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チコと鮫

                        記憶のカケラ#001

私が初めて映画館で観た映画は『チコと鮫』。
父に連れられて観にいったという、うっすらとした記憶。
覚えているのは、どこかの島が舞台で、肌の浅黒い半裸の少年が鮫と一緒に海の中を自在に泳ぎまわる場面。記憶を探ると、モンスーンか何かで、強風が吹きつける海辺のヤシの木の光景も。(後付け記憶かもしれない)

どんな映画だったのか気になっていて、ネットが普及して間もないころに検索してみた時には見つからなかったが、最近再度検索したら見つけることができた。
イタリア・アメリカ合作のセミドキュメンタリー映画で、舞台はタヒチ、主演の少年を演じたのはポリネシア人のまったくの素人の少年だったらしい。
公開が1963年ということなので、公開時、私はまだ3歳。いくらなんでも新作が上映される渋谷の映画館まで連れてはいかないだろうから、しばらくして地元自由が丘の名画座にまわってきた時に観にいったんじゃないかと思う。
今ではDVDも出ていて、YouTubeで予告編や作品(の一部?)を見ることもできるのでびっくりした。また、テレ東で放送されたこともあったらしい。

映画館の大きなスクリーンで初めて観たから印象に残っているのか、海の中を自在に泳ぐ少年の姿や、鮫と仲良くなるという物語に心を奪われたのか。
白黒だったし、景色がきれいとかは思わなかったと思う。
ただ、初めて観た映画として記憶の中に刻まれている。

ちなみにその次に観たのは『アラビアのロレンス』。
これも父と二人で観た記憶。
『チコと鮫』を観たのよりあとで、小学校の低学年ぐらいだったような気がする。
カラー作品で、大きな画面にひろがる広大な砂漠の景色に圧倒された記憶があるので、大きな映画館で観たと思っていたけど、こちらも1962年の公開なので、やはり名画座だったのか。
父が「砂漠の地平線上にポツンとラクダに乗ったキャラバンが現れる、あの広大な景色がすごかったなー」と感想を言っていた覚えがある。
当時の私は、劇中、ロレンスと一緒に砂漠を旅していた少年の一人が流砂に飲みこまれてしまうというシーンが衝撃的で、絶対に砂漠には行かないでおこうと思った。
こちらはその後、テレビなどで何度か観る機会があった。その年代(私の)によって注目点や感じ方が変わる、さまざまな要素が盛り込まれた傑作映画だと思う。




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