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ハードなロックが好きなレズが勝手に選んだレズビアン・ゲイソング11選

レズビアンやゲイを描いた音楽はいっぱい存在しているし、「LGBTQソング」として様々なメディアで紹介されている。



 ただこういう所で出てくる「LGBTソング」はお決まりの「定番」がある気がする。もちろん私はディスコ系ソングもよく聞くし、Village PeopleもPet Shop BoysもBronski Beatも死ぬほど好き。めっちゃ聞く。クィアコア(いわゆるLGBTをテーマの中心においたハードコア系ジャンル)の大御所的存在であるLimp Wristを紹介してくれたローリングストーンズ誌は最高だなと思っている。

 しかし私はやさぐれレズのHR/HM好きでもあるため、こういった定番な「LGBTソング」は(良いのもあるけど)なんか物足りない、自分のものじゃないな、と思うときがある。なぜならまず「ロマンティックであること」「過度に性的でないこと」「作り手がストレート・エッジなクィアであること」が認定の基準になっている気がするのだ。Lady GagaやQueenがノミネートしてもJudas Priestが紹介されることはほぼないのである。「メタルの」クィアと枕言葉が付いていたり海外のちょっとニッチな「LGBTソング集」を探せばあるかもしれないが。

 という訳なので私が日頃から「これはゲイ・レズビアンソングだ!」と思っているものを独断で紹介することにする。基準としては「歌詞やPVのイメージがゲイ(レズビアン含む)的である」を第一にして、作り手が当事者であるかどうかは問わないフリースタイルで行くことにする。あとディスコ系は極力取り除いた。なぜならディスコとゲイ・カルチャーの繋がりは歴史的に強すぎて、ディスコ系ソングも含めると100選くらいになっちゃうから・・・・・・

11. Frankie Goes To Hollywood "Relax" (1984)

「入れません」って言ったのに早速入れちゃった。ディスコソング。

 冒頭入口に立つ男性のファッションといいゲイ・バー的な場所でひしめきあう男性たち・・というPVのイメージでこの作品が明らかなゲイ・ソングであることはハッキリわかる。ただこの作品があまり「LGBTソング」として虹色の旗をかかげて紹介されない理由がある。曲もPVも性的にあからさまで下品すぎるのだ。美少年をはべらかすおじさんに、SM要素満載、意味深な乱交パーティ・・・どうみても昼間に家族と見れる内容ではない(実際にラジオやMTVでは元の動画verでは放送許可が下りなかったそう)。

 バンドのリード・シンガーであるホリー・ジョンソンは1991年にHIV陽性であること、ゲイであることをカムアウトしており、本国イギリスではHIVに関する活動を積極的に行っているようである。”Relax”は1980年代の日本でも大流行したらしいが、「ゲイソング」としてもっと注目されても良い気がする。

10. Tom Robinson Band "Glad To Be Gay" (1978)

これはタイトルそのまま、「ゲイであって良かった」というような曲。1978年リリースの作品で、タイトルだけ見ると一見ポジティブなプライド・ソングに見えるが歌詞はかなりシリアス。

 「イギリスの警察は世界で最高だと思ってたんだ。彼らがパブを襲って理由もなく客たちを壁に押し付けるなんで信じられなかった。警官は彼らを殴り、蹴り上げて、家々を探りながら彼らのことを”クィア(変態ども)”と呼ぶんだ」という一節がある。これは当時実際にあった警察によるゲイ・バーの摘発が元になっている。イギリスでは1967年に同性愛行為が、それまで犯罪だったものが合法化。しかしあくまで「パブリックな場所ではない」「性的同意年齢は21歳以上(異性愛とレズビアンは16歳)」という条件つきだったため、80年代に入っても何かと理由を付けたゲイの摘発、ということがあったのだ。そもそも男性同性愛の性的同意年齢が18歳に引き下げられたのはなんと1994年なので 。トム・ロビンソン自身もデビュー当初からゲイをカミングアウトしていて、非常に政治的なメッセージのある作品を残している。

ゲイ・ソングとしてはかなりメジャーだと思うが、1978年というパンク真っ盛りの時代と当時のゲイ差別の実態を映す作品として紹介したい。

9. Kinks ”Lola”

kinksは父親がよく車の中で聞いていたので耳なじみが良いバンドなんだけれど、最近この”Lola”がゲイ(というかトランス女性)との恋愛を歌っていることに気づいて衝撃を受けた。要約すると「ハスキーボイスでかっこいい、男だか女だかわかんないlolaに”うちに来なよ”と誘われて初体験してしまう男の子の歌」。和訳を出していらっしゃる方がいるので気になる方はぜひ調べてみてほしい。最後の歌詞「Well, I'm not the world's most masculine man. But I Know what I am and I'm glad I'm a Man. (僕は世界で一番マッチョな男ってわけじゃないんだ。でも自分が何なのかわかったよ、男に産まれて良かった)」が本当に好き。Lolaとの経験で自分のセクシュアリティを理解して、かつそれを受け入れていくような歌詞だと思います。ポジティブでやさしい曲。

 ちなみにレイ・ディヴィスは数回女性と結婚しているが、欧米のゲイ・コミュニティ内では彼はゲイもしくはバイセクシュアルであることが共通理解としてあったりする(ここで私が「ゲイだ」と断言しないのはレイ自身がカムアウトした証拠を見つけていないから・・・ゲイの特定のコミュニティ内ではゲイ・レズビアン認定されているが実際はよくわからないミュージシャンはよくいる)。バンド名もkinks (Kink=「変態」という意味、同性愛者というニュアンスもある)という含みもあり、またレイは上記で紹介したトム・ロビンソンと一緒に仕事をしていた時期もあるので同性愛的な部分はあったのかもしれない(もしくはロビンソンと共通する何かが)。

8.  Lou Reed "Billy" (1974)

  ルー・リード、彼もバイセクシュアルを公言していただけあってゲイ・バイセクシュアル的な作品が多い。1972年にリリースして当時のゲイ雑誌に「これは今まで聞いた中で最もゲイ・リブな歌だ!」とレビューされた”Make Up” (特にこの中の一節"Out of our closet Out on the street"が非常にゲイたちの共感を呼んだそう。「クローゼットから出る」は「カムアウトして生活する」という意味があるので)、リード自身が幼少期に「セクシュアリティの治療」のため受けさせられた電気ショック療法について書いた"Kill Your Sons" など代表的な作品はいっぱいある。

 中でも私が個人的に「イイな」と思うのが”Billy”である。ストーリーを端折って言うと、「Billyは俺の幼馴染で親友だった。アイツは高校じゃフットボールをやっていて、俺はなんもできないヤツだった。大学に行き、アイツは薬学の学位を取って大学院にも進もうとしてた。俺はドロップアウトした。そしてアイツは医者になるためにインターンにも行ったんだけど、戦争が始まって兵隊に取られちまった。帰ってきたアイツはいつものアイツじゃなかった。まるでドアとしゃべってるみたいで、耐えられなくて別れちまったんだ。Billyは俺の親友だったんだ」。

シェルショックで変わってしまった友人に何もすることができず離れてしまう、すごくリアルで哀しい人間関係である。戦争という理不尽で残酷な行為を含めて。でも、どんなに大切な人間でも救いきれない場合ってあるよね、自分の力にも限界があるから・・・みたいなどうしようもない気持ちにしてくれる作品なんだな、”Billy”は。

7. Jobriath "I'maman" (1973)

  1970年代初期のグラムロック全盛期に、アメリカでデヴィッド・ボウイっぽい感じで出てきたジョブライアスのこと知ってる??好きな人いたらお友達になろう。

 彼は30万ドルかけてレコード契約して、イギリスで大規模なプロモーションをしたのだけれど大ゴケしてしまって、グラム・ロッカーとしてはあまり日の目を見ることがなかった・・・という悲劇の人なのだけれど作品は非常にお耽美で妖しくて謎の魅力がある。パフォーマンスとか作風とかジギー期のボウイの2番煎じだろと言われればそうなんだけど・・・。

 ジョブライアスの”I'm aman”の邦題は「麗しき男」。「僕は美しくて壊れやすい男なんだ。僕は君を愛せるんだよ、男が女を愛するように」といった両性具有的でホモセクシュアルっぽい歌詞が、どうにも色っぽいメロディで運ばれていく。退廃的で耽美な「グラム」を追求してて良い。正直ファースト・アルバム「Jobriath」を全編通しで聞いてほしい。オスカー・ワイルドの「ドリアン・グレイの肖像」とかの世界観好きな人はハマると思う。

 実際にジョブライアスはゲイであることを公言していて、自分のゲイ・イメージをボウイに劣らず巧みに作品に織り交ぜたと思う(ボウィのバイセクシュアル発言がファッション的なものであった一方ジョブライアスはガチのゲイで、その作品の性描写はかなり露骨に見える)。彼は1983年にエイズで亡くなりますが、その遺体はホテルの一室で数日間発見されることはなかったそう。グラムロックのブームの片隅で生きていたジョブライアスをたまには思い出してあげてほしい。

6. Jayne(Wayne) County "Cream in my Jeans"(1976)

トランスジェンダーでパンク・クイーンの先駆けといったらウェイン・カウンティっすよ!このゴリゴリのパンク・チューン、かっこいいでしょ・・・。

この曲は「You Make My Cream My Jeans!」というフレーズが特徴的で、何言っているかというと、まあ、お察しください。カウンティは1970年代のアメリカのパンク・シーンを騒がせた方で、他にも'FUCK OFF'といったシングルが売れたそう。彼女は当時ウォーホル・ファクトリー(アンディ・ウォーホル率いる芸術サークル、クィア・コミュニティとしての側面もある)に出入りしていたり、デヴィッド・ボウイとも親交があるなど、様々なロック系アーティストに影響を与えた方である。彼女がいなかったらクィア・コアも爆誕しなかったんじゃないかな。

このファッションと音楽性は映画「ヘドウィグ・アングリーインチ」のモデルになったんじゃないかなと思っている。カウンティのサウンドは映画サントラの"Tear Me Down"や"Angry Inch"に似ている気がする。ついでにカウンティが最近リリースした"I Don't Fit in Anyware"も素敵なので聞いてください。

5. Lordi "Like A Bee To The Honey" (2020)

 これを始めて見たのは昨年8ビートギャグのマイケル・モンロー特集のイベントだった気がします。「めっちゃカッコイイじゃ~~ん」と何気なく聞いてたら、PVが「好きになった女をストーカーして殺してしまう女」のストーリーだったので3度見ぐらいしました。家に帰って見てもやっぱりメンヘラなレズビアンの姿がそこにあり、びっくりしました。

 Lordiはフィンランド出身のヘヴィメタルバンドで、"Like A Bee To The Honey"はジャン・ボーヴォワールとポール・スタンレー、マイケル・モンローの超豪華コラボで出来上がった曲。歌詞はポールっぽいな~!と感慨に浸る一方、PVのおかげでもう立派なレズビアン・ソングにしか聞こえないのである。

しかしHR/HMの伝統におけるストーカー系のストーリーって「男が追って女が殺される(襲われる)」が常道だった気がする (Alice Cooperの"Love’s A Loaded Gun"とか)。Lordiはなぜあえて女同士の愛憎をチョイスしたのか。調べても特に「レズビアンを描きました~」みたいに発言しているものが見当たらない。これは私だけに見えている幻覚なのか?日本のレズはメインストリームの世界ではめったにレズビアンな表現を与えられないので、レズビアンがちょっとでも出てくると気になって気になってテンションが上がって仕方ないのである。もしかしたら「同性同士のアレコレを描くのに理由は不要!その辺の男女の恋愛模様も理由なく描かれているだろうが!だまって見て聴いてろ!!」ってことなのかもしれない。やっぱ北欧はすげえや(ゲイ幸福度ランキング上位国)

4. Mötley Crüe "Same Ol' Situation (S.O.S.)"

だってニッキーがそうだって言ってたんだもん!!!

この曲は、女が女に夢中になるっていう内容なんだよ。でも、もっとおかしいのは、その内容ははっきりと歌詞に表れているのに、レコード会社のやつらには、全くこの曲の意味がわからなかったっていうことなんだ。こんな内容の曲がシングルなんだぜ!ラジオでかかってる。これってすごくクールだろ?(MUSIC LIFE誌1991年2月号より)

わかる。すごくわかる。そういうのすごくクールだ。歌詞を読んでみるとこんな感じでがっつりレズビアンのことを歌っているのだ。

彼女はワニ革のバッグを持って全身黒づくめで帽子をかぶってる/彼女にはフィリピン人の女の子がいて、友達だって言ってた/お前は笑うかもしれないけど、俺は彼女のことCindyって呼んでたんだ/そしたら彼女は自分の名前をsinに変えちゃったんだ/俺は彼女を本当に愛してたんだけど、彼女は自分が見つけた女の子とエッチな関係になっちゃったんだ。
(彼女は)電話で俺にその恋人を紹介しくれたんだ/それは甘美な別れだった/俺が彼女たちを最後に見たのは、ウェディング・ベルが鳴る中でソフトにキスをする姿だった。

という感じで「付き合ってた彼女が女の子と結婚しちゃう話」でした。で、これが「Girls will be girls」で「Same Ol' Situation」だと(ここの解釈はわからない、ニッキーの歌詞むずい)・・・。私はポジティブに解釈してるし、普通に面白い歌詞だと思う。個人的にCindyとsin(罪)のごろ合わせの部分は俊逸だなと思っている。キリスト教圏で同性間でセックスすることは「罪」とされているのでCindyがsinになったということは・・・という含みがあるってことだ。

 以下は蛇足なんだけれどマッチョな男性ってレズプレイ見るのお好きですよね。多分ニッキーもLGBTQとかそういうのまったく考えてなくて「良い女と良い女がくっついたら最高だよな」くらいのノリで書いたんじゃないだろうか。結果としてモトリー・クルーというLGBTQとは無縁なマッチョなバンドでレズビアン・ソングが爆誕するのは面白い。

3. Joan Jett "Crimson and Clover"(1981)

 女が惚れるロックミュージシャン第一位(だと勝手に思っている)ジョーン・ジェット様。彼女の超カッコイイギターワークと、少年のような勝気な笑み、ハスキーなボイスにクラクラするレズのロックっ子は世界中に何万人もいるはず。そんなレズっ子の心を一番かき乱すのは"Crimson and Clover"でしょう。シンプルに歌詞を一部引用しますね。

Ah, now I don't hardly know her (彼女のことはほとんど知らないんだけど)
But I think I can love her (彼女のことを愛せる気がする)
Crimson and clover
Ah, now when she comes walkin' over (あの子が歩いてきた)
Now I've been waitin' to show her (あの子が出てくるのを待ってたの)
Crimson and clover
My my, such a sweet thing (ああ、なんて素敵なんだろう)
I wanna do everything (したいことは全部やってみたい)
What a beautiful feelin' (最高だわ)
Crimson and clover

なんて甘酸っぱいラブ・ソングなんだ・・・。洋楽ロックにおいて女性ボーカルが「she」を恋愛対象に歌うこと自体非常に珍しいような。例えば男性(女性)歌手が女性(男性)に感情移入して女性(男性)目線の恋愛ソングを歌う、クロスジェンダーボーカルの伝統はある。特に日本の演歌とかポップスはそういった手法がよく使われているが、欧米のロックではあんまり浸透していないと聞いたことがある。音楽は聞き手側がどのようにも解釈できるものだが、ジョーン様が情感たっぷりに歌う姿からしてとってもレズビアン・ソングに聴こえる。そもそもPVのジョーン様が非常に魅惑的だし、「花のつぼみを口でちぎる」シーンもすごく示唆的よね・・・。

ジョーン・ジェット様も欧米のロックなレズビアン・コミュニティから非常に人気のあるお方。そのなかから「実はレズビアンなんじゃないか?」という噂も出つつ真相は藪のなか(そもそも意図的に自分のセクシュアリティに関する話をしないようにしている気もするので、それはそれで良い)。ジョーン様は1990年代のライオット・ガールのムーブメントにも欠かせない方なので、ついでにBikini Killとの共演も見てください。

2. Aerosmith "Dude (looks Like a Lady)"(1987)

80年代HR/HM全盛期の時に出た一番売れたゲイ・ソングなに?って言われたら真っ先に"Dude"を挙げますね。初めて聞いた時めちゃめちゃ衝撃だった。

 まず「dude」は俗っぽいニュアンスで「男、野郎」を意味する単語で、題名は「女みたいな野郎」ってこと。そして歌詞は「バーに超マブい女がいてヤったんだけど、実はそいつ男だったの!でも楽しかったから良いか!!!」という内容。相手のことはずっと「she」で語られるんだけど、途中で入る「Oh. He was Lady!」の一節で異性愛テーマっぽい歌詞が全部ひっくり返される。

 歌だけでも面白いんだけど映像もスゴい、とにかくジェンダーがぐっちゃぐちゃで描かれる(女性の裸もたくさん出てくるのはエアロスミスらしいが)。マッチョな女性土木作業員と、ウエディングドレスを着たおじさん、女装したスティーブン・タイラー(これがまたすごく似合う)。享楽的でカオスな世界である。

 この作品はデズモンド・チャイルドが共作している。彼はアリス・クーパーやKISS、ボン・ジョビとの仕事でも大ヒットを飛ばしたスゴイ方である。実はチャイルドは90年代にゲイをカミングアウトし、現在は代理母で授かった子どもと共にパートナーと暮らしている。そして"Dude"制作時には以下の裏話がある。ジョー・ペリーが題名を見て「これ大丈夫なのか?ゲイ・コミュニティを侮辱するのは嫌だぜ。」と言ったのだがチャイルドは「俺はゲイだ。そもそも俺はこの作品で侮辱されていないよ。」と返し作曲に踏み切った話がチャイルド本人の口から語られているのだ。

 この曲で一番好きなのは「So never judge a book by its cover (本を表紙で判断するなよ)」という一節。つまり愛したり、遊んだりする相手を男だとか女だとか見た目で判断するのってもったいないだろ、ってことなのかなと。自分のセクシュアリティのこと「これだ!」って決めつけず色々と「チャレンジ」するのも一つのアイデンティティ確立、生き方の一つだと思う。もちろん安全に、お互い楽しくね。スティーブン・タイラーの生き方がまさにそれを体現していると思う。彼は「昔試しに男と寝てみたんだけど、俺には合わなかったなあ」と発言したことがあり、真偽はともかく「試しにやってみる」という姿勢が個人的にすごく好感が持てる。ごちゃごちゃ言ってねえでヤってみろって話。

ちなみに「女っぽい野郎」の元ネタはモトリー・クルーのヴィンス・ニール。タイラーが女の子と間違えちゃったんだって。

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……確かにカワイイ女の子だったわ(過去形)

1. Judas Priest "Wild Nights, Hot & Crazy Days" (1986)

メタルでゲイっていったらこのお方しかいないでしょう!!全ゲイのヘッドバンガー達の守護神だぞ!!!

「ヘヴィメタルってさ、結局男と女の恋愛ばっかりだし同性愛嫌いなんじゃないの」、「ホモはメタルから出てけ!」みたいな偏見&差別を総じてぶん殴るのがロブ・ハルフォードの存在である。彼の1998年のカムアウトはそれだけパワーがあった。ロック史のなかに刻まれるべき出来事だと強く思っている。メタル・ゴッドとしてLGBTQの権利を叫んでくれるロブ御大のなんて心強いことか・・・。(下の動画はMTVでロブが初めてカムアウトした時のもの。字幕出るよ。)

 ジューダス・プリーストの活動においてロブはそれほどはっきり「ゲイ」を示すような作品は残していない。ファッションはガチガチのゲイ・ファッションだけれど。でも実はよ~~~~~~く歌詞を読んでみるとそう読めるものもあるし、ロブご公認のゲイ・ソングもある。例えば"Raw Deal"(1977)は架空のゲイ・バーの歌で、本人いわく「最初のカムアウト・ソング」だし"Jawbresker"(1984)はフェラ〇オの歌だし・・・詳しくは以前書いた自伝『Confess』の要約を参照してほしい。でも今回は私が「これめっちゃゲイの歌じゃん」と(勝手に)解釈している作品を紹介したい。

「Turbo」は個人的にとってもゲイ的な作品が多くて特に"Wild Nights, Hot & Crazy Days"は直接的な感じがします。「夏!ワイルドな夜!ムラムラするから相手を探しにいくぞ!」という歌なのですが、まず熱量があってイイ。探しに行く相手が女だか男なのかは曖昧ではあるが、「I'm gonna cruise around」の一節は引っかかる部分。「クルージング」とは「セックスする相手を探しに行く」という意味で欧米のゲイ界隈ではしょっちゅう使われる単語なのだ。もちろん「女あさりをする」という意味も取れるんだけど。この一曲を聞くと、私はトム・オブ・フィンランド(有名なゲイ・アートの作家)の絵に出てきそうなマッチョな男たちが深夜にパーティしている姿を想像します。ジューダス、もといロブの書く歌詞のイイ所は、恋愛をうたう場合でも相手が「you」で表記されるものが多いという点。聴き手によってヘテロなソングにもゲイソングにもなりえるのだ。


というわけで私の独断と偏見でレズビアン・ゲイソングの選定を行ってみた。権利の主張だったりアイデンティティの葛藤だったり、シリアスなメッセージがほとんどない作品を多く挙げてしまった感はある。でもなんだか享楽的で、楽しくて、エロティックなものに焦点を当ててみるのもアリだと思う。気が滅入る時期に我々はいるわだし…。今後はメタルのゲイっぽいソングもいっぱい探していきたい所存。

おわり

 


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