世界でいちばん仕事ができない(2)

前回の記事で衝撃的なイルカ事件をご紹介しましたが、引き続き高校時代の遊園地アルバイトの際の失敗経験をさらしていこうと思います。

~ハートウォーミング!フォトセッション編~

私がアルバイト先の遊園地で任されていたもうひとつの仕事が「来園した人を引き留めて無理やり写真を撮り、あわよくばその写真を買わせる」という仕事でした(悪徳)

当時は1月。めちゃくちゃ寒いので人もまばらにしか来ず、写真撮らせてくださいと声をかけても全然相手にされません
そんな中、声をかけると快く「じゃあ撮ります」と返事をくれたのは、赤ちゃんを抱いたお母さんでした
赤ちゃんはまだ本当にバブバブバーブーだったので、何か乗り物に乗るために来たということではなく、純粋にこの遊園地の雰囲気を楽しもうと出かけてきたのでしょう

私は、この赤ちゃんが大きくなった時にお母さんと一緒にこの写真を見返す姿を想像して目を細めました 

この子の一生の中で今日という日はこの日だけです

同じようにお母さんと遊園地に来ることが今後もあるかもしれないけれど、
その時には私はその場にいないでしょう

一生の思い出になる写真を撮る役目を果たすことができるという気持ちに、気合を入れて撮らなければと、自然と力が入ります

私は親子がしっかりと映るように少し距離をとり、声をかけました

私「はい、じゃあ撮りますよ~、はいチーズ」

子供を抱きかかえたまま微笑むお母さん

カシャ

私「いい感じに撮れてます!現像したものをあちらの建物で販売しているのでよかったら買いにきてください!」

撮影結果を確認しようと写真を販売するスペースへと戻ると、店長が明らかな怒り顔で立っていました

店長「あのさあ・・・遠すぎるんだよね」

私「遠すぎる?」

自分の撮影した写真を確認する



遠い



いやこれは店長がキレるのに完全に納得いく遠さ
目をこらしてやっと「あーこれ、多分、私かな・・・?」ってなるやつだもん

100人くらいの集合写真の距離感だもん

普通はね、こういう写真って顔がはっきり写るように撮るんだと思うんですよ

※代表的な例


でも私が撮ったのは




遠い


遠い、っていう怒られ方する仕事他にある?

社長を接待しなければならず南青山のお店を予約したつもりが間違えて
千葉県我孫子市南青山のお店を予約するという失敗をしたときくらいじゃないですか
「遠い」って怒られ方すんの

その後被写体となったお母さんはわざわざ写真を購入しに来てくれましたが、
出来栄えを見て(遠いな・・・)というような顔をして購入せず帰って行かれました


この写真が「距離」みたいなタイトルがついた現代芸術だった場合以外では無価値であると思うので私は悔しくもなんともありませんでした


この日以降、私は写真撮影の担当から外されました

妥当な人員配置!


≪今回の反省点≫

①撮影の意味を理解していない
そもそもこういったアミューズメント施設で写真を販売するのは
「来園した記念に思い出を残しませんか?」という名目の元で行っているわけであるので、購入したお客さんが数年後その写真を見て「この時たのしかったね~」という感情よりも「遠っ」という感情が勝ってはいけません。それを念頭においた状態で仕事に励むべきでした
分かりやすくするために以下のように数式でも示しておきます

良い例
=楽しさ>遠さ

悪い例
=遠さ>楽しさ

②写真を撮る才能を母親の腹の中に置いてきてしまっている
少し言い訳がましい理由かもしれないが、私はメシを撮るのがあまりにも下手すぎるためにメシのまずそうな写真ばかりを載せたinstagramクソアカウントを公開している通り、「写真を上手に撮る能力」を母親の腹の中に忘れてきたタイプの人間なので、どうしたらうまく映るのかが全く分かりません

そもそも写真を撮ることが標準的にできる人であればこのような事態は招いていなかったと思います

先日横浜で遊んだ時にきれいな景色を写真におさめようと思った際も以下のようにゴミみたいな出来栄えになりましたし

こんなに目の焦点がどこにも合わない写真は逆に撮るのが難しいと思う

今後は「何を映したいのか」を明確にしたうえでシャッターを押すことを心がけていきたい

あとはもうそもそも写真を撮る仕事は向いていないので「カメラ」「写真」「撮影」などの文字が掲載されている求人広告は目に入った瞬間に焼き払うくらいの強い意識をもってもう二度と写真撮影をする仕事には近づいていかないようにしていくことも必要かもしれません

以上

≪本日の一曲≫
記念写真/フジファブリック


ありがとうイン・ザ・スカイ