初夏と自殺

冬や夏の終わりではなく、初夏の、初夏の自殺なのだ。
冬や夏の終わりなんてのは自殺といってもほとんど他殺である。初夏の自殺は意思を感じる。抵抗する力を、力を感じる。抵抗する相手はなんだっていい。社会?自然?なんでもいいのだ。我々人間は色々と能書きを垂れたところで結局は生き、繁殖するために最適解を選んで生活する。しかし初夏の自殺からは彼ら彼女らがほんの一瞬でもこの世界の条理に勝ち、仕返しをしてやろうというある種痛快な意思が見て取れるように感じるのだ。そこにあるのは自殺とは言え生きている人間らしい、美しく愉快な反骨精神である。
別に自殺を美化する訳ではない。勿論悪く言うつもりもない。そう思えてしまうと言うだけの話である。

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