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#64 疑問に満ちた賢治の世界 その2【宮沢賢治とエミリィ・ディキンスン その2】

(続き)

〇 疑問に満ちた賢治の世界 その2

賢治と同じ岩手に生まれた人間として、新たな疑問も湧きおこります。
「なぜ(岩手のような)田舎から賢治が生まれたのか?」
「なぜ、岩手だったのか?」
という疑問です。

岩手は賢治を生み出したものの、賢治の創作活動上は、ネガティブな印象を持たれることが多いように思われます。地元の人々は、羅須地人協会の活動を理解できず、法華経を布教する賢治も好奇の目で見ます。生前の賢治作品に正当な評価ができず、結果、賢治を苦しめた、というイメージは、根強くあるのではないでしょうか。
いわば、
「どうしようもない田舎(=岩手)から生まれた最高傑作(=賢治)」
という構図で、こう考えると、
「なぜ、田舎はどうしようもないのか?」
「賢治はなぜその田舎にこだわったのか?」
といった疑問も湧いてきます。

37歳で亡くなった賢治の晩年は、羅須地人協会や、東北砕石工場の活動に挫折したように見えます。こうなると、
「賢治のような優れた人の晩年から、なぜ挫折感を感じるか?」
という次の疑問も。

(続く)

2023(令和5)年9月23日(土)

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