「V字回復の経営」で組織は変えられる。実行したこと、変わったことリスト

・普段行き過ぎた行動・発言でよく怒られていた平社員が突然役員に社長室に呼び出され、組織改革のリーダーに任命される

・「3年」で所属する事業部の売上を一定規模に乗せることを命じられる

・リーダーに任命された平社員が「1年」でミッションに課せられた売上を超え、全社の年間MVPを受賞する

これらの出来事は実際にこの1年で私自身が経験した出来事です。私が所属するナイル会社は顧客のデジタルマーケティングの支援や、「Appliv」というアプリ紹介のWebサービスを運営。私はAppliv のマーケティングを担当しております。直近のサービスのプレスリリースも紹介させてください。

さて、ここで本題。この1年間、体制変更を推進しつうt、(勿論多くの失敗も残しながらも)前進して成果を残してきたのですが、それはすべて「V字回復の経営」という1冊の本がきっかけにありました。

今回は本書の紹介及び、私が読書を通じて実行したこと、結果、学びを、様々な方にもご紹介していければと思います。

V字回復の経営とは

「V字回復の経営論」はミスミの元社長である三枝匡氏が、過去に実際に関わった組織改革を題材に、小説形式で急激な業績回復に至るまでの経緯を紹介した本です。

題材は赤字続きの事業を持つ腐った日本企業。事業立て直しの改革リーダーに任命された主人公が大赤字の事業を立て直していく様が描かれています。各関係者の細かい心理描写まで記載されており、「半澤直樹」や「陸王」などのドラマが好きな人は楽しんで読めるかもしれません。

本書ではダメ会社の不審事業によく見られる50の症状が紹介されているのですが、この内容にはぐっと身にしみるものがあります。以下のブログにて詳細が記載されており、今回引用にて紹介させてください。

実は、私の所属する事業部はちょうど1年前にV字回復の経営論にでてくるものとほぼ近い組織改革を実践しました。実際に本著は体制変更の際にマネージャーの参考図書として推奨されておりました。

今回は本書の症例と具体的な事例、それをどう私がとらえ実行に進めていけたか、あるいは仕組みで解決されたかを紹介できればと思います。

組織は変わる!現実の拡張

私は約1年前、事業の体制変更を社長室で役員兼事業部長に「組織の体制変更をするからプロダクトの収益責任を担ってくれ」と言い渡されました。

この時点で「体制変更」という言葉をめちゃくちゃ軽い気持ちで考えてたのですがですが、この著書を渡され、何となく事業部長からのオーダーを理解するに至りました。

弊社の事業部はできてまだ10年も満たない組織。にも関わらず、社内には多くのプロジェクトが推進し、その投資対効果や責任の所在が不透明かつ、目的も関係者各位で一致していない状況が続いていたのです。  本書の症例で言うと以下の状況が近いと考えてます。

・症例21
個人として「赤字の責任」を感じていない。責任を皆で薄めあっている
・症例22
商品別の全体戦略が「開発→生産→営業→顧客」の一気通貫で行われていない
・症例30
あれもこれもと開発テーマが多すぎる

私自身、これらの状況にやりづらさを感じてはおりました。しかし、V字回復の経営を読むまでは、まぁそんなもんかな。。と思ってたところがあります

ただ、本を読んで最も大きかったことでもあるのですが、読書前はこの「まぁしょうがないこと」と認識していた組織状態を「良くない状態だ」と断言できるようになったのです。それと同時に「組織を変えれば事業は成長する」という現実が私の頭に刷り込まれました。

一見当たり前のことのように思われるかもしれませんが、まだ社会人経験の浅い私にとって、各事業部が与えられた役割の中でがんばる!というのは固定された当然の概念でした。この凝りがほぐれたのは個人にとって大きい出来事でした。

私はこの著書を読み、早速以下の2点を実行しました。

#実行したこと
・現状の組織においてやりづらい箇所を自分の言葉でもリストアップしてみる
・上記の課題が解決され、大幅に目標達成させ、表彰されるイメージを思い浮かべる。

イメージの件はあほらしく聞こえるかもしれないませんが、「現実を拡張すること」は大きなことをしようと考える際の初めの一歩となります。これは自分流の進め方ですが、あながち間違ってはいない気もしています。

#本を読んで変わったこと
・既存組織のやりづらい箇所を改善可能な余地があるものと認識できた
・組織を変えれば事業は伸びるという現実を頭に刷り込めた

機能別組織の解体

さて、では実際に何をやったのか。簡潔に記載すると、私たちの会社で実行した改革は機能型組織からプロダクト型組織への体制変更でした。

機能型組織とは営業部、開発部、企画部など各役割によって実施する行程を分割して進めていくやり方。プロダクト型組織とは製品ごとに必要な役割、職種をアサインし、製品開発を進めていくやり方とここでは定義します。

※詳しくは本書のp247あたりに記載。本記事での言い回しは本書とは若干異なってます

プロダクト型組織は全員が1つの商品を企画して売るまでの行程に携わるため、無駄な企画や開発が生まれにくくなるのです。

弊社事業部は大きく3つのプロダクト(=メディア)を運営しているのですが、つまりは1メディアごとに責任者をつけ、各職種混合のチームを作ったイメージです。それと同時にかつてあった「営業部」「開発部」など、機能別の部門は解体がされました。

組織としてやったことは以下の通りです。

#実行したこと
・機能型組織の完全解体
・プロダクト責任者に権限を一旦全部わたし、そこから責任権限を振り分けを実施
・やるべきのことの選択や、定量評価ができるようにとOKR制度導入を推奨

※OKRは別途ご検索くださいませ。

そして、冒頭でご紹介した通り、私はアプリヴという1つのメディアの収益を担う責任者・リーダーにアサインされました。リーダーとして私が実行したのは大きく以下の2つ。

#実行したこと
・担当プロダクトの戦略策定
・プロジェクトの評価を定量的に判断するためのOKRルールの導入

詳細は割愛するのですが、これらのいくつかうまくいったものもあれば、失敗したものもあるというのが正直なところです。簡単に書くと以下の感じでしょうか

#成功したこと
・私の立場(営業)より以前から課題と感じてた施策を優先したので分かりやすい成果がすぐにあがった

#失敗したこと
・全員に売上、利益意識!みたいなとこは急ぎ過ぎて浸透できなかった
・職種混合チームの評価やコミュニケーションが難しくばたついた
・その他多数


ただ、これらを経験できたことにより、事業を持つことの大変さを垣間見ることができたことは大きな収穫だったと感じています。

そしてそれ以前に仕組みによる解決はかなり大なものがあり、機能型の組織を解体させ、やるべきことを集中させた組織においては以前よりも数値的な成長を出しやすかったことは間違いないと思います。決裁権とかも以前よりシンプルでわかりやすかったかなと。

#変わったこと
・やるべきことが絞られて、作業に集中しやすくなった
・恐らく事業部長的には自らの立場に変われる存在を複数育成できているというメリットがある(機能横断のチームとはまさに事業そのもの。なのかもしれない)

事業を成長させるための決断

そして、体制変更から約半年が過ぎた頃。
持っていたプロダクトではポチポチと成果が出始めたりしており、なんとなく良い成果も見えている状況ではありました。

ただやはり、細かい穴や不完全な箇所は続けばどんどんでてくるもの。

私は細かいコミュニケーションや組織管理が得意な方ではなく、正直体制変更をゴリゴリ進行しているさなかに、リーダーのポジションにいるなかでかなりボロはでていました。

プロダクト型組織のデメリットに今までの当たり前が通じなくなるというものがあります。前のチームで普通に使ってた言葉が通じない。他職種の評価方法がわからない。同じことを言ってるつもりなのに誤解があった。私はこんなことを頻発させてしまいました。

これは組織にとってよくないな。。

そう考え、私は責任者ポジションを外れることにした。勿論葛藤はありました。このまま改革を成し遂げることでもっとキャリアが広がるんじゃないか。名前的にも責任者は多少はかっこいいのはあります。

しかし、自分がはまるべきポジションは各所調整をすることでなく、設定したミッションにそって最短の道を考え、自分で推進し、組織の体制変更を成功にもたらすことでした。

本書にも、改革は小さな成功を重ねることが大事であると記載があります。リーダー以上に能力の高い実行者がいなければ戦略もくそも何も成立しません。その重要さは本書を読めば府に落ちるはずです。

私はそう考え、いわゆるマネジメント業務を外れ、責任者のポジションをおり、事業を伸ばす方法や企画をひたすら集中して考え、実行する人になりました。(組織のありかたを更によくする行動からは外れました)

ただ、私は自分で考えた戦略をプレイヤーとして実践する立場。正直成果はだしやすく、簡単ではありますが、メディアのトラフィックを40%程度改善する結果やらなんやらを残し、評価されるに至りました。
         
今年のMVPはそのプロセスと事業伸ばす簡単な結果を残し、評価されたものでした。

このプレイヤーとして事業を成長させる選択も本書を読まなければ決断できず、自分はただ失敗した人としてそのままモチベーションを落としていたかもしれません。組織改革には色々なポジションがいて初めて成り立つ。そのことを把握し、自分が何をすべきか把握できたこともこ著書を読んでたからこそだと考えております。

ちなみに本書にも、戦略立案者と実行者は同じ人である必要があると記載あるため、ある意味では参考書通りの動きはできていたのかもしれません。

#実行したこと
・役職にこだわらず、戦略推進者として自分のポジションを移行&選択することができた。

#変わったこと
・シンプルに結果がでた(出しやすかった)
・どういう組織が事業伸ばしやすいか客観的に提案できるようになっている気がする

まとめ

私が具体的にこの本を読んで変えることができた実行したことや変われた点は以上の通りです。

ちなみにですが、私がこの本によって変わることができたのは、この本に基づいた組織改革を英断し、実行に移した事業責任者がいたからでした。

私はこの本を事業部長クラスの方々に是非読んでもらいたいと考えています。そして組織にはびこる悪い慣習は変えられる。社員のメンタリティも変えられる、そうすれば事業は必ず伸びてくと知ってほしいです。
  
きっと全員とまではいかずとも、組織を殺さない改革に、一部の社員は今までになかったモチベーションであなたの選択を正解にもっていこうとするはずです。

組織改革はばたついたことも多いですが、課題が明確な中で取り組むと、必ず前に進むものがあるかと思います。私の会社の仲間にも、本書読めば自信がつくことや、そういやこんなんもあったねーと思う箇所がいくつかあるはずなので、是非V字回復の経営は手にとって読んで見ると面白いかなと思われます。

最後に、問題児だった私がなぜ改革リーダーに抜擢されたのか。本書に記載する要諦で締めくくりができればと思います。

要諦38.一般に経営改革では、「突撃しない古参兵」よりも、今は能力不足だが潜在性の高い「元気者」を投入すべきである。

これからもがんばっていきます。


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