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動植物の話13 カゴの中の十姉妹とカゴから逃げた十姉妹

昔、十姉妹を飼っていた頃、鳥カゴを玄関先で洗っている際に、一羽がカゴから逃げたことがあった。

ほんの一瞬の隙に、カゴの下の空間から飛んでいってしまった。
私の不注意でもあったが、瞬間の出来事だったので、どうすることもできなかった。

初めてカゴの外に出た十姉妹は、よほど気持ちが良かったのか、高く飛び続けて近所の家の二階にまで届く高い木の上に止まった。

そしたらそこで、こともあろうに、オス特有の求愛ダンスをしているのであった。
カゴから逃げたオスは、カゴの中でやるいつもの求愛ダンスを、独特な鳴き声とともにやっていた。

「カゴからまんまと逃げてやったぜ。どんなもんだい!」
とばかり、まるで勝ち誇ったかのように、求愛ダンスをやっていた。

でもそんな所にメスはいない。メスがいるのはカゴの中です。

私はその十姉妹を捕まえたかったが、それはとうとうできなかった。
カラスも多いこの付近なので、たぶんカゴの外では、数日も生きてはいられないだろう。
 
カゴの中では、数羽ほどの十姉妹がいつものようにエサを食べ、水浴びをして、穏やかにしていた。
カゴの中は狭いが、巣もエサもある守られた棲み家なのです。

これらの現象をちょっと人間界に置き換えてみた。

会社内でおとなしく収まっていれば、ある程度その生活は安泰で生命の危機もあまりない。
それに比べ、今いる職場に嫌気がさして一度外に出た人間は、それなりの覚悟と根性を持って、なんとしてでも自分の力で生きていかねばならない。
そうしなければ、この逃げた十姉妹と同じような結果になるであろう。

厳しい現実があるということでしょうかね。


ギンヤンマ

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