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6/21 蔡國強ドキュメント制作見学

横浜美術館にて「蔡國強展:帰去来」開催に先駆けて、現代美術家 蔡國強のドキュメント制作が行われており、その現場見学へでかけてきた。
数日間かけて作家自身が美術館内で制作をしており、先日は爆破によるドローイング作品の「爆破現場」を報道陣向けに公開した。

>>>蔡國強、横浜美術館で火薬ドローイング爆破制作(インターネットミュージアム ニュース)

今回、東京藝術大学大学院映像研究科 桂英史研究室とgeidaiRAMの協働によってそれらの作品の製作過程をドキュメンタリー映像として撮影し、展覧会開催時に作品とともに発表する。映像監督は藤井光氏。
また、RAM研修生としてのカリキュラムは、見学ののちにポストレクチャーとしてディスカッションの場が用意されており、ドキュメント制作についての問題点や可能性などを議論する予定だ。

 本展は、ニューヨークを拠点に、現代美術界で最も活躍しているアーティストのひとり、蔡國強(ツァイ・グオチャン/さい こっきょう、1957年、中国福建省泉州市生まれ)による、日本国内では7年ぶりとなる大規模な個展です。
 上海戯劇学院で舞台美術を学んだ蔡は、1986年末に来日し、筑波大学、河口龍夫研究室に在籍。東京そして、取手やいわきに滞在しながら創作活動を開始しました。日本滞在中に、実験を重ねて火薬の爆発による絵画を発展させ、一躍、内外の注目を浴びるようになります。日本での約9年にわたる創作活動を経て、1995年以降はニューヨークに拠点を移し、世界を舞台に、創作活動を続けています。2008年の北京オリンピックでは、開会式・閉会式の視覚特効芸術監督として花火を担当し、その様子は世界中に中継され注目を集めました。 (展示公式サイトより抜粋

多くの人にとって、北京オリンピックの花火演出がとくに印象的残っているだろうか。
今回は、彼の「爆破による色付けのテラコッタ作品」の制作現場(爆破シーン)を見学してきた。

工程1.朝顔のオブジェをしきつめる

▲テラコッタでできた朝顔。これに爆破によって色付けをする。
横浜美術大学の学生ボランティアの方々と一緒に一個一個制作したそう。

工程2.火薬をまぶす

▲朝顔のオブジェを敷き詰め、その上に火薬をまぶす。(写真中で火薬を扱っているのが、作家本人)

工程3.シートで覆い、着火

工程4.爆破!

この爆破パフォーマンスといっても過言ではない出来事が起きると、白い煙があがり館内はさらに異様な空間に変貌した。防火扉もしまっており、爆破時はスプリンクラーも止まっていたようだ。常設されている彫像作品など動かせない美術品は丁寧にシートがかかっており、明らかに普段の姿ではない「異質な美術館」の中で作業は行われた。

館内で爆薬を扱うことに対する美術館側の配慮も尋常ではない様子も伝わってきた。そのような現場を見学することで、どのような人が関わり、どのように動いていたか、にも目を向けることができ、とても参考になった。林先生の解説も交えつつ横浜美術館 館長や本展チーフキュレーターの方からお話を伺い、じっくりナマの空気を吸えたことは、現場ならではの醍醐味だった。

今回のじわじわっとした爆発は、さながら焼夷弾のようだな、とふと浮かんだのは、「爆破によるドローイング制作」にて大きな爆発を見学された桂先生の感想からだ。大空襲もあった横浜で行ったこの制作はどのような立ち位置になるのだろうか。歴史の側面から覗くことも、また興味深い。

私自身、制作過程やその裏側を知ったことで、作品に対してさらに一歩踏み込んだアクションを起こすことができそうだ。今回見た朝顔たちが、彫像として、映像として、どのような姿に変化するのか、会期中に対面するのが楽しみだ。

蔡國強展:帰去来
開催期間 2015年07月11日(土)~2015年10月18日(日)
時間 10:00~18:00(9/16、9/18は20:00まで/いずれも入館は閉館30分前まで)木曜日休館
入場料 一般1,500円/大学・高校生900円/中学生600円/小学生以下無料
会場:横浜美術館(神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1)
詳しくは、美術館公式サイトへ。

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