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生命保険 数字のマジック?見た目に騙されないために

こんにちは。SKPです。
前回、生命保険の保険料の決まり方と、「昔の保険にはお宝保険がありますよ~」と書きました。

改めて要約すると、

・生命保険の保険料を構成する要素に『貯蓄保険料』がある
・『貯蓄保険料』に影響を与えているのは『予定利率』である
・『予定利率』が高いと、運用の収益率が高いと言える
・『予定利率』が高いと、運用率が高いため、支払う保険料が下がる

といった内容でした。

また、予定利率は金融庁の定める『標準利率』を基準としていて、この『標準利率』は昔と比較するとかなり低い水準となっている、というのも前回触れた内容です。

今回は『予定利率』の【数字のマジック??】についてご紹介します。

予定利率が下がったのに解約返戻金が高くなった?

予定利率が高くなると、その分保険料が安くなります。これは予定利率が高くなると「貯蓄保険料」が運用率分割り引かれて下がるためです。

これは、貯蓄保険料が下がり、「運用に回される・積立に回される」保険料も下がる、という意味になります。

逆に、予定利率が低くなると、保険料は高くなります。先ほどと逆で予定利率が低くなると、「貯蓄保険料」を算定する際の運用率分が下がり、割り引きが少なくなるためです。

これは、貯蓄保険料が上がり、「運用に回される・積立に回される」保険料が上がる、という意味になります。

…何か違和感がありませんか?

この説明だと「予定利率の低い方が積立の金額が多い」ということになります。

実際に「予定利率」の引き下げがあり、【支払う保険料】が変わらない場合は、従来よりも引き下げ後の方が、『解約返戻金』の積み上がり方が早くなります。

そのため加入~数年間は、解約返戻率も「予定利率」の低い保険の方が良くなります。

「あれ?予定利率が低い方が有利なの?」となりますが、これは正しくありません。

この説明は【運用・解約返戻金】しか考えていない

先ほどの説明は「間違い」ではありませんが、「正しく」ありません。

確かに【同じ保険料】で【予定利率の高い・低い】保険があった場合、予定利率の【低い】方が、加入から数年間、解約返戻金が貯まりやすいのは事実です。

しかし、予定利率による運用は「複利」で行われるため、「複利の効果」はは予定利率が高い方が当然良くなります。

予定利率が【低い】方は、契約してから5~6年程経過すると次第に解約返戻率の伸びが鈍化し、予定利率引下げ前(予定利率の高い方)の解約返戻率より低くなります。

また、保険本来の『役割』についても考えてみましょう。

予定利率の高い保険・低い保険、それぞれの保険料が同じである場合、予定利率が高い保険の方が「貯蓄保険料が低く」なります。

これは、「保険料を構成する別要素=死亡保険料」が相対的に高くなっているとも言えます。

これはどういうことかというと、同じ保険料でも、予定利率が低い保険と比較して「多くの死亡保障(保険金)」の保険に加入できる、ということです。

保険は本来、「何かしらのリスクに備える」ために加入するものですから、同じ保険料であるなら、そのリスクへの保障が大きい方が、コストパフォーマンスが良いことになります。

予定死亡率や予定事業費率も変わっていますので、全てを一概に言うことはできませんが、『予定利率が高い方が有利に働く』というのは分かってもらえるかと思います。


一般的には、予定利率の料率改定前と改訂後の数値を並べて、保険を見比べるということはありませんし、予定利率も表立って表示されるものではありません。

そのため「この知識を何かの参考にする」というのは難しいのですが、保険を加入する際に『数字のマジック』に騙されないように注意してくださいね。

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