ちょっと紬っぽいつやがあり、あまりデニムっぽくないですが、
普段着で半幅帯締めても、ちょっといいおでかけでお太鼓しょっても、どちらも受け入れてくれる器の大きさがあります。
きもの遊び.netのデニム着物(パートナーに買った男物ですが)は、
しっかりしたデニムという感じで、もうちょっとカジュアル寄りです。
長襦袢がなかったので、黒いタートルネックのフリースの上に着物を着せたのですが、
着物自体が厚手だったので、それほど違和感はありませんでした。
くるりは真冬だと寒いですが、きもの遊び.netは初夏以降は暑いかな、という気がします。
KIMONO MODERNのデニム着物は、生地見本しか見てないんですが、けっこう薄め。
くるりよりはんなりした感じになるのかも。
他のデニム着物については、いつか着る機会があったら。

デニム着物は、無地なので帯を選ばない、素材自体に質感がある、わりと丈夫、という、かなり使いやすいものなので、
「とりあえずジーパン履いときゃなんとかなるだろ」で洋服生活を送ってきた非おしゃれ人(自分のことです)にもとっつきやすいです。

・絹物

さあ絹物の世界にやってきました。
とは言え、自分は絹物はほとんど着ません。
最後に着たのは7~8年前、友人の結婚式に訪問着を着たくらいですかね。
持っているのも、伯母からダンボール丸ごともらった、留袖・訪問着・小紋各一枚。
祖母が母に仕立てたのをもらった江戸小紋・古着屋さんで買った絽の江戸小紋。
紬に至っては持ってません。
友人の結婚ラッシュも終わり、習い事をやってるわけでもなく、職場と家の往復しかしていない生活だと、
着物を着るハレの日というのは数年に1回です。

まあ、絹物に関しては、巷の着物本にいくらでも載ってますからねー。
楠ごときが今更言うこともないかと。
というわけで、本屋さんなり図書館なりに行って、一番読みやすそうな着物本を読むのが一番です。

ただ、絹の話で気になっているのが、三砂ちづる先生が「きものは、からだにとてもいい」の中で紹介していた、
「紬は、疲れない」という話。
飛行機での長いフライトでも、紬だと体も楽だし着物も疲れない、とのこと。
それって車の運転とかでも当てはまるのか、ちょっと気になります。

個人的には、絹はお蚕さんの命をいただいている布なので、
着る人間には相応の覚悟が必要だと思っています。
お蚕さんを育てるのは本当に大変ですし、
それを布にするのも、人の手で縫うのも、簡単なことではないんです。
やはり絹の着物は憧れです。
そしてしかるべき時には絹物を選びます。
でも、普段着であれば、初めの一歩であれば、
便利で気軽なものを選ぶことは決して悪いことではないと思います。

浴衣の話など、若干時期外れなところもありますが、現時点ではこんな感じですかね。

冬場は意外と着物が着やすい季節だと思います。
とっつきやすいところから始めて、自信がなければ羽織やショールでどんどん隠して、
イベントなどに着ていってみるといいと思います。

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