拝啓

 赤ん坊の時に、自由に空を舞えたころには目の前のお母さん、お父さん、お母さんのお兄さん、お父さんの大叔母さん、親戚の人はあまり愛想がよくなかったと後から母に聞いたけれど、その頃は誰もの顔が平等に見えた。

みな鼻と口があり、目がふたつ、手と足があり、鼻の穴、口を動かすと音が破裂する、私から見えた動きはそんな感じだったはず。それらのリズミカルを、人と感じて、選り分けていたのん。今は懐かしむほどぺったり残っている記憶の部分が少なく、兄に時折会うと聞かれる質問から、習い事を行かなくなった理由、この間産まれた甥・たくやくんのほっぺの膨らみから、だいたいのかたちと手触りを思い出そうと、する。

   必死になって記録する、記録、
         記録、
     まず記録。はい、次、吸って、
手許、ここの描写が特にいい、ええ、記録、機械する。
     「立花さんが言っていたから」、
       字引きのような
        、続き
          朝、
           閃いて
            律したミュージックが?
              連なって
             ほしい

   何がほしくて、何をしたいのか口にできないのに押し問答で、赤子の手の平が雄弁な、あこがれを感、じて、口にするってなに ?歯が 抜け落ちた? 胆石が 堆積している? リュックで隠れて対蹠地、泣いているか 眠っているかあ わからんので 抱えている手つき 見たけれど 甲に皺が仰山あるのに 組んだ指先、爪は 整えられている たこ たこ 指にタコがある 極度に集中すると別の     視線を感じて 上げる 大体の 誰かと目が合うからさ まともに 目を見れんかも 覚えていく 瞳には なれないかも バイバイ が  不感症 手を振ったら しっかりお別れに なるからだ  八の字眉に 笑けるようになったわたしが その頃のやわさに 居たみたいだ  から  光を感じる





  ー詩集『裸眼』より抜粋

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