消し方

今朝の夢が消えない。どんな夢だったか覚えていないれど、埃っぽい夢だったのは覚えている。ずっと前に見た夢だった。灰色に色あせてなお私のどこかでくすぶっている景色や感情が、早く気づいてと泣いているようで、それは今朝が雨模様だったことも関係しているのだろうか。真夏なのに寒い朝だった。夢は夢だったと思った瞬間、夢ではなくなる。それは夢だったのか、夢だと思い込んでいたものなのか。夢を見たという思い込み見だったのかもしれないし、夢を見たという思い込み、だと思い込んでいるのかもしれない。

雨が降っていた。埃っぽい雨、は具体的にどう埃っぽいのか。空気中の埃が、雨によって手の届くところまで降りてくるから、という物理的なものなのか、全体的にどんよりとした空色のことなのか。低気圧のせいで重苦しい体のたとえなのか、雨に纏わる思い出や感傷の類。あるいはすべて。一回りしてからやっと、消し方を思い出す。

#詩