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6年前、それは小さな一つの命が亡くなった事から始まった

 そして6年後の今、俺はあの時の約束を果たしています。

 どうも。ジュリアンです。
 今回は俺が6年前に出会った小さな命がきっかけで、家を買って猫を買うに至った経緯を話そうと思います。
 俺にとってそれはとても大事なきっかけであり、人生の転換点を導いてくれるものになった、小さな命とは、一匹のカブトムシから始まりました。


1.小さな命

 それは俺が当時働いていた事務所の上司が言ったのがきっかけでした。
当時上司のお子さんがカブトムシの幼虫を拾ってきたらしいのだが、それを育ててみたらえらい繁殖してしまったようで、もしよかったら成虫になったカブトムシを要らないか、という相談でした。
 中の人は虫はあまり好きな部類じゃないし、コックローチなんて大嫌いな虫の一つでしたが、クワガタとかカブトムシの類は好きでした。子供のころからずっと好きだったし、育ててたこともあります。そういうこともあってカブトムシは嫌いじゃないから、せっかくならということで一匹もらうことになりました。
 百均でカゴを買ってきて上司に渡すと翌日そのカゴに一匹のカブトムシ(オス)を持ってきてくれました。
 当時ペット禁止のアパートに住んでいた俺でしたが、虫くらいならペット扱いはされまいと思い(生きてるのも夏のうちだけだしな)、喜んで家に持って帰りました。

 それから一生懸命世話をしていくうちに、徐々に愛着が沸くようになっていきました。何せ長年ずっと一人暮らしをしていたので、家に帰ると誰か(ここではカブトムシが誰かに値するが)が待っているという事がとても嬉しかったのです。帰るとまずはカゴの中を見て、餌のゼリーを食べているかチェックして、カゴの中に入っているカブトムシをカゴから出して指で遊んでいたりしました。
 8月中旬頃になるとカブトムシのほうも俺の存在がわかるようになったのか、俺が指をケースに入れるとすぐ指に乗っかってきてくれた事は今でも覚えてます。
 その頃はもうとてもかわいくて仕方なかったので、夏の間だけなんて嫌だ、もっとずっと一緒にいたいと思うようになってました。カブトムシって延命できないのかな、とネットで検索したりもしてました。

 でも8月の下旬になると、動きがどんどんノロノロになっていって、以前は楽々とつかんで乗っかっていた木の枝にも落ちやすくなっていって、やっぱり駄目なのかな。。と思った矢先のとある日、遊んでて帰りが遅くなったため一生懸命早く帰って家にたどり着いてケースを見ると、カブトムシはひっくり返って死んでいました。
 死に目に会えなかったこととなんで傍にいられなかったんだと大泣きして大泣きして、すごく悲しくて自分が悔しくて、ごめん、ごめん、と必死に誤って泣いてました。一晩中泣いて気付いたら夜が明けてました。

 夜が明けて泣きはらした目をこすりながらも、俺はその時、馬鹿なことと思うでしょうが本当は死んでなかったんじゃないか、とか、ちゃんとケースで生きているんじゃないか、などと思っていました。愛着ある生き物が死んでしまったことを受け止められなかったんだと今では思います。もちろんケースの中を見ても、カブトムシは死んだままでした。やっぱり死んでしまったんだと再び泣きながら、俺は死体を土に埋めて、ごみの日に収集してもらいました。アパート住まいのため庭なんかないので、墓を作ってあげることもできなかったのです。

 その時俺は誓いました。いつか必ずカブトムシは転生する、それが何の命かはわからないけど、俺はこのアパートを出てペット可物件に住むようになったら、必ずペットを飼って、その仔カブトムシを大事に育てていた時同様に生涯愛し育てて見せる。
 
それが俺と約一か月共に生きてくれたカブトムシへの恩義と、死に目に会えなかった後悔への懺悔にする──と。

2.マンション購入

 それから5年経ってから、中の人は動きました。アパートを出て家を買うと決めたのです。本当はコロナが出始める前に動きたかったのもあるのですが、いろいろあって行動に移したのは昨年3月。そっからあれよあれよと決まって家を買ったのが5月でした。もちろんペット可の物件を探していましたが、賃貸はもうコリゴリだったし、自分の物にならない下宿人として住むのもうんざりだったので、家を買うことをきめたのです。ペットを飼うとなると賃貸ではリスクが高いというのもあったのでしょうが、家を買う時点ではペット可物件というのは第一候補に入れていたものの、実際飼うのはいつかなんて全く想像もしてませんでしたが。
 なんだかんだコロナ禍真っただ中の頃ほとんど出かけず貯金ばかりしていたおかげもあって、頭金を払ってもローンは返せていけるという事を保証できたため無事購入することができました。引っ越しを済ませて以前住んでたアパートの倍以上の室内で、一人で住むのはちょっと広すぎだなあと思いつつ、いつペットを飼おうと思っていた矢先増税に次ぐ増税と物価の値上げ等があって、全財産の半分ちょい失われた自分にとって家を購入直後はなかなかペット購入までは踏み切れませんでした。とりあえず一年は貯蓄して、そのあと保護猫団体から譲ってもらおうかなーと思っていました。

3.運命の出会い

 そんな中、友達の一人が地元で譲渡会あるから行かないか、と言われてその譲渡会に行ったとき、出会ったネコがいました。自分は最初気付いていなかったんですが、友達が曰く「あの猫、俺が近づいてきたらずっとお前のほうを見ているよ」と言ってきたのがきっかけです。
 その猫は白黒ミックスの猫で、模様がちょっと不思議な猫さんでした。自分もその猫を見ると、確かに猫は俺のほうをじっと見ています。譲渡会にはほかの参加者もいたので、何人かがその猫を見かけてましたし、かわいいおねいさんがその猫の説明を聞いていたりもしましたが、猫はそんな人たちそっちのけで俺を見ていました。俺は猫に向かってゆっくり瞬きをすると、その猫も同様に瞬きをし返したのです。
 その瞬間、俺はこの猫が欲しい、と思いました。本来ならば黒猫が欲しかったのです(かつてのカブトムシを思い返して、飼うなら黒猫がいいと思っていたので)が、不思議にこの猫さんがいいと思ったのです。譲渡会ボランティアの人に声をかけ、あの猫を引き取れないか、と聞きました。自分は一人暮らしで、一人暮らしの人は保護猫団体とかから引き取ろうとしても首を縦に振ってもらえにくい、という情報はネットのあちらこちらで聞いているので、ダメ元でした。ボランティアの人は、自分の住所と住居形態(家は持ち家か、賃貸か、一人暮らしか、家族はいるか等)を聞いてきたので住所と氏名、家は持ち家で一人暮らしと正直に書きました。一人暮らしじゃダメかなと思ったら、
「女性(中の人は性別女性で心の性別は男性です)で持ち家なら安心かもしれないね」
「そうだね」
 等とボランティアの人たちが言ってたので、あれ? と思ったところ団体のリーダーの人がやってきたので挨拶をして、もし引き取れるならお願いしますと伝えました。ボランティアの人たちは譲渡OKの場合こちらから電話をします、と言って、その日は終了。友達とペット用の飼育に必要なケージ等を見て晩御飯を食べて地元の駅に戻ると、保護猫団体のリーダーの人から電話がかかっていました。
駅のホームで電話に出て、電車内だったので電話出れませんでしたと伝えたところ、
「あの猫ちゃんをあなたにお願いすることにしました。つきましては譲渡可能な日を教えてください」
 と言われて、なんと当日に譲渡決定の通達が来ました(笑)。譲渡会は今年の2月だったので、3月上旬にお願いしますと伝え、それからは必要なケージ、トイレや脱走防止用の柵を作ったりなどして、あっという間にお迎え当日になりました。

4.再び小さな命を預かって

 お迎え当日、ボランティアの人たちは猫の簡単な飼育方法、しばらくは家に慣れさせるためケージで世話をすること、食事はこういうものをあげるとよいよ、と教えていただき、猫のワクチンや健康診断の費用、自分の家まで来た分の交通費などを支払い、晴れて猫は家に来ました。
 譲渡会では自分とアイコンタクトをする位穏やかな猫さんだなと思ったら、初日からすさまじく唸るしシャーしまくるし、寝床はケージからトイレに落とすし、拾おうとするとひっかいてくるなど、大変でした。夜泣きもさんざんありました(笑)
 時折、一人で住んでた時のがよかったなーなんて思うこともありましたが、徐々に愛着が沸いていきました。ご飯とトイレ掃除をしっかり行っていくうち、猫のほうも徐々に慣れてきたのです。1か月、2か月と、そこら辺の事を日記(くるっぷというサービスのSNS)に詳細に残してます。猫は1歳ちょっとの成猫さんだったので、懐かないかな、と思ったりもしました。やがてケージから出るようにはなったものの、ケージの外で俺が近づこうとするとすぐケージに戻ったりしてしまうので、抱っこなんて生涯できないかもなあ、と思って悲しくなることもありましたが、猫のほうも少しずつ心を開いていきました。
 7月下旬ごろになって、ケージの外で寝ている所を近づいても逃げなくなった時はとても嬉しかった。それからは抱っこはできないものの、くっついてみても嫌がる様子は見せず、自分が寝ると寝床にくるようにもなりました。朝気付いたら自分に尻を向けて寝ていることも増えたので、やっとお父さん(自分)に慣れてくれたんだねと思って、泣きまくりました(笑)
 保護猫団体の人にも暑中見舞いを出して猫との近況を報告すると、とても喜ばれました。また譲渡会があれば寄付に行きますと伝えておきました。

5.まとめ

 今思えば、6年前にカブトムシをなくしてから、自分は必ずアパートを出てペット可物件に住むと決めたので、それがちゃんと実現して猫を飼うこともできているんで、年月はかかりましたがちゃんとその願いが叶ったなと今では思います。なんだかんだ最初は猫を飼うのも物価高もあるから厳しいなあ・・・と思っていましたが、飼い始めてからは猫のためにおもちゃを飼ったりよい餌を選別したりと、そうやって消費しているのがなんでか楽しくて幸せです。猫が来てから会社で突然昇給昇格したのもあって、もっともっと大事にしようと思ってます(笑)。
 6年前、今の自分を作ってくれる切欠をくれた小さな命のカブトムシ。
 今でも夏になると思いだします。
 ありがとう。そしてどうかまた今世のどこかで出会っていますように。
 飼ってる猫に転生してたら面白いな、なあんて。

プレストンと言います。大切な家族です。

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夏の思い出