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來宮神社(きのみやじんじゃ)

静岡県熱海市西山町43-1

【御祭神】
日本武尊(やまとたけるのみこと)
  武勇と決断の神
五十猛命(いたけるのみこと)
  樹木と自然保護の神
大己貴命(おおなもちのみこと)
  営業繁盛、身体強健の神

全国四十四社のキノミヤジンジャの総社

【御由緒】
古くから来宮大明神と呼ばれ、熱海の地主神として来福・縁起を司り、信仰されていました。
和銅3年(710)に熱海の海へ漁夫が網をおろしていると、木像らしい物が入ったので不思議に思っていたところ、童子が現れ「我は五十猛命である。此の地に波の音の聞こへない七体の楠の洞があるからそこへ私を祀れ、しからば村人は勿論当地へ入り来る者も守護する」と云うと同時に童子は地に伏してしまったので、村人一同で探し当てた所が、今の此の地です。

五十猛命は元々、石見国五十猛村(現在の島根県大田市五十猛町)に上陸したとあり、同じ素戔嗚尊の子である出雲にいた大己貴命とも何らかの繋がりがあったと思われます。
しかし、紀伊国一宮の伊太祁曾神社に祀られていることと、木像が熱海湾に流れ着いたことを考えると、紀伊国を治めていた五十猛命が紀伊国に居られなくなる事情があり、熱海に移住したということも考えられます。
紀伊国は「木の国」であり、来宮神社も「木(樹)の宮神社」という性質を持っているのではないでしょうか。


🌳阿豆佐和気神社(あずさわけじんじゃ)の大クス
本殿裏にあり、推定樹齢2000年以上、一部枯れているが樹高約20m、幹周り約24mの大楠で、昭和8年に天然記念物に指定されました。これを1周すると寿命が1年延びる、願い事が叶うなどと言われています。
なお、天然記念物指定名称に「阿豆佐和気神社」と冠せられているのは、それが指定当時の社名であった為です。

〈境内社〉

・来宮稲荷社
京都伏見稲荷大社より勧請しました。


・来宮弁財天
高村光雲作の来宮神社弁財天像があり、御開帳は毎年11月23日です。

・三峯神社
埼玉県の三峰神社より祀られました。日本武尊と縁の深い神社です。


🙏キノミヤ信仰
キノミヤ信仰は、神奈川県西部から静岡県伊豆半島にかけての相模灘沿岸部に広く分布しており、主に「キノミヤ」を冠する神社を信仰の対象としています。
来宮、木宮、黄宮、貴宮、木野宮、紀伊宮などを称する神社が多く、樹木神か漂着物を祀るのが代表的です。
「鹿島踊り」が盛んな地域と重なっていますが、未解明のところが多い信仰です。

👤伊豆に見え隠れする事代主神の影

*来宮神社のHPより*
大己貴命は素盞鳴命(すさのおのみこと)の御子であって又の名を、大国主命(おおくにぬしのみこと)、俗に「ダイコク様」と云われ、古代出雲の神々が海、山を渡られて伊豆地方に進出されたときに、この熱海の里が海、山に臨み、温泉に恵まれ風光明媚にして生活条件の整っていることを愛し給い此処に住居を定められたとき祀られたと伝えられています。
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これを読んで連想したのが、伊豆国一宮三嶋大社の事代主神です。
国譲りの際、事代主神は伊豆に、建御名方神は諏訪に流罪になったのでは、と推測したのですが、「古代出雲の神々」とは事代主神のことではないでしょうか。
大国主大神は既に出雲の地で死んでおり、息子の事代主神は父を偲んで来宮神社に祀ったと推測します。
「いずも」と「いず」、地名も似ており、この二つの地には何らかの関係があるのでは、と三嶋大社のブログで書きましたが、出雲に似て山や海が近く、温泉も湧き出るこの地に事代主神が隠棲することになったのは、偶然でしょうか。事代主神はここを第二の出雲にしようと考えたのかもしれません。

今まで参拝した中でも有数の、ご神気の強い神社さんです。
大楠のパワーは物凄く、圧倒されました。
参拝にいらっしゃる方も多く、お参りしやすい工夫もされていて、ゆったり時を過ごすことができました。
境内にはカフェもあり、お味もなかなか。
もう一度来たい、と思わせる神社さんでした。

楽しいお勉強カフェを作りたい!