寝かしつけとは、己との戦いである―――　　　　　
しりひとみ（since1990～)

深夜2:00、子どもが「アアーーーッ！」と叫び声を上げて目を覚ます。前回の授乳から3時間ほど経ち、お腹が空いたのです。

授乳をし、抱っこしながらゆらゆら体を揺らしていると赤ちゃんの目がBREACHの市丸ギンくらい細くなります。それが入眠の合図。

私は「おっ、これはそろそろ寝るやつですね・・・チェックメイト」つって布団にそーっと置くわけです。

すると、

子「アアーーーーッ！」

見事に負けました。

敗因は私の心の弱さです。

本当はまだ眠りに入りきっていないにもかかわらず、自分自身の「早く寝たい」という欲望を優先してしまった結果、せっかくウトウトしていた赤ちゃんが目をさます結果となったのです。

己の睡眠欲を押し殺し、目の前の赤ちゃんを寝かせる―――　その目的に集中しなければ、寝かしつけは成功しない・・・ッ！

再び抱き上げ、体をゆらゆらしたりリビングを歩き回ること20分。やっと子どもが目を閉じました。

腰をかがめ、布団にそーっと置きます。しかし置く瞬間、少しだけ子どもの背中に「トンッ」と衝撃が伝わってしまいました。

子「アアーーーッ！」

ほんとダメ。ほんとごめん。今のはアタシが100%悪い。

あの、赤ちゃんを布団に寝かせている人にはご理解いただけるかと思うのですが、立っている体勢から床に敷いてある布団に赤ちゃんを寝かすのってかなり太ももの筋肉を使うんです。ただしゃがむだけではなく、起こさないようにそーっとゆっくり降ろさなければならない。

これを1年繰り返すとちょうど範馬刃牙と同じ太ももになる計算です。

でもそんなのは言い訳にすぎない。今あるのは、目の前の赤ちゃんの睡眠を阻害してしまったという事実、それだけ・・・ッ！

最初の寝かしつけチャレンジからすでに1時間近く経過している。子供を抱き上げ、恋愛レボリューション21を小声で口ずさみながら再びリビングを歩き回ります。

30分ほど経ち、ついに赤ちゃんが寝ました。同じ失敗は繰り返さない。次はこれまでの反省を生かします。自分自身の欲望を押し殺し、全ての神経を太ももの筋肉に集中させ、布団にそーっと置きます。すると・・・

子「ｽﾔｧ…」

やった…！

私の想いが通じました。

そーっと部屋を出て、洗えていなかった哺乳瓶を洗い、身支度をして私も布団に入ります。

私「さ～て、睡眠に洒落込むとしますか」

子「アアーーーッ！」

・・・・・・・

ムズッ！

SASUKEのセカンドステージ「寝かしつけ」にしたほうがいい

5分ほどで「あれっ？抱っこされてないやん」と気づいて目覚めてしまったようです。

誤解を解くためにご説明しておくと、何回泣かれても決して赤ちゃんにイライラとかはしません。だって生まれてきたばっかりでな～んも分からないんだから。この前までお腹の中にいたのにいきなり生まれてきて「えっ？何？どこ？誰？ウワアアーーーッ！」ってなるのは当たり前ですし逆に泣かせちゃって申し訳ない気持ちのほうが強いちょっと待ってごめん眠い

眠いです

今脳内メーカーやったら頭の中全部「眠（みん）」だと思う。

再び赤ちゃんを抱っこします。しかし、抱っこしても体を揺らしても、KANの「愛は勝つ」を耳元で歌っても泣き止みません。どうやら時間が経って、またお腹が減ってしまったようです。最初に起きてから2時間くらい経っちゃったもんね。

ミルクを与えて、ゲップをさせ、抱っこをし、さらに寝かしつけします。なんか外からチュンチュン聞こえるんですけど・・・？カーテンの隙間から、朝日差し込んでるんですけど・・・？さわやかな空気、窓から流れ込んできてるんですけど・・・？と、朝になったのに気づかないふりをしながらも、子どもが完全に寝たのを確認して再び布団に寝かせる。

この頃の赤ちゃんは「モロー反射」という、自分の意思とは関係なく手足が「ビクッ！」と動く反射が出ます。その動きに自分でびっくりしてしまって起きて、泣く（かわいい）というのがもっとも多い寝かしつけの失敗例です。なので、寝かせたら即、両手を優しく押さえてあげるとすんなり眠ってくれるということに気づきました最近。

そのことを念頭に起き、布団に寝かせたあとも優しく手を包み込むこと3分。

子「ｽﾔｧ…」

やっと、寝た・・・・

ありがとう、赤ちゃん・・・

このあとヤムチャとほぼ同じ体勢で気絶するように寝ました。

おわり

【本日の1曲】　Cry Baby ／ Official髭男dism