パイロットってレーシックしてもいいの?レーシックの適合条件を徹底解説

こんにちは。視力激やばパイロットです。

今回は視力が悪い人が一度は考えるであろうレーシック手術とパイロットの関係について話していきます。

私自身も今の学校に入ってから視力が悪すぎることに悩み、一度レーシックを受けることを真剣に考えました。
・レーシックを受けてもパイロットになれるのか
・術後に見え方が変わる心配はないのか
・そもそもレーシックってどういう手術なのか
など、気になったことを全て調べたり眼科を何件も回って聞いたりしました。

そんな体験談も含めてお話ししたいと思います。

パイロットはレーシックを受けることができるのか


結論から述べると、レーシック手術を受けてもパイロットになることはできます。エアラインのパイロットとして働くことができます。

私はレーシックを受けてパイロットとして働いている人を知っていますし、実際にレーシックを受けた後私の学校に入学し、卒業した人も知っています。

ただ、制限や特別な事項が何一つないというわけではありません。
航空身体検査上の扱いを見てみましょう。

航空身体検査上のレーシック手術の扱い

9.眼の中の9-1 外眼部及び眼球附属器に下記のような記述があります。

1.身体検査基準
航空業務に支障を来すおそれのある外眼部及び眼球付属器の疾患又は機能不全がないこと。

2.不適合状態
2-1
航空業務に支障を来すおそれのある眼瞼、結膜、涙器、眼窩及び角膜疾患又は機能不全
2-2
腫瘍又はその既往歴若しくは疑いのあるもの
2-3
屈折矯正手術の既往歴のあるもの
2-4
オルソケラトロジーによる矯正

3.検査方法及び検査上の注意
3-1
検査に当たっては、自覚症状、既往歴等について十分に問診すること。3-2
初回の航空身体検査は、細隙灯顕微鏡を用いて検討を行うこと。初回以降は、必要に応じて細隙灯顕微鏡を実施すること。

4.評価上の注意
4-1
円錐角膜について、眼鏡で十分な視機能が得られる場合は、適合とする。
4-2
腫瘍又はその既往歴若しくは疑いのあるものについては、1.一般1-3腫瘍を参照すること。
4-3
屈折矯正手術(LASIK,RK,PRKに限る)の既往歴があり、屈折矯正手術から6ヶ月以上が経過した時点において、症状が安定し、視機能が基準を満たしている場合は適合とする。この場合において、手術記録を含む臨床経過のほか、以下の検査結果において、眼科専門医の診断により異常が認められないことを確認すること。
(1)視力の日内変動(同日3回以上の測定結果)
(2)コントラスト感度
(3)グレアテスト
(4)角膜形状解析

5.備考
5-1
屈折矯正手術(LASIK,RK,PRKに限る)の既往歴があり、屈折矯正手術後6ヶ月以上を経過し症状が安定し、視機能が基準を満たしている者が、国土交通大臣の判定を受けようとする場合は、手術記録を含む臨床経過のほか、以下の検査結果を付して申請すること。
(1)視力の日内変動(同日3回以上の測定結果)
(2)コントラスト感度
(3)グレアテスト
(4)角膜形状解析
5-2
上記5-1の者のうち、十分な観察期間を経て経過良好であって、症状が進行しないと認められるものについては、国土交通大臣の指示により、以後指定医で適合とすることを許可される。

航空身体検査マニュアル

簡単に言うと「条件付きでレーシックを受けても適合になる」ということです。

パイロットの航空身体検査においてレーシックが適合となる条件

レーシックが適合となる条件その1
LASIK,RK,PRKのいづれかの術式であること

これは一般にレーシックと呼ばれる屈折矯正手術のより詳細な術式の話です。LASIKと呼ばれるものがいわゆる私たちが普段レーシックと呼んでいるもの。
PRK,RKはLASIKよりも長く使われている術式であり、LASIKと同様にレーザーで角膜を削る手術になりますが、その過程が異なります。
RKについては完全にPRKの下位互換であり、現代でRK手術を行う人はいないと思いますので、割愛します。
LASIKとPRKの違いを説明します。医者でもない私が、失礼ながら医学に精通していないであろう読者にただ調べただけの難しいことを語るのは無駄だと思いますので、本当に簡単に説明します。
LASIKとPRKではその術式の過程でフラップと呼ばれる蓋のようなものを作るか否かです。LASIKではこのフラップを形成します。これにより、フラップがずれたり、術後にドライアイが続くといったデメリットがありますが、痛みや違和感が少なく術後の視力の回復が早いといったメリットがあります。
一方でPRKでは術後の視力回復に3か月程度の時間を要する場合があるものの、角膜を多く残すことができその強度が強いので、近視や乱視の度数が強かったり角膜が薄すぎてLASIKを受けることができない人でも受けることができます。また、ドライアイにもなりにくいとされています。
意外と長くなりましたがこんな感じです。次の記事で書くつもりですが、私の場合は強度の近視であったので、5か所ほど眼科をめぐりましたがPRKなら何とかできるかもという眼下に巡り合うのが精一杯でした。
次の記事で詳しく述べるつもりですが、私は結局この屈折矯正手術を受けないという判断をしたので、私のおすすめはありません。

ここでの重要な点は、いわゆる角膜を切除するタイプの手術は認められているが、ICLと呼ばれる眼内コンタクトレンズは(まだ)航空身体検査で適合にはならないということです。

レーシックが適合となる条件その2
手術から6か月が経過すること

これは非常に重要な条件です。例えば、航空大学校の入試を受けようとしている人であれば、LASIKを受ける予定の日から少なくとも6か月先に身体検査があるように日程を調整しなければなりませんし、他の方法においても、術後6か月以内はどんなに問題がなかろうが適合にはなりません。
どの養成機関においても訓練が始まってからは定期的に航空身体検査を受ける必要があるので、視力の不安な人は「いつが自分にとってなんの滞りもなく屈折矯正手術を受けることができるリミットなのか」考えておかなくてはなりません。

レーシックが適合となる条件その3
追加検査で異常がないこと

航空身体検査マニュアルで指定されている屈折矯正手術を受けた場合の4つの追加検査の内容を詳しく見ていきます。

(1)視力の日内変動(同日3回以上の測定結果)
同日3回以上の測定を行い、裸眼での測定値ですべて遠見視力の基準内である必要があります。これは普通の視力検査ですが、なんといってもほぼ1日拘束されることになります。

(2)コントラスト感度
これはどれだけ薄くても見えるかどうかという検査です。
ペリーロブソンのコントラスト感度チャートがよく使われるようで、単純にどこまで薄くなっても文字を認識できるかという検査です。


ペリーロブソンのコントラスト感度チャート オールアバウトビジョン参照

(3)グレアテスト
私の知り合いに聞いたところこいつが最も厄介だそうです。
ハログレアと呼ばれる屈折矯正手術の後遺症があるのですが、その有無を調べる検査になります。ハログレアというのはまぶしいと感じる環境でものが見えずらくなる現象で、特に術後は夜の運転中に街灯がかなりまぶしく感じるようになるなど、少なからずハログレアの症状が出るようです。詳しい検査方法がわからなかったのでわかり次第追記しますが、術後のアフターケアがしっかりしていて、これらの追加検査も施術した院内で行ってもらえるところで施術を受けることが大事なようです。

(4)角膜形状解析
これはそのまま角膜の形状に異常がないかどうかを検査します。角膜を削るのでこの検査が必要になるのでしょうが、手術が成功していれば基本的にはここでひっかかることはないようです。


このように指定の術式で術後の経過が良好かつ6か月経過以降に追加の検査に合格することで、屈折矯正手術を受けた後でも航空身体検査で適合となります。かなり長くて厳しい道のりのように思えますが、これを踏まえたうえで次の記事ではいったいどのような人が屈折矯正手術を受けるべきなのか、具体的な視力の数値も交えながら私の考えを述べていきたいと思います。

今回の内容は以上になります。またいつになるかわからない次回の更新をお待ちください。


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