吉田松陰から学ぶ「場」の力

1.先日,自分が尊敬する人物の一人,吉田松陰に関する本を読んだ。

(1)吉田松陰といえば長州藩(現山口県)の藩士のみならず,山鹿流兵学師範,孟子・陽明学を軸とする思想家でもあり,何より言わずと知れた高杉晋作,久坂玄瑞,伊藤博文,山県有朋といった著名な幕末の志士達を輩出した松下村塾の塾長。

藩のみならず当時の日本を代表する知性の持ち主でありながら,アメリカの強さの秘密を知るために仲間の金子重之輔とペリーの船艦に乗り込んで渡航をお願いするなど行動の人でもあった。

(2)その後,その無断の乗り込み行為が原因で彼は長州の野山獄に収監となったが,そこでの逸話が面白い。

そこでは比較的自由に囚人同士の交流が許され,互いに自分たちの得意であったり,好きなことを教えあうことが行われたという。

松陰先生はそこで孟子の講義を行い、囚人達から絶賛の嵐を受けたと言う。

きっとそこの囚人達だけでなく松陰先生にとっても得られるものは大きかったに違いない。

2.このように1つの場所なり環境に集められた人達が情報や知識を教え合い、便益を高めるという発想は経営学でいうところのネットワーク外部性の考え方に近いと思う。

(1)ネットワーク外部性とは電話やインターネットサービスなど同じ財・サービスを消費する個人の数が増えれば増えるほど、その財・サービスから得られる便益が増加する現象をいう。

この現象は多くの人が一つの場所にいろんな形で集まったり、参加することで生じる意味では学校や塾もネットワーク外部性の場だと思う。

現にこの野山獄での経験が国を動かす人材を生み出す松下村塾の創設に繋がる。

そう考えるとネットワーク外部性の考え方は国をも変えてしまうほどの力がある。

(2)この考え方を企業経営に生かさない手はないと思う。

自社の属する警備業においては教育が法律上義務化されていることもあり、会社という一つの場所で教える環境がある。

であるならば法律上の受け身だけで上から下だけでなく、仲間同士、もしくは下から上に対しても教育しあう環境にしていけば、面白くパワフルな会社になるのではないか。

そんなことを考える今日この頃である。


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