嵐の後の静けさ
人間というのは本当に理にかなっているものだなと思う。
去年まで一緒に愛を語り、盛り上がっていた人達は今、若い少年達へと目を向けて、とても楽しそうに暮らしている。
そんな中、私はどうか。
好きな人や好きなものを、好きでい続けるのは大変であるのはよく知っているけれど、その逆は、正直今まで気付かずに生きてきた。
大好きな彼らのいないTVや雑誌や広告に、ふと寂しくなって、古いレコーダーをだらだらと流し見して、過去に浸る。
最近は配信も充実していて、家でじっとしていても、楽しく暮らせるから便利なものだ。
しかし、ふと我に帰る。
このまま過去を見つめ続けていいのだろうかと。
焦りを覚える。フォロワー達はみな、新たな沼を見つけて、楽しそうに暮らしている。
次の現場の話、新曲の話、番組の話。
つい半年前には当たり前にあったはずの毎日が、遠い過去に感じるとともに、羨ましくて、涙が出そうになる。
しかし、このまま過去にすがって、生きていくわけにはいかない。
けど、好きなものはそんなに簡単に見つからないし、好きであることをやめたくないし、諦めたくない。
そうだ。自分磨きしよう。
なんて、我ながら立派なことを思いついて、今までグッズや遠征費などで手が出せなかった、ちょっとお高い化粧品やブランド品を買ってみる。
こんなことで気持ちが晴れるわけではないけれど、雨は止んで曇りになった。
とりあえず、一生懸命生きてみよう。
いつか、虹がかかる空の先に、青空が広がっていると信じて。
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