眠れぬ夜のための谷山浩子プレイリスト。


 ふとiTunesで曲をDLしながら谷山浩子プレイリストを作成したら、これがなんともよく眠れる出来だったので曲目を公開してみることにする。ただ、そもそもこのプレイリストは車の運転中に聞くCDを作成するためにつくっていたものなので眠くなってしまうのはとても困るのだが…。(「そもそも谷山浩子って誰?」という方はこの記事へ。また、自分なりに谷山曲の魅力を語った記事はここにまとめてある。)

 車で聞くことを想定していたので、よく挙げられるような眠くなる曲は含まれていない。静かな曲が多いわけでもない。ましてや、(「作業用BGM」をもじって) ネット上で取り上げられる「永眠用BGM」などもほとんどない。そういうのをお求めの方は、すでにどこかでまとめられていると思うので、それを参考にしながら作ればいいとおもう。

 じゃあこのプレイリストではどのような曲が取り上げられているのか。端的にいうなら、〈比較的聴きやすい曲〉が並べてある。アイドルなどへの提供曲も多い。また、眠くなる曲よりも、どちらかといえばテンポの良い曲の方が多い。

 だから、くりかえしになってしまうけれど、直接に眠気を誘うようなものにはなっていない。その代わりに、嫌なことを忘れさせ、違うことへと考えを導き、いつまでも眠れない、あのとてつもなく嫌な時間、自分の意志ではどうすることもできない、どうにかしようともがくと逆に目的から遠ざかってしまう、あの苦痛の時間から、目をそらさせてくれる。したがって、「眠れる」というよりも「眠るまでの時間、そばにいてくれる」というほうがいいのかもしれない。

 結局のところ、これで実際に眠れるかどうかはわからない。わからないが、眠れなくても良いのかもしれない。少しばかり苦痛が和らぐのなら。


(*眠れないなら開き直って「不眠の力」を聞こう!)


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 では、短めのコメントも付けつつ。ちなみに全部でちょうど1時間くらいのものになる。近年のベストに収録されているものから少しめずらしい曲までいろいろと入れてあるので、きっと初心者から玄人まで安心しつつ飽きずに聞けるようなものになっているのではないだろうか。『ゲド戦記』のOPくらいしか聞いたことないという人も、ぜひDLしながら揃えてみてほしい。



(1)「Blue Blue Blue」(『空飛ぶ日曜日』より)

 歌い出しが爽やかで、ふとしたときに口ずさみたくなる。

 歌詞はシンプルなようでいて、谷山さんだな~と感じる。黒谷山曲を好む人には物足りないかもしれないが、少しありきたりのように感じる出だしの歌詞から、しかしありきたりなものに堕さない描き方をしてみせる独特のバランス感覚も谷山さんの魅力だと思う。

 なお、シングルバージョンはかなり賑やかなので、アルバムバージョンで。


 (2)「星より遠い」(『翼』より)

 どこか懐かしい雰囲気のイントロ・サビが好き。

 「偶然きみに会った話を 仲間がしてた
 それは何か奇跡みたい 不思議な気持がした」

 もう会わないと決めた人の話を友人から聞く。きみのことを「星より遠い」と感じているので、そんなことが「何か奇跡みたい」に感じてしまう。この不思議な距離感を思うと切なくなる。


 (3)「PyunPyun」(『Hiroko Taniyama'80s』より)

 たぶん珍しい曲。ベストにしか収録されていないのだろうか?

 サビの後ろで流れる音が妙に気に入ってしまって、よく聞いている。

 ちなみに、自分の場合ここらへんから少しずつ眠くなってくる。


 (4)「ひまわり」(『透明なサーカス』より)

 初めて聞いたときは「なんて女だ!!」と思ったけど、なんというか夕焼けをイメージさせるメロディラインと、その背後でリズムを取る汽車のような音が一つの世界観をつくりだしていて、曲の世界に意識がすんなりと吸い込まれてしまう、そんな曲。

 いろいろと考え事をしていても、それを忘れて曲の世界にひたることができる。


 (5)「小さな魚」(『天空歌集』より)

 緩急をつけるために、ここで少し明るい曲に戻る。

 ベスト『白と黒』にも収録されていることからわかるように、代表的な一曲。シンプルだけど前向きで、何度でも聞いてしまう。


 (6)「青色帽子ツアー」(『冷たい水の中をきみと歩いていく』より)

 世界に水彩絵の具を塗りながら、「なくした恋」を癒やしていくような曲。鮮やかな青色のイメージ。

 リフレインが心地よい眠気を誘ってくれるので、個人的にはここらへんからもう完全に記憶が薄れる。


 (7)「渚のライムソーダ」(『水玉時間』)

 大好きな「水玉時間」とどちらを入れようか散々迷い、こっちにした。たぶん、より眠れるのは「水玉時間」なので、「渚のライムソーダ」の前に入れてもいいかもしれない。

 ちなみに、これはほかの記事で書く予定だが、河合奈保子に提供したものとは全然違う歌詞になっている。もうおもしろいほど違う。


 (8)「イマージュ」(『タマで弾き語り』)

 作曲のみ谷山浩子。

 谷山さんには珍しい、低い出だしの曲。同じくらい低い出だしのものとしては中島みゆき作詞の「雪虫Whisper」もある。どちらも谷山さんの声の美しさが際立つ。サビの表現も素敵。 


 (9)「神様」(『宇宙の子供』)

 「日暮れの雨に濡れているわたしをわたしが見つめてる」という歌詞から始まる、谷山さん代表曲の一つ。自分のなかでも1,2を争うくらいに好きな曲。

 この曲については長い記事を書こうとして、結局途中になってしまっている。そのうち完成させられればいいが…。


 (10)「May」(『Hiroko Taniyama '80s』)

 これも作詞のみ谷山浩子。このプレイリストでは、『'80s』に収録されているシングルバージョンを入れてある。少女漫画チックで好き。


 (11)「会いたくて」(『歪んだ王国』)

 ベースをはじめとして、曲も歌詞の韻も全部好き。時折無性に聞きたくなる。


 (12)「パセリパセリ」(『たんぽぽサラダ』)

 隙な曲なのだけど、なぜかこれだけ音が小さい。「ヤマハで習った」という人も多いようだが、実際のところどうなのだろう?

 「会いたくて」などと比べると、歌詞がけっこう難しい。

「きみの夢見る折り鶴が砂丘を越えて飛んで行く
 幾千分の星の中 きみの恋人を迎えに
 だけど待てど暮らせど旗を訪ねて来ない
 きみは冷蔵庫のかたすみで泣きながら眠りにつく」

 この独特の歌詞センスがとても好き。短い曲なのに、めちゃくちゃ歌詞が多い曲でもあったりする。


 (13)「メリーメリーゴーラウンド」(『Hiroko Taniyama '80s』より)

 これまた『80's』収録のシングルバージョンを。

 いよいよこのプレイリストも佳境。最初から最後まで素敵な曲なので、とにかく聞いてほしい。もうだいぶ眠くなっているかもだけど。。。


 (14)「遺跡散歩」(『透明なサーカス』より)

 最後の曲は「遺跡散歩」。好きすぎて素敵すぎて、聞いていると胸が苦しくなる。静かな曲調のなかに、歩くことへの喜びと、どこかせかされるような、足がもつれるような焦り、そして明け方に近づくにつれ反射するガラスで少しずつ輝き出す遺跡の街、徐々に明るくなる景色と「このままいつまでも歩いていたい気持ち」。恋と永遠。あらゆる要素が反響しあって、一つの曲を作り上げている。


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 さて、以上14曲。もう少し眠りに特化させるなら、どこかに「水玉時間」「さかなの言葉」、そしてラストあたりに「お散歩宮お昼寝宮」を入れてみてもいいかと思う。まぁそこらへんはバランスとお好みで。

 それでは、少しでも心地良く眠れますように。おつきあいありがとうございました。





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