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サバイバーをよみました(ファイトクラブの作者の小説)

あらすじ:カルト教団のコミュニティで生まれ、教団が消滅し「生き残り」となった主人公が刷り込まれた教義や洗脳と向き合い主体性を獲得する話。

すごく乱暴にいうと、病的な涼宮ハルヒの憂鬱。超能力者で退屈してる美少女とボクとのラブコメ。

「サバイバー」はチャックの二作目となる作品で、第一作「ファイトクラブ」の流れをくむトランスグレッシヴフィクションです(社会的な道徳や規範に反抗し、個人の生き方の変化に焦点を当てるような作品群って意味らしい)
この作品は主人公の一人称で進んでいくが、その筆致はやたらと客観的で冷めている。チャックパラニューク作品すべてに言えることだけど、大量のインモラルな雑学と容赦のない風刺描写が特徴的な文体で構成されている。プロットそのものは、超能力を持つ赤毛の美少女が出てきたり、アダムの動機や人物像がちぐはぐに感じられたりとツッコミどころはあれど、地の文の情報量と病的な筆致による演出が傑出しており、物語に迫力をまとわせている。(迫真)荒唐無稽な話をリアリティを持って描けているというのはチャックパラニュークが非常に優れた作家であるということを意味していますよね。
主人公にとっては絶望的なことばかり起こる作品だけど、とってもロマンチックで前向きな小説なのでちょっぴり落ち込んじゃってる人とか自殺を考えているひととかにおすすめかもです

ちなみにラストについては(体裁としては解釈を読者にゆだねてはいるけど)タイトルが最も明瞭な伏線の一つと考えると割とすんなり解釈できる、わかりやすいオチがある点や派手な展開が続く点を鑑みるとファイトクラブよりも平易によめるのでおすすめかもです


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