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【レビュー】SAPPHIRE Radeon RX 5600XTを使ってみるよ【グラボ】

みなさまごきげんよう。しりゅうです。

今回は、グラフィックボードを換装した感想の記事です。使ったグラボはこちら。SAPPHIREの、Radeon RX 5600XTを搭載した『PULSE RX 5600 XT BE 6G GDDR6』です。

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https://www.sapphiretech.com/ja-jp/consumer/pulse-radeon-rx-5600-xt-be-6g-gddr6

SAPPHIREはAMD……というか前身のATI時代からRadeon専業でグラフィックボードを製造しているメーカーで、迷ったらSAPPHIREというくらいに安定性や信頼性のあるところです。プラスアルファ的な部分、例えばオーバークロックモデルや光モノ、マザーなどとのブランドの統一感が欲しければ他のメーカーを選ぶ、という感じの立ち位置ですね。
そんなSAPPHIREの5600XTは2種類あり、選んだのはコンパクトな方。多少ブーストクロックは低く設定されています(1620MHz)が、HDMI端子が2つある点で選びました(DisplayPortも2つ) もう一方のモデルはブーストクロック1750MHz、端子はHDMIx1、DPx3となっています。自分のディスプレイ環境が古く、HDMIの方が使い勝手が良いのでこちらを選びました。

Radeon RX5600XTは、2019年に発売開始になったRDNAアーキテクチャを使った最新世代のRadeonで、5700XT、5700の次に来る、位置づけ的にはミドルハイクラスの物になります。競合のモデルと比較すると、2060とか2060Superと同じ辺りの製品でしょうか。
PCIE Gen4に対応していますが、今回換装するのはRyzen7 2700XにX470チップセットのマシンなので、Gen3動作になります。まあ、グラボのGen4はまだそこまで生きる機会ないからね……。

以前使っていたものは、MSIのRadeon RX480 搭載モデル、そのVRAM8GB版でした。大口径のファンを載せたTwinFrozrVIが最大の特徴です。負荷が低い時はファンが止まり、高負荷時でも静かで冷える、優秀なクーラー搭載のモデルです。
RadeonRX480は、現在も売られているRX580のリニューアル前の物。2世代前と言えばいいのでしょうか。自分のプレイするゲーム環境的にはそこまで不満はなかったんですが、買い替えることにしました。ラインナップの位置づけ的にも価格帯的にも当時のRX480と今の5600XTは大体一緒なので、世代を経た性能向上を見られるかが気になる所ですね。

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その理由は……こちらのSAPPHIREのキャンペーン。これで実質、ケーブルを買ったらグラボがついて来た、ってやつですね。やったぜ。このケーブルは、TypeA、C、micro、Lightningの変換コネクタを内蔵し、ほとんどのUSBデバイス同士を接続出来るスグレモノ。嵩張らないので持ち運びにも最適、とても便利です。

さて、換装した感想ということで、以前使っていたものと比較していきましょう。まずは外観から。

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赤いアクセントのあるボードが、以前使っていたMSIのRX480、黒いボードが今回使うSAPPHIREの5600XTです。厚みは同じ2スロット分ながら、長さと幅はコンパクトになります。公称230.5 x 122.5 x 40.1mmだそうです。それでいてファンのサイズは同じくらい。機能美を感じる締まったデザインですね。さて、冷却能力はいかに……。補助電源はどちらも同じ8Pinです。だから何も気にせず載せ替えられます。

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お次は5600XTの外観など。出力端子はHDMIx2、DPx2が順番に並んでいて、間違いをおこしにくくていいですね。写真の通り基板の長さはクーラーの長さの2/3~3/4程度なので、端子の反対側のファンの風がカード裏に抜けるようになっています。このタイプのクーラーはファンの風をフィンとボードに当てて周囲に散らすエアフローをつくることが多いんですが、この構造なら裏に抜ける流れによって熱い空気も滞留しにくそうです。
クリアパーツがなかったことからもわかる通り、このグラボは光りません。パーツを光らせたいかどうかは好みの部分ですが、光らないPCが好きな人にもいいグラボだと思いますね。

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ケースに取り付けました。私のケースはSilverStoneのRAVENシリーズ、RV03なので縦に取り付けです。煙突効果を狙った上方排気なケースが好きなので、引き続き出してほしいです。にしてもこの写真ブレブレですね。

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カード長が短いので、普通のATXサイズのマザーからはみ出さないのもいい所です。組み込んだ後にケーブルの差し替えや配線を整えたい時のメンテナンス性を確保出来ます。このマザーの場合、ちょうどSATAのコネクタがカードの延長線上にありますが、ここに被ってくると無茶苦茶抜き差ししにくいんですよ……SATAはラッチを抑えながら抜かないと壊しかねないですし。他のレイアウトのマザーでも、被らない長さのカードというのは価値があります。下手したら干渉してそこのコネクタ使えないですからね。
今回はケースに収めちゃっていますが、ベンチ台やパーツを見せるタイプのPCを組んだ時にも、ボードの幅に収まるサイズというのはスッキリ見せられていいと思いますよ。

さて、取り付けも終わったので電源を入れて、ドライバを……って、同じRadeon同士の換装なので、そういうのも要らないんでした。OSが認識してくれたのを確認して、デバイスマネージャーも確認して、問題なし。私は古い人間なので、ここでもう1回再起動しておきますが。

続いて、実ゲームのベンチ結果で前後の比較をしていきたいと思います。ということで、このPCの構成をまずは確認します。
CPU:AMD Ryzen7 2700X 50th Anniversary
MB:ASUS ROG Crosshair VII Hero
MEM:Corsair VENGEANCE LPX(DDR4-3000) 16GBx2
SSD:Samsung 970EVO 500GB 860EVO 500GB
HDD:WesternDigital 4TB
Display:EIZO FORIS.HD(1920x1200) サブモニター(1280x720)

とまあこんな感じで、第2世代Ryzenに合わせて新調したPCに、グラボだけ以前から引き続き使い続けた、という構成です。ここでネックなのはグラボに加えてディスプレイ周りかな、と。メインのFORIS.HDは調べたら2007年の製品でした。まだEIZOがナナオだった頃ですね。5年くらい前の寒い日にバックライトが不調かな、という時期があったけど、ここ数年は何事もなく順調に動いています。何も壊れることなく10年以上……やっぱりナナオは最高だな!! とはいえ今のゲーミングディスプレイにある様々な機能は一切ないので、スペックアップ分を体感できない環境ではあります。

グラボのレビューなので性能面も見ていきましょう。体感をただ書き連ねても意味はないのでベンチマークの数字で比較していきます。定番のベンチマークはいくつもありますが、そのためだけにわざわざインストールするのもアレなので、私が普段遊んでいるゲーム、ForzaHorizon4のベンチマークモードで比較してみます。なお、以下の結果は純粋なゲーム単体での結果ではなく、私の通常環境下での結果です。裏でNoxなどのAndroidエミュレーターやブラウザ、ツイッタークライアントが立ち上がっている状態です。アクティブに動作しているわけではないものの、メモリ等のリソースを喰った状態でのスコアになります。

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解像度が1920x1200のフルスクリーン、グラフィックプリセット『ウルトラ』から、垂直同期とFPS制限をオフ(そうしないと60FPS張り付きになってしまう)にし、モーションブラーもオフ(ゲームで使用している設定)であとは一緒(裏で動いているものも極力一緒)での結果です。
以前のRX480の結果と比べると、5600XTではGPU部分が大きく向上し、倍近いFPSを出せるようになりました。これなら、画質の設定を上げても余裕をもって60FPSでプレイ出来そうです。120Hzの液晶に換えるならもう1ランク上のグラボにする方がよさそうですが、設定を落とすか裏で余計なリソース取らせないようにすれば5600XTでも大丈夫かな。
心配していたのは5600XTのVRAM……ビデオメモリが6GBしかないことだったのですが、ベンチマーク結果を見ると問題なさそうですね。そして、RX480より多く使えていました。グラフィックの処理をより多く出来るようになった事で、メモリも多く使うようになったんだと思います。オープンワールドのゲームはこのビデオメモリの容量が大事になってきますが、通常のゲームプレイでも問題なかったです。もっと解像度を上げたくなると足りなくなるかもしれないませんが……5600XTのターゲットがフルHDゲーミングなので、解像度に対してちょうどいい容量といえそうです。

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もう一つ、最近リリースされたMicrosoftFlightSimulatorでも軽く比較してみました。飛行条件も飛ばしている機体も違う比較なので、参考程度に。
上がRX480で下が5600XT、グラフィックプリセットはどちらも上から2番目の『High-End』で、裏で色々足を引っ張る環境なのはForzaと同じです。
フレームレートを確認していなかったので、どの程度出ていたかはわからないのですが、どちらもプレイに支障はなく、私が操作に慣れていない以外は問題なかったです。上の環境を望むと限りないゲームのようですが、ミドルレンジのグラボでも十分楽しめると思いました。
スクリーンショット右下にドライバの機能でパフォーマンスオーバーレイを表示しているのでこれを見比べると、RX480はVRAMをあまり使えていないのに対し、5600XTではVRAMをしっかり使えていることがわかります。事前情報ではVRAMをいっぱい使うと聞いていて6GBでは大丈夫なのかと不安もあったのですが、それは問題なさそうでした。
ファンは最大2000回転くらいで回るのですが、PCには他にもファンがあって負荷が上がればそれらの音でまぎれるので、気にならないレベルでした。それよりもしっかり冷やせていることが重要ですが、負荷100%近くが続いても70度を切っており(GPU CURRENT TEMPの項目)、冷却能力の優秀さがわかります。
もう一つ気になる点としては、5600XTのGPU SCLKの項目。これはグラフィックチップのクロックなのですが、最初の商品説明のところにも書いたとおり、この5600XTのブーストクロックは最大1620MHz……のはずなんですが、1750MHz近く出ていますね。ここは負荷に応じてクロックが変わる項目なので、1750MHzに貼りつきはしていませんが……。GPU MCLKはVRAMのメモリクロックなので1750MHzでいいのですが、SCLKも1750MHz近く……うーん、どういうことなのかわからないのですが……まあいいか。

さて、このFlightSimulatorはリリース直後に対応したグラフィックドライバがでており、これまでの検証ではそれを当てずにいました。最近のAMDのドライバは、年に数回の推奨版のリリースと大型ゲームが出た時にそれの対応を入れたオプション版とがあり、何もなければ推奨版でいいのですが、FlightSimulator対応のオプション版ということで、それを入れてみました。

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その結果……ゲームでわかる変化はありませんでした。Forzaのベンチマークスコアは変わらず、FlightSimulatorも目に見えた変化はなかったと思います。ただ、パフォーマンスオーバーレイがスクリーンショットに残らなくなったので、ゲーム中のグラボの状態を見せることが出来なくなっています……残念。
もう一つ気になる所としては、VRAMをより使うようになりました。しかし、ゲームをしていない状態でも大量のVRAMを使っていることがあり、いったいどこがそれを使っているのか謎なことも。容量以上のVRAMを使っていることもあったので、使用量の読み込みがおかしくなっている気もします。安定してからリリースされる推奨版ではないので、そういう謎な挙動が見られることは、ままあることですが……。


私のディスプレイ環境に制限があることもあって特に不満を感じていなかったRX480ですが、流石に世代が変わると全く違うベンチマーク結果になりました。RX400番台→RX500番台は製造のプロセスルールの更新とクロックアップですが、今回の5000番台ではプロセスルールとアーキテクチャの両方を更新したことで大きく性能向上を果たしているわけです。
競合が新しいグラボを発表し、AMDもそろそろ次の噂が気になる頃ではありますが、高いフレームレートを要求しないゲームをフルHDあたりの解像度で遊ぶのがメインであれば、5600XTはちょうどいい性能だと思いました。特に、このSAPPHIREの『PULSE RX 5600 XT BE 6G GDDR6』は5600XTの中でもコンパクトでケースを選ばないので、コストを抑えつつある程度のパフォーマンスが欲しいニーズに応えてくれると思います。このカードの場合、ブーストクロックももう一方と同じクロックが出ちゃうので、必要な出力端子で選んでしまってもいいですね。

長くなりましたがまとめると……
2スロットからはみ出さない厚みでATXマザーからもはみ出さない短さ
HDMI2つ、DP2つとバランスのいい出力端子
 (調べた範囲だと、5600XTでHDMIが2つあるのはこれだけだとか)
RX480比で倍のフレームレートが出せる(『ForzaHorizon4』ベンチマーク)
VRAM6GBはフルHD環境なら足りる(『MicrosoftFlightSimulator』もOK)
ブーストクロックも1750MHzまで出るので、性能も他に見劣りしない
といった所でしょうか。

ところで『SAPPHIRE』って読めますか? 絶妙に読みにくい綴りですよね。読めなくて気になった人は調べてみましょう。
それではごきげんよう!!

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