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マナカナのカナのほうだけややチンコたつ件について

毎日時間に追われ走り回っている仕事中

ヘトヘトで体が崩れ落ちそうなほんの一瞬だけ時間があく

どうしようもなく一服したいがもう街でタバコを吸える場所などない

世界は正義さえあればどこまでも残酷になれる

未だにタバコに依存している人間なんて

俺の小さな願望なんて黙殺されて当然の街で

いつもは視界にすら入らない寂れた酒屋の前でやっと汚い灰皿をみつける

100円ライターで火をつけようとしたがオイルが少なく風も強くて何度試してもつかない

苛立ちを押さえようとする行動に苛立っている


嫌んなって目を閉じる


こんな毎日は明日からも続く



そんで今日の仕事はまだまだ残ってる



もう行こうと思ったが

酒屋のおっさんに「ライター売ってますか?」と聞いてみる

「…ぁあ、これやるよ。」と言いおっさんは自分のライターをくれた

ふとレジの横をみる

ライターが並んでいる

売ればいいのにくれたのだ



何もかもうまくいかない

夢を追って

十分に愛してくれる人たちを捨ててまで

それ以上の幸福を求めた東京で

いつのまにか一人でうずくまり

孤独で凍えそうな冬の都会の真ん中で

おっさんがくれた小さな火で

知らぬうちに消えていた心が灯る


「ありがとうございます…」


もう俺を見ずに仕事をしているおっさんの背中につぶやく


やめろや

お前みたいな優しいやつがおるから

まだ死なれへんやんけ





しかし

おっさんがくれたライターのオイルの少なさは俺のつかなかったライターとマナカナぐらいいっしょで

ぜんぜん火はつかない

マジでつかない

でも吸わなきゃへんなかんじになる

「あ!もういかな!やばいやばい!ありゃりゃした〜☆」

とアホみたいにひとりごとを言ってスーパー早歩きでその場を去った


しんどい

明日からまた冷え込むらしい

春はまだこない



こんなにも寒いなら

うまれてこなければよかった



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