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パトリツィア・コパチンスカヤ ヴァイオリンリサイタル

ザ・フェニックスホールの主催公演としては今年度最後となるパトリツィア・コパチンスカヤさんとヨーナス・アホネンさんのリサイタルが無事終了しました。最後の最後に本当に素晴らしい演奏会でした。シェーンベルク、ウェーベルンといったあまり馴染みのない曲で聴衆を異世界にひっぱり込み、その後にド直球のベートーヴェンのソナタで度肝を抜くという、なんともたくらみに満ちたプログラムでした(そんなたくらみがあったかどうかは知らんけど(笑))。

特にベートーヴェンのソナタは圧巻でした。縦横無尽にテンポを揺らしまくるだけでなく、そんな音は楽譜に書いてませんと叫びたくなるほどの即興性。でありながら二人の阿吽の呼吸によるアンサンブルは鉄壁で、恐ろしいほどに気持ちの良い音が立ち現れてくるので、もう興奮しかなかったです。

コパチンスカヤさんの演奏はいわずもがなですが、アホネンさんのピアノが本当に凄かった。コパチンスカヤさんに寄り添うだけでなく積極的に即興を織り込み、時にヴァイオリンに嚙みつくような凶暴性をみせるなど、とにかくスリリングな演奏でした。なんというか、クラシック音楽の演奏会なんだけどジャズのフィーリングが存分に盛り込まれたような斬新な演奏だったと思います。

先日観た映画「BLUE GIANT」の演奏シーンが本当に素晴らしかったのですが、今回の演奏を観て、まだまだクラシック音楽もやれるんじゃないかと大いに希望を持ちました。まだツアーは続きます。機会があれば是非彼らの演奏を体験してください。お勧めです。


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