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Do the ポテトチップ

先日倅が一歳になったのだが、私自身がこの一年で結構太ったことは周知の事実だ。偶然にも倅の誕生日と私が妻にプロポーズした日が重なっているのだが、妻にプロポーズした時60kg前後だった体重も、先の健康診断では73kgを計測しており、当時着ていた服が全く着れないという危機的状況を迎えている。言い訳にしか過ぎないのだが、仕事が終わり19時前には帰宅し、倅が寝付く21時には消灯し、晩酌をして23時前には寝落ちするという堕落した生活を一年も続けており太るのも間違いがなかった。だとしたら酒のひとつでも絶てばいい話なのだが、人間は何でも簡単にやめられない。その食欲を形の異なった欲へ変えることで解消できるかもしれないが、食欲の代替は性欲しかないのだ。

思うのだが、太ってるやつの性欲はマジで食欲に比例している気がする。偏見かもしれないが、なんとなく男女の拗れで殺したり死んだりするやつは大半がデブだ。偏見かもしれないが、地方のマッチングアプリ利用者の過半数はデブだ。偏見かもしれないが、SNSの裏アカウントとして性的欲求を満たす輩も大半がデブで、事実から目を外らしている奴がだいたい良いように解釈して自分の存在を正当化させているのに必死だ。それは古くからの出会い系サイトがそうであったように、「食欲ときどき性欲」を満たそうとする輩が世の中に多すぎるのだ。更にデブは良く寝る。寝不足なデブとはあまり遭遇したことがない。要するに欲を満たし続けた結果がその有様だ。それはナポレオン、金正恩、麻原彰晃がそうであるように肥満は裕福=権力の象徴であると同時に、怠惰の象徴で、権力がなければ醜いブタなのだ。

私自身も思えば40年近く生きてきて、20年以上はデブ枠所属の歴史なのだが、原因の一つにあるのが好物であるポテトチップスのせいだろう。初めて食べたのがいつなのか覚えていないが、おそらく人生を振り返れば、日本国民の主食である米の次ぐらいに食したかもしれない。そもそもポテトチップスを最初に考えた奴はどんな発明をした有名な博士よりもその功績は大きく、褒賞みたいなのを飽きるほど与えてやってもいいレベルだと思う。おやつなどの間食としてだけでなく、酒のアテになったり飯のおかずになったり、王様ゲーム時に際どい命令に踏み切る為のアクセルになる口移しのための道具になったりする。

クッキングパパで、倅である荒岩まことのクルーの1人が「ポテチ丼」なるオーマイコンブ的なぶっ飛んだ発想のメニューを繰り出していたが、そいつ曰く原料がじゃがいもである故、要するにじゃがいも料理の代替が出来るため、結局のところどうにでもなってしまうって話らしい。ポテトチップス界のトップランカーであるカルビー社の派生品で「じゃがりこ」という長年巷で愛されている菓子があるが、思えば私が高校生の頃、当時のヘッズは誰もが最初目を通したおしゃれ雑誌「SMART」誌にて、詳細は忘れたが「じゃがりこにお湯を入れて芋に戻して食うのがイケてる」みたいなノリの記事が載ったのを皮切りに、友人界隈がこぞってオシャレ感覚でじゃがりこ湯戻しを食べていたのだが、おしゃれもクソもない話で、要は荒岩まことのツレの発想みたいなものだった。しかしながらあの湯戻しは普通に美味い。その後世の中でじゃがりこにさけるチーズを入れて湯戻しさせる「じゃがアリゴ」なる進化系がバズった時があったが、あれはスマートでオシャレな食い物ではなく、単なる堕落したデブの食い物だった。と、今だに四半期に一回は単なる湯戻しを食ってる気がするが、それを見て若干引いている妻はおそらくこのオシャレさをわかっていないのだろう。

初期のじゃがりこのパッケージ。根本的なメーカーの姿勢は今も変わらないため、このパッケージの復刻版とかがでてもあまり感動がない。

あくまでこの「じゃがりこ」については王道であるポテトチップスの派生商品、というか単なる芋菓子グループの枠の中というだけなので、決してポテトチップスを超えることはないだろう。他のメーカーが追従しない辺り、そういうことなんだろう。

ポテトチップスに関しては、やはり店頭で二代派閥であるカルビー社と湖池屋の選択肢で悩むことがある。わかりやすく言えば、カップ麺で日清食品東洋水産 a.k.a マルちゃんどちらにするか悩むのと同じようなもんである。歴史的には湖池屋の方が古いらしいのだが、なんとなく幼い頃からカルビー製品に馴染んできたこともあり、あの王道の赤パケのうす塩味がなんだかんだで一番に感じてしまう節があった。しかし近年どうしても一袋では物足りなさを感じてしまう節がある。2000年代以降、特に近年は原材料費及び燃料費、電気光熱費などの高騰が著しいが、その対策として各種製造メーカーは値上げせざるをえない状態に陥っている。苦肉の策として、値段を据え置きして商品の量目を減らす「実質値上げ」の手法をとることも少なくない。ネット上の情報によると、赤パケは1975年の発売当初90gだったらしいのだが、2009年に60gまで減らし、その後この60gを保っていて数回値上げに踏み切っているらしいのだが、実際は現在中身が52gで袋が8gとなっているらしい。あのホームパーティなどで多用される「BIGBAG」タイプも同様で、もはやパーティをやるにはその量が足りないくらいの状況に陥っている。

無論、家族が増えた我が家でもその辺はシビアなのだが、最近は各社で取り扱うプライベートブランドの商品に救われている。その昔、当地はまだ多分亀屋みなみチェーンマルエス主婦の店みたいなローカルスーパーの猛者が幅を利かせており、片田舎ではプライベートブランドという概念がなかった。その中にジャスコ「トップバリュー」(今は「ー」が取れて「バリュ」止めするらしい)やダイエー「セービング」が当地にも流れ込んできたのだが、軒並み「何か足りねえ」感じのものばかりだった。特にダイエーのPBコーラに関しては破格の30円台を叩き出していたが、味はまあまあの砂糖を溶かした薬臭い炭酸水で、マジであれが家にあると誰も飲まず、糖尿病の祖父が隠れて飲んで祖母に叱られる、というパターンのコントを延々繰り返していた。

ダイエーの地下に売っていたセービングの30円コーラ。絶妙に「from U.S.A.」がダサい。

こちらトップバリュのコーラとして後継型が世に出ているらしい。正直世界の「コカコーラ」がコカインだとしたら、セービングの「コーラ from U.S.A.」に関しては粗悪なクラックみたいなもんで、それなりの層には需要があるのだろう。

しかし、近年のプライベートブランドのレベルは従来のナショナルブランドを凌ぐ勢いの内容で、単純に安価というだけではない。私だけかも知れないが、それがポテトチップスでより分かる感じがするのだった。スーパーはもとい、コンビニ各社もPB品を大量に取り扱っているが、とりわけセブン&アイの「セブンプレミアム」はクオリティが高くて美味くてリーズナブルだ。私が近年最も購入して食べたポテトチップスだろう。

やたら軽くて美味い。セブンイレブン、イトーヨーカドーなどでだいたい置いてるので買ってる。

とはいえどこの製造元はまさかのカルビーなのだが、コンビニ大手3社のPBを全てカルビーが請け負っている状況に驚きを隠せない。いかんせんうす塩味に関してはカルビーNBの赤パケを含めて全て微妙に違うという点である。というかその他にもカルビーはCGCや他のスーパーのPBを請け負っていて、微妙に中身を何か変えてリリースしている辺りが流石である。かたや湖池屋に関してもイオンのトップバリュなどを請け負っているようだが、戦略としては「プライドポテト」のようなナショナルブランドの商品強化が主流なのだろう。経済学者みたいな人はPBは数量(売上)は重ねることが出来るが値段を叩かれて利幅が薄いので、PBとNBの取り扱い割合を3:7に保つのが健康的だというが、もはやカルビー辺りは半々、寧ろそれ以上にPBを取り扱っても利益を生み出せる体質なのだろう。

他にもわさビーフや伝説のイカスミ味など大手2社とは違った角度で攻め込む山芳とか、テレビなどでも紹介されている出来立てポテトチップスでお馴染み菊水堂などいろんなメーカーが国内で凌ぎを削っているシーンだが、更にチップスターを代表する筒型勢とかの話もすればキリがなくなるので今回はやめておく。結局芋を油で揚げた菓子なんて不味いわけがない、そう思いながら今日もまた酒のアテにしていたのだった。

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