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小笠原紀行⑤|最終日にしてようやく海へ

長旅に思えた今回の旅も、あれやこれやと動き回っているうちに、あっという間にもう終盤。今日はついに、小笠原の海に出かけます!
この日も1日ツアーで巡りました。これまたガイドさんが同行していないと入れない島があることや、私がシュノーケリングに不慣れなので1人よりツアーの方が安心だと思ったからです。

というわけで、ツアーのボートに乗り、まずはその名の通り父島の南に位置する南島に向かいます。
南島の周りは岩場が続いていて、風や潮位によって上陸できないことも多くあるのだそう。この日はありがたいことに条件がそろい、無事に着岸することができました。

南島近くの海
美しい青の海ですが、多くの岩場に波がぶつかってかなり荒々しさを感じました

南島はガイドさん同行のときのみ上陸できる島で、もちろん住人はいません。これぞ無人島、というような人気のなさを感じます。
かなり険しい岩場を登ると、眼下には思わず息を呑むような絶景が広がっていました。

今回の旅の中で個人的絶景ランキングナンバー1の景色!

南島でのツアーを終え、父島に帰る道中でイルカを探します。

若干脱線しますが、この旅をを通して終始感激しきりだったことのひとつが、ガイドさんたちの生き物を見つける目が本当にすごい。参加者が10人程度で目を光らせても見つけられない生き物を絶対に逃さず見つけてくれます。

今回も例にもれず、イルカの群れをガイドさんが見つけてくれました。シュノーケリングマスクをつけてイルカと一緒に泳ぐドルフィンスイムは、名前は可愛らしいですが、実際にやるのはなかなか難しい。船がイルカの群れに近づいたら、躊躇なく飛び込んで、かなりのスピードで泳いでいるイルカを追いかけながら並走しなければいけません。

最初はうまくできず、せっかく見つけたイルカの群れを逃してしまいましたが、コツを掴むにつれて長い間並走できるようになりました。一緒に泳いでいると、他の群れが合流してきて10匹以上の大群になったり、急に体をよじらせながらスピードを急に上げるイルカがいたり、間近でイルカたちのことをよく知ることのできた貴重な経験でした。

10匹以上のミナミハンドウイルカたちと泳ぐことができた

その日の締めは、ゆったり魚たちと泳ぐシュノーケリング。父島近くのキャベツビーチというところでおよきました。キャベツビーチ、名前の由来が気になる。
青の色が濃い沖に比べて、透き通るような水色が美しい海でのシュノーケリングを満喫しました。

上から覗き込めば魚が見えるほど透き通った海でシュノーケル

最終日の夜は、宿での出航前夜パーティー。宿のペアレントさんとヘルパーさんが総出で準備してくれた島の御馳走が所狭しと机に並びます。小笠原滞在中の思い出を語り合ったり、島の民謡や歌を披露しあったりと、合宿のように賑やかで楽しい時間を過ごしました。

島寿司、ウミガメの煮込みなど小笠原の郷土料理がずらり

ちなみに、私は小笠原滞在中にヘルパーさんに教わったウクレレを披露しました!ちょっと不気味な音の入り混じる()南の島の大王をなんとか演奏でき、みんなに拍手をしてもらえてちょっぴり誇らしげな気持ちでした(笑)

全てのイベントが終了した最後の夜。

もうひとつだけやり残したことがあって、宿近くの大村海岸に向かいました。それは、ウミガメの産卵を見ること。他の日にもチャレンジしましたが、これまでまだ出会えていませんでした。

そんなに簡単には見つからないだろうな…と思っていると、早速すでに人が数人集まっている様子。ヒソヒソ声で聞いてみると、ちょうど産卵をしている真っ最中とのこと!そーっと近づいてみると、まさに産卵中のウミガメがいました。
ウミガメは陸に上がってきてから、長い時間をかけてまず穴を堀り、その後卵を産み、それに砂をかけてカモフラージュをしてようやく帰る、というように、かなりの時間をかけて一連の産卵を終えます。この中で実際に産卵をしているのは10分ちょっとのことが多いらしく、このタイミングでウミガメに出会えたのはとってもラッキーでした。

砂を掘る音とウミガメの呼吸が、静かな大村海岸に響き渡る


これで、小笠原での滞在もいよいよ終わり。
この旅を通じて強く印象に残ったのは、小笠原で自然を相手に仕事をする人たちの姿でした。ツアーのガイドさん、固有種を守るために働くレンジャーの方、ウミガメやクジラの調査や保護をする海洋センターの方…みんなそれぞれの役割で、小笠原の自然を心から愛して、それを守るために必死に仕事をしているのだと感じる瞬間が数多くありました。
ガイドさんが言っていた、「小笠原は基本人間じゃなくて動植物が優先なんです。彼らは4800万年も前から住んでいて、私たち人間はそこにほんの最近になってお邪魔している立場。だから彼らを脅かすようなことを人間がしてはいけないと思っています。」という言葉。きっとこれを、島の人たち全員が暗黙のルールとして守り続けているからこそ、本当はとっても脆いはずの固有種ばかりの生態系が残されているのだと感じました。

これまで、さんざん自然を破壊しておいて今更人間が自然を保護するなんてただのエゴだ、と思ったこともありました。
ですが、小笠原で自然を守るために仕事をする人たちの姿を目の当たりにして、人間が入り込みながらも動植物たちの生態系を残す、そのつなぎめの役割をする人たちの存在の大切さに気づくことができたと思います。


24時間の旅は遠いように感じますが、そうでなければできない経験に恵まれ続けた1週間でした。

小笠原紀行 完
(2024年5月8日)

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旅先での、人・動植物・景色・・・様々な出会いに心からの感謝を込めて。
読んでくれてありがとう!またね!



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