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奈良から東京へ、ライブ配信で出会ったコンカフェ嬢に会いに行った話

「茶鏡さんのTO(トップオタ)より」という、東京のコンカフェ嬢からのメッセージをもらって、お店から宿にもどりベットでごろごろしていたわたしは舞い上がっていた。

お店の嬢と客。
ちょっとした勘違いがひりひりする、そのドライな距離感が好きだ。

お金ないくせに、東京へ旅行に行った。
その目的が、コンカフェの嬢に会いに行く、だなんて誰にも言えやしない。

奈良の田舎者が、どうやって、東京の嬢に出会ったのか。
そしてわざわざ東京まで会いに行ったのか。

出会いは、彼女がいた店による、ライブ配信だった。

大手チェーンのメイドカフェに食傷していたわたしは、ライブ配信アプリで「コンカフェ」と検索。ヒットしたのが、まだ配信を始めたばかりの彼女の店だった。

大きな瞳としっかりした話し方が好感を持った。

ライバー専業と違い、あくまでリアル店の嬢なので、そうそう頻繁に配信は行われなかったが、気づいたら彼女の枠に行っていた。

嬢は大阪出身でもないのに、大阪にゆかりがあり、わたしが関西出身と知れば、枠に訪れるとだいたい「大阪行きたいな〜」とか「大阪おいでや!」みたいな話をしていた。通っていたら、「茶鏡さん会いたいなー」という話もするようになった。(そりゃそーだ、お店に来てもらうための配信なのだから)

ライブ配信をいつのまにかしなくなり、配信中に教えてもらった公式SNSで嬢の今を知るようになった。詳しくは書かないがいろいろあったようで。

わたしが東京に行くと決めたのは、9月の終わりだった。
コンカフェ嬢は卒業すると永久に会えないもの、今のうちに会いに行っておかねばと。ほぼ勢いだけで、足と宿を取り、コンタクトを取った。「11月何日に東京に行くから予約をしてほしい」と。

あれよあれよ、あっという間に11月がやってきた。
気持ちだけだが久しぶりに化粧をした。
飛行機に乗っただけで疲れて、店の近くの中華屋でラーメンを食べたらおなかをこわしてしまい、情けなくトボトボと歩いて嬢が待つ店へ。

店の前で画面越しで見知った顔が待ってくれていた。
「…茶鏡です」(本当に茶鏡と名乗った)
鬼ふざけた名前のアラフォー女は、ついに、あの嬢と対面を果たしたのだ。

席に素敵なメッセージ入りのコースターが用意されていたのに、悲しきかな最初のお願いは「お手洗いを貸してほしい」だった。
すべてを出し切ったあと、健康問題で酒を控えているけれど、最初の1杯は飲むから付き合ってほしい、とお願いして、きれいなカウンター越しに乾杯の儀式をした。

予算の関係で2時間ぐらいしかいられないし、シャンパンも開けられなかったけれど、ずーっと付き合ってくれた。普通に関西弁でおしゃべりした。東京にいるのに7割ぐらい大阪の話だった。上京した関西人が感じている「テレビが面白くない問題」など。あら、東京の人なのに??

「お世辞は言わない」からの「37歳って若いし」という言葉が、優しくてしみた。都会の真ん中でコンカフェ嬢やっていろんな客に会ったんだろうなって。その仕事が楽しい、ということも伝えてくれた。

コンカフェ嬢という仕事、それを通してやりたいことを叶えてほしいし、できる間にやりきってほしいと思った。
コンカフェがいつ、いわゆるオワコンになるかわからないから。

ネタは尽きないが時間がやってきた。また大阪に行く、と話していたので、じゃあ大阪情報おくるわ、と言って、お店を出た。

友達じゃないし、お店の嬢と客の関係、なんだけど、まわりまわってふしぎな心の通いがあったと、どうか錯覚したままでいさせてほしい。

いつか大阪で会って一緒にお好み食べたいな。と妄想して、アイキャッチはお好み焼きの写真にした。そうや、ライブ配信やってたときに教えてもらって、ホイホイ行ってきた、阿波座のお好み焼き屋さん、行ってこよ。

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