『本日、酉の刻…』

今までのあらすじ その2 約41話から

熱の下がった瑠珈は、自宅でのお茶を誘ったウルカのために隣町までハーブティの材料を買いに行く。
ところがその帰り道、暗い服を着た男たちに瑠珈は囲まれる。
彼らはウルカのように直接心に響く声で瑠珈に話しかけてきたが、月乃畝と名乗った男はウルカの仲間ではなく、ウルカと敵対する組織の一員だった。

彼らは不思議な闇で瑠珈を捉えさらおうとしたが、瑠珈は反射的に無為を呼び出し、透明な渦と無為が起こした突風で闇を吹き払った。
以前のように無為を“馬”に変化(へんげ)させ、その場から逃げようとした瑠珈が出現させたモノは、白い大きな狂暴な獣だった。

獣は次々に敵の男たちに襲いかかっていった。
宙倫研から連絡を受け、現場へ駆けつけた宙倫研の機動部の日比野が見たものは、次々に暗い服の男たちに襲いかかる白い巨大な異空可動生物の姿だった。
この獣はあのBプロットたちと同種であることは間違いなかった。

暴走する獣は、日比野を守ろうと飛び出してきた瑠珈にも襲いかかってきた。
“時力”の乱れを感じてやってきたウルカに、瑠珈は寸でのところで助けられる。
白い獣は烈氷という名で、無為の化身であること、本物の烈氷自体は鵺や煽や瀑と同じくイヌイと故郷を同じくする生きものであること、無為の化身は、化身した本物の能力と形状を忠実に再現し、出現させた者を守るために現れるのだとウルカは瑠珈に伝える。

戦闘モードへ変化させた無為の化身の朧丸に反撃させながら、ウルカはこれらの獣たちに時渡りをさせるためと被害の軽減のために瑠珈を日比野に預け、朧丸たちとともにその場を去る。

烈氷に襲われた男たちのことが心配で日比野のもとから離れた瑠珈は、倒された仲間の血溜まりの前で嘆く月乃畝に再び出会う。
獣たちの時渡りをイヌイに託して戻ったウルカに、彼女は自分を守るために出現した獣が暴走し、多くの犠牲者を出したことを伝えるが、彼はそれを烈氷が見せた幻影だと話す。

術が見破られた月乃畝は瑠珈に拳銃の銃口を向けて弾を放つが、ウルカが盾となり、その銃弾を受けてしまう。
けれどもウルカの銃弾の傷は、瑠珈の目の前で見る間に直っていった。彼女は以前ウルカが自分は不死身だと言っていたことが冗談ではなかったことを悟る。

そこへ、恐ろしい吹雪と共に無為の化身の烈氷と朧丸を異空移動させたイヌイが、本物の烈氷を伴ってウルカや瑠珈の元へ戻ってきた。
烈氷の強烈な寒気と吹雪に倒された月乃畝を後に、冷気と疲労で気を失った瑠珈を抱いたウルカは、日比野と別れ、光帷を張って雪降る夜の空を飛行する。
目を覚ました瑠珈は、ウルカの銃弾の傷を心配するが、すでに傷が完全に治っていることにとても驚く。けれども、身体の傷は目に見えなくても、心の傷はきっととても痛かっただろうとウルカの思いに心を添わす。
そんな瑠珈に心を震わせ、かすかに動揺し己れの感情に戸惑うウルカだったが、ぐっと自らの感情を押し殺し、美しい雲海の上の三日月の光と飛ぶ雁たちの姿にうっとりとする瑠珈に、もうすぐ瑠珈の自宅だと彼は雲海の上から急降下をする。
ロマンチックのかけらもないウルカの、女心への無頓着さ・無理解さに瑠珈はちょっとがっかりするのだった。

自宅へ戻り、ウルカに瀑の子と抜け落ちた瀑の子の角をウルカに返した瑠珈に、ウルカは明後日の戌の刻、ウルカをお茶に誘った瑠珈のバイト先へ彼女を迎えに行くと約束する。

一方、日比野に捕縛された暗い服の男たちは警察に引き渡される前に逃亡してしまう。日比野から1574バージョンの名前を知らされた相馬は、宙倫研の所長に奈良に出向きたいと願い出る。

翌日大学で朋子や坂本たちと会った瑠珈は、歴研に伝わる不思議な銅鏡について話を聞く。それは歴研の名誉顧問の新吹教授が発見した19年前に発見した裏面白虎柄の、光を当てると像が浮かび上がる魔境面が竜蛇柄の不思議な銅鏡だった。

このあと、温泉の回、本編じっくり読んでください^^♪。
(※結構気に入っている。気に入ってて要約できませ~~ん。あ、あの瑠珈と雲海の上を飛ぶシーンも本当に大好きです。実はあの雲海の場面とこちらの温泉の場面は連動しています。読むと分かります^^;。雲海のシーンは、もう少し表現を膨らませても良いかもって感じです。しかし、ウルカの気持ちの描き方が難しいです。温泉のシーンでウルカの本音をちょっぴり語らせたのですが、これで良かったのか、今でも悩んでいます。清書するときも、雲海のシーンはとても苦労しました。瑠珈の気持ちを中心に書いているシーンだったので、この時のウルカの気持ちの流れの表現を同時に文章として表現するすべが私にはない。ここは何とかしたい課題のひとつです。)

さて、奈良に向かった相馬と彼の部下の栗原は謎の銅鏡の発見者の新吹教授に会う。
(※ここの回とその次の回は、2017年のお正月スペシャルとしてtwitterに画像でupしたものです!今となってはとても懐かしいです。)
新吹から銅鏡の動向について詳しく聞いた相馬は新吹に、“ウルカ”という名に心当たりはないか訊ねる。
いにしえの神話や伝説の話を交えて、新吹は詳しく“ウルカ”について、相馬に講義する。
ウルカの名前に、そこに込められた美しい祈りに似た希望を感じた相馬は、過去の史料や言い伝えからでは決して想像できないウルカの持つ別の側面を強く感じたのだった。
再び銅鏡を教授から借りた相馬は、今度こそ、1574バージョンの真の姿を究明したいと思いを強くする。

翌日、図書館のバイトの終わった瑠珈の前に姿を消したウルカが突然現れた。
約束通り、戌の刻に迎えに来てくれたのだ。
ところが、その姿を4階に勤務している司書の竹田に目撃されてしまう。
瞬時に姿を消したウルカだったが、一瞬ウルカの姿を見た竹田はひどく驚く。
ひょっとして幽霊かもと怯える竹田に、きっと古い本に憑く幽霊だと瑠珈は念を押し、その場を取り繕う。

図書館から出た瑠珈の前に、瑠珈のことを待っていたウルカがふわりと上空から降りてきた。
そのウルカをお茶に誘った直後、今度は同じ職場の上司の須藤に会ってしまう。
ウルカのことを“彼氏”と勘違いした須藤に、いいなずけとは彼氏であると、かつて瑠珈から聞いていた彼は、自分は瑠珈のいいなずけだと答えようとするが、寸でのところで瑠珈に遮られる。
自分は偽りを申すことはないと意味深い言葉を返すウルカに、瑠珈は少々戸惑う。

瑠珈の自宅で瑠珈の手作りのハーブティを飲んだウルカは、お茶の配分を次々に言い当てる。
ウルカが生きていた天正時代には茶の湯で有名な千利休がいたこと、織田信長はどんな人だったのかと瑠珈は矢継ぎ早に聞いてしまう。
過去に何があったのか一切知らない瑠珈に、ウルカは何も言わずその場を去ろうとする。
そんなウルカに思いの丈を伝えた瑠珈に、ウルカも瑠珈に、あの雲海の上を飛んだ時は魂が無限に広がるようだったと本当の気持ちを伝える。
それでも部屋から去ろうとするウルカの後ろ姿の広い背を、瑠珈は思わず抱きしめる。
そんな瑠珈に、ウルカは自らの過去について織田信長との関係を初めて明かした。
暗く深い闇を多く抱えている自分と一緒にいると、瑠珈もその闇の中へ沈み落としてしまうかもしれないと言うウルカに、生きてさえいれば、そして一緒に進めば、その暗い闇を越えていく道のりは、きっと寂しくないだろうと伝える。

朝までウルカと会話を楽しんだ瑠珈に、大学の昼休みに会った友人の朋子は呆れるが、それが瑠珈の望みだったと聞いて、439年前の人間はとても面倒くさいし、人の思いが分かってしまう能力もある意味気の毒だと言う。
人の本心が手に取るように分かるウルカはどんな思いを繰り返し、これまで生きてきたのだろうと思いながら、瑠珈は心からウルカに会いたいと胸を熱くする。

ところがそこに現れたのは、ウルカの笄を狙っていた、あの異空生物の鵺たちだった。鵺たちは瑠珈を裏山の麓にある名も知れない古い神社へ導き、そこで瑠珈は不思議な空間へ迷い込み、見たこともないほどの大きな鵺と出会う。

瑠珈は、鵺たちがどうしてウルカの笄を求めていたのかの理由を知る。もし、鵺たちが帰りたい時代へ時渡りができたら、もう彼らはウルカを追うことがなくなるのではないかと彼女は判断し、以前無為を出現させたことを思い出す。瑠珈は瀑の鱗と無為たちを使って、鵺たちを過去の時代に時渡りさせることを大きな鵺と約束する。

瑠珈の感情を期せずしてコントロールしてしまうことを避けるためにウルカは瑠珈に逢いたい気持ちを抑えていた。
それをイヌイに指摘されたウルカは、人を愛することが困難な自身の強い能力に苛立ち、自らへの破壊的な行動をする。
見殺しにしてくれればよかったものをと語るウルカに、かつて、虚無空間へ追放されるところをウルカの死によって助けられたイヌイは、守ってくれたのは君の方だと語る。
いつか必ず対抗勢力による故郷の呪縛を解き、ウルカと共に故郷へ帰ろうとイヌイはウルカの隣へ座り、語りかける。
しかしウルカが望むのならば瑠珈の住むこの星に留まるといいと、彼を優しく諭す。そんなイヌイの言葉を聞き、自分は決して一人ではない、どんな形でも、どんなに離れていても、人を愛おしむことはできるとウルカは涙をぬぐい、前を向く。

や~~、終わらない!(まとめるの、下手!)
このあと図書館の幽霊編が入ります!(延々と^^;)
読んでください!ここのシークエンスは非常に気に入っています。
あらすじにできません(笑)。
今日も時間切れです。
この続きは次回……!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?