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12/18『海王星』感想

海王星を見てきました。
これより先はネタバレになります。

「山田裕貴見てみたーい」という完全なるミーハー心でチケットを取りましたが、舞台全体のエネルギーが激しくぶつかりあって客席に飛来している感じがすごくて、圧倒されました。

舞台のセットがすごく好きです。ギリシャの古典劇を上演する野外劇場のような半円の舞台。アンティークな質感で統一された道具。登場人物たちのバラバラっぷりをあらわすかのような椅子。

山田裕貴の歌がうまいことは局中法度TVで知ってましたが、ミュージカルっぽく歌い上げる系の曲調ではなく、ゆったりと情感を込めて歌う曲が、彼のまろやかで優しい雰囲気の声質にとても合っているんですよねー。

この舞台、ホテルの客たちのお化粧がすごく印象的なんですよね。白塗りといっていいようなベースに血のようにも見える色や、ギラギラのラメをまぶしたポイントメイク。いつ船出のときを迎えられるか分からず、閉塞感の中で歌い騒ぐさまはまさに「狂乱」で、彼らがもはや正気ではないことを視覚的に訴えるためのメイクなのだろうと感じます。

あと、今回初めて観たんですが伊原六花さんって動体視力がすごくいいなと感じました。他の人物の動きをとらえてすばやく表情を変えていたのが記憶に残っています。
女学生さんたちはあんなに踊りまくってよく眼鏡飛んでいかないなと感動してました。謎の技術・・・
熊沢太郎ソングこと「商売に強くなる法」のダンスもとってもキュートでもうとにかく見どころが満載で目が足りない作品ですが、山岸門人さん演じるホテルのボーイが魅力的でついつい目で追っちゃうんです。女性2人のせたカートをスムーズに押していったり、女性に絡まれながらグラスが載った盆を持ったりと、身体的な能力もめっちゃ高い。
そして父親・弥平の「空気の読めなさ」が見ていて哀しい・・・那美に「猛夫とどうなの?キッスはしたの?」と一方的に話しかけたり、係長に嫌味を言われているのにも気付かず「良い人だ」と評していたり。嫌なやつにならない絶妙なバランスで弥平像が描かれているのがすごいなと思います。

やっぱり私は「ブルースを唄う老婆」=未来の魔子なのではないかと考えています。彼女が私たちに起こったことを語り聞かせているのだと。だってラストの場面のあとにやってくるのは「医者と葬儀屋」でしょうから。


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